紅葉のサンギリ線

　サンギリ線は，大台ケ原の南に位置する上北山村と坂本ダムをつなぐ舗装林道だ．Ｒ１６９が通行止めになったときは，上北山村と下北山村を繋ぐ貴重な迂回路でもある．ところが最近はＲ１６９が立派になりすぎて，サンギリ線の方が通行止めになっていることが多い．



　そういうわけで，サンギリ線を走行するのはかなり久しぶりのことだ．ことさら紅葉の時期だと，最後に走ったのは３～４年前のことだと思う．紅葉の時期とは言え，相変わらずサンギリ線は交通量が皆無でひっそりとしていた．



　上北山村からサンギリトンネルがある峠付近まではなかなかハードな登り坂が続く．その登り坂の途中では視界が結構開けていて，きれいな紅葉を楽しむことができた．常緑樹林に交じって，赤黄色に紅葉した樹木が彩りを添えていた．



　紅葉した樹木だけでなく，常緑樹林があるところが紀伊半島の紅葉らしくていいと思う．それにしても，この辺りは標高が高いので，冷え込みが結構強くて寒かった．鼻水をすすりながら，紅葉のサンギリ線を進んでいく．



　そして，ついにサンギリトンネルまでたどり着く．ここは橡谷西ノ谷線との分岐ポイントでもある．写真を撮っていると西ノ谷線からやってきたクロスカブのライダーから声を掛けられ，この辺りの道路について情報共有をしてから別れた．



　クロスカブのライダーはサンギリトンネルの中を歯切れのいいサウンドで，上北山村の方へ颯爽と向かっていた．わたしの方は西ノ谷線の絶景も惜しいけれど，尾鷲に向かうために坂本ダム方面へ山を下って行くことにした．



　久しぶりのサンギリ線は緑の山中に紅葉した木々が美しく，ほどよい寒さが気持ちいい初冬の朝だった．