織内将男の山旅の記録

若かりし頃よりの山旅の記録です・・!!

南ア・鳳凰三山紀行(16) 「御座石金山」

2012年05月30日 | 南ア・鳳凰三山紀行
.




南ア・鳳凰三山紀行(16) 「御座石金山」



ところで、山梨県には黒川金山(大菩薩の北部山域)など、山中所々に金山遺跡が見受けられる。

江戸時代に編纂された地誌や今に伝わる伝承を含め、武田信玄による隠し金山と呼ばれる金山が幾つもあったと伝えられている。
それらの中で、塩山市北方の「黒川金山」と身延町(旧下部町)の「湯之奥金山」などが有名であるが、それらの一つに、余り知られていないが「御座石金山」があったという。


ただ、御座石金山に関しては余り文書などの資料は残されてなく、その存在はベールに包まれているともいう。
鳳凰三山の玄関口にあたる御座石鉱泉近くには、古い坑道やその周辺からは含金(?)黒鉱鉱石を採集できるという。

「御座石鉱泉」の人の話では、近くに製煉所跡も残っているようですので改めて、探索する価値もあると言われる。



「御座石鉱泉」前を流れる小武川(こむかわ)を上流に向かうと、堀跡とみられるガレ場があり、その近くに古い坑道が残っている。

「山梨県地質誌」によれば、御座石鉱山は、御坂層群の黒鉱式鉱床および鉱脈とされ、黄鉄鉱、黄銅鉱、閃亜鉛鉱、方鉛鉱、重晶石を含むとされている。

黒鉱に伴う「金」は山梨県の金山では他に例を見ないユニークな存在で、坑道の入口付近やガレ場にには、鉄錆に覆われた部分や石英脈が走る部分がありその近傍に、真っ黒い黒鉱が眠っているという。

黒鉱とは、日本に特産する銅・亜鉛・鉛などの原料となる暗灰色の緻密な鉱石のことで、黄鉄鉱・黄銅鉱・四面銅鉱・重晶石・石膏などから成り、多少の金・銀を含む。



「御座石鉱泉」の玄関には、御座石鉱山の一部に緑青(ろくしょう;銅の表面に生ずる緑色の錆)を吹いた握りこぶし大のカラミ(鉱滓)が置いてある。

鉱泉の人の話では、昭和21年ごろまで鉱山は採掘しており、カラミ(すらぐ;鉱石を溶錬する際に生ずる、金属分をとった残り滓カス)があちこちの製煉所跡に落ちているとのこと。
古い時代のものは、製煉技術が発達していなかったので、金属分がカラミに含まれ、手に持つと重く感じるとのことであった。



尚、金山経営というのは、新田開発とともに戦国大名の軍事行動の基盤となる富国強兵政策であった。

甲斐の国においても最盛期を迎えていたと言われる大菩薩嶺の黒川金山(旧塩山市鶏冠山、現甲州市)や西八代郡の湯之奥金山や中山金山、南巨摩郡の保金山、それに北巨摩郡の御座石金山などに代表される。

これら本国(甲斐の国)の金山に加え、諏訪郡の金鶏金山や駿河の富士金山や安倍金山など直轄領の拡大で接収された他国の金山でも産出され、武田晴信(信玄)時代の対外的軍事行動を支えた。

しかし、甲斐の国の衰退、特に次代の勝頼時代の衰退とともに金鉱も衰えたといわれるが、それらの事実根拠を関係付ける論説も存在するとされる。






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南ア・鳳凰三山紀行(16) 「御座石金山」

2012年05月30日 | 南ア・鳳凰三山紀行
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南ア・鳳凰三山紀行(16) 「御座石金山」



ところで、山梨県には黒川金山(大菩薩の北部山域)など、山中所々に金山遺跡が見受けられる。

江戸時代に編纂された地誌や今に伝わる伝承を含め、武田信玄による隠し金山と呼ばれる金山が幾つもあったと伝えられている。
それらの中で、塩山市北方の「黒川金山」と身延町(旧下部町)の「湯之奥金山」などが有名であるが、それらの一つに、余り知られていないが「御座石金山」があったという。


ただ、御座石金山に関しては余り文書などの資料は残されてなく、その存在はベールに包まれているともいう。
鳳凰三山の玄関口にあたる御座石鉱泉近くには、古い坑道やその周辺からは含金(?)黒鉱鉱石を採集できるという。

「御座石鉱泉」の人の話では、近くに製煉所跡も残っているようですので改めて、探索する価値もあると言われる。



「御座石鉱泉」前を流れる小武川(こむかわ)を上流に向かうと、堀跡とみられるガレ場があり、その近くに古い坑道が残っている。

「山梨県地質誌」によれば、御座石鉱山は、御坂層群の黒鉱式鉱床および鉱脈とされ、黄鉄鉱、黄銅鉱、閃亜鉛鉱、方鉛鉱、重晶石を含むとされている。

黒鉱に伴う「金」は山梨県の金山では他に例を見ないユニークな存在で、坑道の入口付近やガレ場にには、鉄錆に覆われた部分や石英脈が走る部分がありその近傍に、真っ黒い黒鉱が眠っているという。

黒鉱とは、日本に特産する銅・亜鉛・鉛などの原料となる暗灰色の緻密な鉱石のことで、黄鉄鉱・黄銅鉱・四面銅鉱・重晶石・石膏などから成り、多少の金・銀を含む。



「御座石鉱泉」の玄関には、御座石鉱山の一部に緑青(ろくしょう;銅の表面に生ずる緑色の錆)を吹いた握りこぶし大のカラミ(鉱滓)が置いてある。

鉱泉の人の話では、昭和21年ごろまで鉱山は採掘しており、カラミ(すらぐ;鉱石を溶錬する際に生ずる、金属分をとった残り滓カス)があちこちの製煉所跡に落ちているとのこと。
古い時代のものは、製煉技術が発達していなかったので、金属分がカラミに含まれ、手に持つと重く感じるとのことであった。



尚、金山経営というのは、新田開発とともに戦国大名の軍事行動の基盤となる富国強兵政策であった。

甲斐の国においても最盛期を迎えていたと言われる大菩薩嶺の黒川金山(旧塩山市鶏冠山、現甲州市)や西八代郡の湯之奥金山や中山金山、南巨摩郡の保金山、それに北巨摩郡の御座石金山などに代表される。

これら本国(甲斐の国)の金山に加え、諏訪郡の金鶏金山や駿河の富士金山や安倍金山など直轄領の拡大で接収された他国の金山でも産出され、武田晴信(信玄)時代の対外的軍事行動を支えた。

しかし、甲斐の国の衰退、特に次代の勝頼時代の衰退とともに金鉱も衰えたといわれるが、それらの事実根拠を関係付ける論説も存在するとされる。






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