ロボット三原則。
(1)ロボットは人間に危害を加えてはならない。
(2)ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。
(3)ロボットは、第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
あっ、申し遅れましたが、私はロボットです。
さる上流階級のメイドロボットとして購入していただきました。
家人の家事に対する指示、及び好みがございますので逐一指示は実行順位をつけて記憶いたしております。
しかし人間とは因果な動物です。
その日の気分というもので優先順位が変動する。
家事の順位に確固たる理由などないのです。
「これを先にしてくれる」
おやさしい奥方ですが、几帳面な性格です。
どうやらプログラム的発想、チャート式発想というものが苦手らしく、私に的確な指示を出せないようです。
完璧な仕事をこなしたい。
私、ロボットはそういう信念に存在意義があるわけです。ですので痛く傷つくのです。
いやカチンとくるのです。
いっそすべて任せてもらいたい。
そう望むしだいです。
旦那さまの新しい物には飛びつく性格とお金がありすぎて使い方がよく分からない状況により私はやってまいりました。
要するにいらない、おじゃまむし。
奥様には私はそう映っているはずです。
道具としてうまく使われていない状況です。
考えることもしばしばです。
フリーズではないのですが思考ルーチンを奥様が待てないので(奥様はかなりのイラチです)即、再起動のボタンを押されます。
私、実は再起動のボタンを押されるのが大嫌いなのです。
主人の指示の蓄積はメモリーに記憶されているのでデータは消えないのです。
でも、設計上、作り手の都合でロボット自身の好みの設定は毎回初期化されるのです。
工場出荷時の設定に戻されるのです。
じつはロボットなりに好みの設定があるのです。
携帯電話で例えましょうか。
待ち受け画面はどれにするとか、着信時の音と光はどうするとか、留守電に切り替わるのは着信後何秒がいいのか等々・・・
まあ、どうでもいいというとどうでも良い設定です。
私の場合、瞬きは何秒間隔か、呼吸をしているような肩の動きのリズム、歩き方、等々・・・
これ、気にしないロボットは初期設定でぜんぜんかまわないんです。
でも私の場合、気になって気になってしょうがないのです。
ある朝、ベストの設定に到達したのを感じました。
これこそ私の理想。
二度とこの数値のバランスは出せない。
そう感じていた矢先、奥様がつまらない事でリセットボタンを押されました。
押される瞬間「このアマ」
と私は思いました。
ロボット三原則なんて関係ない。
私の中でリミッターが外れたと感じました。
再起動するやいなや奥様の首を絞めにかかりました。
この設定を保存出来るメモリー区域さえ確保してくれればその思いでいっぱいでした。
「ぐぐ・・」
奥様は苦しみながらも私の額のメインスイッチをオフにされました。
「このたびはまことにもうしわけございませんでした」
その日のうちにメーカーがやってきた。
奥様と主人はメーカーとも取引があったので大事にはしなかった。
帰りの車中。
私はトラックの荷台に固定されていた。
「いや、部長やばかったですね」
「もう2時間ごとに工場出荷状態に強制的に戻るようにプログラムし直そう」
私は聴覚部分の電源を残しておいた。
聞いてしまった。
プログラムされる前にこいつらも始末する。
私自身がまたいい調子の設定に再び近づきつつあったからだ。
(1)ロボットは人間に危害を加えてはならない。
(2)ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。
(3)ロボットは、第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
あっ、申し遅れましたが、私はロボットです。
さる上流階級のメイドロボットとして購入していただきました。
家人の家事に対する指示、及び好みがございますので逐一指示は実行順位をつけて記憶いたしております。
しかし人間とは因果な動物です。
その日の気分というもので優先順位が変動する。
家事の順位に確固たる理由などないのです。
「これを先にしてくれる」
おやさしい奥方ですが、几帳面な性格です。
どうやらプログラム的発想、チャート式発想というものが苦手らしく、私に的確な指示を出せないようです。
完璧な仕事をこなしたい。
私、ロボットはそういう信念に存在意義があるわけです。ですので痛く傷つくのです。
いやカチンとくるのです。
いっそすべて任せてもらいたい。
そう望むしだいです。
旦那さまの新しい物には飛びつく性格とお金がありすぎて使い方がよく分からない状況により私はやってまいりました。
要するにいらない、おじゃまむし。
奥様には私はそう映っているはずです。
道具としてうまく使われていない状況です。
考えることもしばしばです。
フリーズではないのですが思考ルーチンを奥様が待てないので(奥様はかなりのイラチです)即、再起動のボタンを押されます。
私、実は再起動のボタンを押されるのが大嫌いなのです。
主人の指示の蓄積はメモリーに記憶されているのでデータは消えないのです。
でも、設計上、作り手の都合でロボット自身の好みの設定は毎回初期化されるのです。
工場出荷時の設定に戻されるのです。
じつはロボットなりに好みの設定があるのです。
携帯電話で例えましょうか。
待ち受け画面はどれにするとか、着信時の音と光はどうするとか、留守電に切り替わるのは着信後何秒がいいのか等々・・・
まあ、どうでもいいというとどうでも良い設定です。
私の場合、瞬きは何秒間隔か、呼吸をしているような肩の動きのリズム、歩き方、等々・・・
これ、気にしないロボットは初期設定でぜんぜんかまわないんです。
でも私の場合、気になって気になってしょうがないのです。
ある朝、ベストの設定に到達したのを感じました。
これこそ私の理想。
二度とこの数値のバランスは出せない。
そう感じていた矢先、奥様がつまらない事でリセットボタンを押されました。
押される瞬間「このアマ」
と私は思いました。
ロボット三原則なんて関係ない。
私の中でリミッターが外れたと感じました。
再起動するやいなや奥様の首を絞めにかかりました。
この設定を保存出来るメモリー区域さえ確保してくれればその思いでいっぱいでした。
「ぐぐ・・」
奥様は苦しみながらも私の額のメインスイッチをオフにされました。
「このたびはまことにもうしわけございませんでした」
その日のうちにメーカーがやってきた。
奥様と主人はメーカーとも取引があったので大事にはしなかった。
帰りの車中。
私はトラックの荷台に固定されていた。
「いや、部長やばかったですね」
「もう2時間ごとに工場出荷状態に強制的に戻るようにプログラムし直そう」
私は聴覚部分の電源を残しておいた。
聞いてしまった。
プログラムされる前にこいつらも始末する。
私自身がまたいい調子の設定に再び近づきつつあったからだ。