咳が止まらない。気だるくて治す気力も起きてこない。怠け心に負けて風邪をひいたままでいた。
ようやく風邪を治す気になり、気をゆるめて全力で寝た。一ヶ月ぶりに風邪が治った。やる気が湧いてきた。心とは何と現金で、また不自由なものか。
風邪自体が治療行為であるとの説がある。風邪を経過した後は疲れている処が回復し、弾力のあるピッチリした体になるらしい。
風邪にかかることで回復すべきものがあったのかもしれない。困難に出会うことで乗り越えるべきものがあるのかもしれない。風邪や困難に振り回されず、自分を見据えられるようになりたいものである。
判断を誤るのは自分がどんな状態のときか。風邪をひいたとき。頭に血がのぼりカッとなったとき。
自分が判断を誤るときを知れば対策はある。風邪を治すことに全力を尽くせばよい。カッとなったときは判断せず、冷静になるまで待てばよい。
先日、職員会議規程が改正された。
本校では、過半数の賛成が得られないと原案は否決される慣行であった。保留の多い事案では、反対が少数であっても原案否決となることが度々あった。慣行の矛盾は歯がゆかったが、機が熟するのを待った。
空気が変わるまで、慣行の矛盾を幾度となく指摘した。時が必要と判断した。気長な判断には気力の充実が不可欠。風邪さえひかなければ、根気も続く。
規程改正の会議の際には風邪をひいており不調。狙いと異なるところで強い反対に会い、柔軟な対応ができない。法解釈で教頭として前面に立ったが、反省しきり。体調不良では教頭失格である。
懸案の単純多数で決定する方法を規程に加える案については何事もなく承認された。合意のタイミングを待った判断の勝利である。教務主任の粘り強く、かつ柔軟な対応の成果である。
人間は弱い。しかし、自分の弱いところを見つめ冷静に対処する強さを人は持ちうる。風邪のお陰でパスカルの言葉を再発見した。
「人間は考える葦である」 <2001.12.15>
奥井はよく風邪を引いていますね。いくら風邪に効用があるといっても、不摂生というか気の弛みがあるように思えます。
弱い自分を見つめながら、弱い自分に冷静に対処する強さを持ちたいものです。