オートバイで旅して観たモノの記録

 Ôtobai de tabi site mita mono no kiroku.

早朝の尾鷲港

2023年10月31日 | 尾鷲


 尾鷲の宿で一晩を明かし,早朝,宿の部屋から外を見ると,真っ暗な山の稜線のはるか上にたくさんの星が輝いていた.まだ時刻は5時を過ぎたころだ.雲はないし,今日はきれいな日の出を拝むことができそうだ.



 まだ暗いうちに宿を出発して,一直線で尾鷲港までやってきた.まだ上空は夜明け前の群青色だが,水平線に近づくにつれて空が少しずつ茜色に染まっていく.対照的に山や波止場のシルエットは真っ黒のままだ.



 太陽がまだ水平線の下にある時間帯,発色できるのは空と水だけらしい.それ以外のモノはすべて黒いシルエットにしかなりえない.そして,この漆黒の世界は空とコントラストを形成し,空をより鮮やかに見せてくれる.



 しばらくすると,太陽は佐波留島と桃頭島の間から空を茜色に染めながら昇ってきた.太陽の真横にある島は弁財島と思われるが,残念ながら周囲には雲があって,波止場から昇ってくるきれいな日の出を見ることができなかった.



 冬は太陽が桃頭島に隠れてしまうので,尾鷲港での日の出はまた来年にリベンジすることにしよう.それまでの間に機会があれば,一度だるま朝日を見ることができた小渡鹿岬に行ってみるのもいいかしれない.



 太陽ばかりに気を取られていて,はっと我に返ると尾鷲港には出港する漁船と港に戻ってくる漁船とがあわただしく行き交っていた.漁船のエンジン音に加えて,漁師さんたちの明るくて大きな声が漁港に響き渡っていた.



 日曜日の早朝とは思えないほどに尾鷲港は賑やかだった.さて,陽が昇って明るくなってきたし,そろそろ出発することにしよう.オートバイのキーを回してエンジンをかけると,アイドリングの回転数が2000rpmを越えたまま中々下がってこない.



 空がきれいに澄んでいるし,どうやら放射冷却で今年一番の冷え込みらしい.冷気が入ってこないようにジャケットのファスナーを締め上げ,早朝の尾鷲港を後にした.

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