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風穴と石氷庫

2008-08-26 21:33:34 | 旅、歴史、文化
    ▲ 蚕種を長期保存した風穴の入口(内側の扉部)

  
    ▲ 6月というのに、天井や床には氷が残っている。

 麻績村の野口地籍に風穴跡があります。四阿屋山北斜面の岩の隙間を通り、地下水脈で冷やされ下りて来る冷気を取り入れた天然の冷蔵庫です。外気が入らないように、四方の壁は石積で屋根が掛けられ、入口は二重扉となっています。風穴内の温度は春には3~4度で氷が残り、夏でも10度程度と非常に涼しい。
 1868年に造られたというこの風穴は、地域の養蚕業を大きく発展させました。蚕種を風穴で低温貯蔵して孵化時期を遅らせることにより、飼育期間は固定されず飼育回数が増えたのです。
 現在ならワイン庫などのグルメ思考になりますが、風穴はこの地域の産業を大きく発展させたのです。

 一方、韓国には石氷庫(ソッピンゴ)という大型冷蔵庫があります。韓国内にはこの石氷庫跡が各地に残っているようですが、慶州市の新羅時代の王宮“月城”跡には、規模が大きく技法も優れた朝鮮時代のものが残っています。
 石と土を断熱材とした石室に、当時は貴重だった天然の氷を冬に貯蔵して、一年中使ったとのことです。夏の冷菓など上流階級のグルメに必要だったのでしょう。
 韓国の人気ドラマ「宮廷女官 チャングムの誓い」でよく見た宮廷料理を支えたり、またその発展にも大きく貢献したことでしょう。

 野口地籍の風穴も慶州市の石氷庫も、人間の智恵が自然を活用したのです。しかも、今日でいう「エコ」です。
 石油製品が全て高騰する今、このような自然活用エコにもっと目を向けても良いのではないでしょうか。

(追記)
 石氷庫に保存された氷は、夏の流行病の熱を下げたり、死体の腐敗を遅らせたりするのにも使われたそうです。
 王宮で使われた立派なものから、集落単位で建造された小さなものまで、そこに保存された貴重な氷は、人々の生活や文化の向上に大きな役割を果たしてきたことでしょう。

    ▼ 規模と技法で傑作といわれる慶州市月城跡の石氷庫
  

    ▼ 広い石氷庫の内部。石組みの技術もすごい!
  
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