オートバイで旅して観たモノの記録

 Ôtobai de tabi site mita mono no kiroku.

石寺の茶畑

2020年05月02日 | 和束町~茶源郷~


 四月のとある休日,オートバイのバッテリーあがりが心配だったので,和束町の西部にあたる石寺地区の茶畑へと愛機を走らせた.石寺の茶畑にあるカフェは,クローズの看板が掛かっていた.そのせいもあって,茶畑周辺の道路には誰もいなくて,ひっそりとしていた.



 ここは少し前にカフェができてから,たくさんの人が訪れるようになってしまって,あまり足が向かなくなっていた.そんな訳で,久しぶりに石寺の茶畑をひとりで堪能することができた.とは言え,時期が時期だけに,この素敵な風景を写真におさめたら,すぐに去らねばならない.



 この時期の茶畑は,黄緑色の新芽が空に向かって伸びる様に芽吹いている.冬の間に見慣れてしまった落ち着いた深い緑色のお茶の葉を思い返すと,同じ茶畑とは思えないほどである.力強い生命力が肌に伝わってくるような気がした.まさか茶畑から元気をもらうことになるとは思いもしなかった.



 これまでは,茶畑に新芽が芽吹くころといえば,遠出のツーリングばかりに出かけており,この明るくて淡い黄緑色の茶畑の存在を知ってはいたが,中々に見ることが出来ないでいた.ちょうど去年の今頃は,四国へとツーリングに行っていたようだ.



 そう言う訳で,和束町の茶畑については,秋の終わりから桜の咲く頃までは,よく訪れて見ているけれど,まだまだ自分の知らない茶畑の姿があるのかもしれない.古民家の屋根瓦の曲線と茶畑の曲線は,スケールこそ違えど,何か似通ったものがあるような気がした.



 夢中になってシャッターをきっていると,どこからともなく人の話し声や笑い声が聞こえてきた.おそらく,作業されている方がどこかの茶畑にいるものと思われた.写真も十分に撮れたので,その場を去ることにした.



 ほんの少しばかりの時間だったけれど,石寺の茶畑は日常の世界が嘘のように,穏やかで平和な時が流れていた.この記事を書いている頃には,きっと新芽の茶摘みが始まっていることだろう.


コメントを投稿