朝駆け

　朝４時ごろにふと目が覚めた．まだ外は暗いが，暑さから逃れてオートバイに乗るには，今しかない．急いで支度して，和束町方面へ向かうことにした．峠の麓にたどり着いたのは，日の出の直前，５時ごろだ．空は淡い紫色に染まり始めていた．



　峠道になると，急に気温が下がってきて，ひんやりとした空気がとても心地いい．暗闇の中，飛び出してくる野生動物に注意しながら峠を駆け上がると，東の空にある雲がきれいに焼けていた．



　山の下から太陽が昇ってくるまで，まだ時間がかかりそうだ．朝日を見るのもいいかもしれないが，せっかく朝駆けできたのだから，涼しいうちにライディングを楽しむことにした．



　暑さから解放されて，気持ちよくオートバイを走らせていると，虹がかかっていることに気付く．どこか近くで一雨降っているのかもしれない．朝，虹を見たのは初めてだ．ちょっと眠かったけれど，早朝の景色はとても幻想的だった．