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京都から紀伊半島へ抜けるルートのひとつに、まず高見峠と湯谷峠を越えて大台町へと向かう道順がある.そして、大台町から藤越峠か藤坂峠を越えれば、ようやく南伊勢の海沿いにたどり着く.藤越峠が珍しく通行止めだったので、藤坂峠を経由することにした.
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久しぶりの藤坂峠はなかなか過酷な道のりだったけど、無事に大紀町と南伊勢町の境界である峠にたどり着く.よく晴れた青空が印象的な日だった.ところが、思いのほか風が強く吹き荒れていて、少し肌寒い感じがした.藤坂峠に風は付きものであると言うことが最近わかってきた.
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海の方は風が強いので、しけているせいかぼんやりと白んで見えた.一方で、紀伊半島の山の稜線や神前湾、そして南伊勢町の景色ははっきりと見えてきれいだった.藤坂峠まで登ってきた労力が報われる瞬間だ.
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峠から見える山の稜線付近の樹木は、新緑の季節ということも明るい黄緑色の木が目立って見えた.樹木のこのモコモコとした感じが、いかにも紀伊半島らしく思える.山も冬の冬眠から本格的に目を覚ましたようだ.
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峠でしばらくの間、景色に見とれていると、冷却ファンが回るほどに熱くなっていたエンジンはすっかり冷たくなっていた.
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