夕陽ライド

　３月中旬からなかなか遠出できない日々が続いている．とはいえ，自宅から１時間もオートバイを走らせれば，和束町へ行くことができる．時間が取れなくても天気さえよければ，夕陽を浴びた茶畑の景色を楽しむことができてしまう．



　夕暮れ時の和束町の茶畑は，明と暗とのコントラストでとてもきれいな姿を見せてくれる．夕陽が当たっているお茶の葉は，まるで黄緑色の宝石のように輝いている．



　この茶畑の幻想的な風景は，時間に限りがあり，そう長いことは見ていられない．さしずめ，和束町のマジックアワーとでも言うべきだろうか．４年前にある選択をして，関東から京都南部の市街地に引っ越して来なければ，この風景に出会うことはなかったはずだ．人生とは，本当に何があるか分からないものだと思う．



　マジックアワーを楽しんだ後は，暗くなる前に腰越峠を越えて帰路に着く．峠の少し手前にあるビューポイントでオートバイを停めて，最後の休憩を入れる．何度も見ている景色だけど，決して見飽きることはない．



　和束町の茶畑，そして，山並みが夕陽で照らされているのが美しかった．関西での生活も今年で５年目を迎えるわけだが，和束町とは切っても切れない縁が出来つつある様に思う．一つの町を４年もかけて好きになっていくとは思いもしなかった．



　ほんの数時間ばかりのライディングだったけれど，和束町の風景を見ることで，悶々としていた気持ちが嘘のように晴れ渡っていくような気がした．