
都内でも人気の動物園。閉園時間が訪れる。
名残惜しげに手を引かれて帰る子供達を見送る視線があった。その視線はするどい眼光のパンダだった。
最後の客を見送ったパンダは、飼育員にお疲れと言いながら、シャワールームに向かった。
シャワーのカランをひねる。
適温の湯が心地よい刺激とともに空間を満たしていく。
パンダは自問自答していた。俺は道化だ。
でも人気者になりたかった。もう後戻りはできない。人間達もだましている。
パンダの足下は見る間に白色になっていく。鏡に写る姿はパンダではなく真っ黒なツキノワ熊になっていた。
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