はがきのおくりもの

 思い出したくなったら、ここに帰っておいで!!!
 元気を補給したら、顔を上げて、歩いて行くんだよ!

県立学校教員等新任式 式辞

2015年04月04日 | だいこん県教委 2015

 年度末から年度当初にかけて13本の式辞を読んだんだとか。
 担当が作ってくれたものを手直ししたのが原稿で、それをもとにアドリブで話したのが本番の式辞だそうです。
 それにしてもきちんと式辞を読めないんですね、奥井は。
 年度当初では最後の式辞を紹介します。

 


 新任式に当たり、埼玉県教育委員会を代表して、式辞を申し上げます。
 本県、県立高等学校並びに公立特別支援学校の教諭、養護教諭、栄養教諭、実習助手、寄宿舎指導員となられた520名の皆さんに、まずもって心からお祝いを申し上げます。

 希望に燃え、意欲と元気にあふれる皆さんを本県教育界に迎えますことは、誠に嬉しい限りであります。
 皆さんの教育に対する情熱は、児童生徒にとって大きな魅力であるとともに、元気な学校をつくっていくための原動力でもあります。
 いつの時代であっても変わらぬことですが、国の将来を担う子供たちを立派に育てることは、同じ時代を生きる大人たちに課せられた責務であります。皆さんは、教育という重い責任のある仕事に向かう自覚と誇りを持ち、自らを磨き、県民の期待と信頼に応えられるよう、全力で職務にまい進してください。

 さて、現在、我が国は時代の大きな転換期にあります。
 本格的な人口減少、超高齢社会の到来など、社会を取り巻く環境は大きく変わりつつあり、戦後の発展を支えてきた仕組みや制度の多くが見直しを迫られています。さらに、東日本大震災は、大規模災害に対する危機管理や被災した子供たちへの対応など今まで想定しなかった課題を生じさせています。
 また、教育の分野においては、学力向上や特別支援教育の充実、いじめへの対策が大きな課題となっております。教育委員会制度の改革も進められ、次期学習指導要領の改訂が中教審に諮問されました。変化の時代において、教育の在り方も変化を迫られています。

 私は、こうした状況の中で、これからの教育が果たすべき役割は、子供たちに「自助」「共助」の力を身に付けさせ、「公助」を担う人に育てることにあると考えています。
 中でも「共助」の力、「つながる力」を育てることが大切と考えています。人は自分の持って生まれた素質やDNAで、能力や可能性が決定されるわけではありません。他者と出会い、人と人との交流を深めていく中で、自分の役割や生きる意味が生まれるのです。人との関わりの中で自分のよさに気付き、よさを伸ばしてよさを活かす教育を推進する必要があると思います。
 そこで、皆さんに身につけてもらいたいものを、「自助」「共助」「公助」の観点から述べてみたいと思います。それらは子供たちに身につけてもらいたい力や考え方でもあります。

 1つ目は、「自分をコントロールする力」です。これは「自助」の力の一種です。
 自分をコントロールする力は、多方面からつけていく必要があります。

 例えば、「愉快に生きる姿勢を身につける」ことで、自分をコントロールする力が身についていきます。
 私が心がけてきた「愉快に生きる秘訣」をお教えしましょう。
 いつもちょっと無理をする、時々思い切り無理をする、時々すっかり脱力する、というふうにメリハリをつけて生活すること。すごい人と関われるよう努力すること。人のために生きることを目指すこと、この3つです。
 私は、教員時代に誤答訂正ノートを生徒全員から集めて添削指導をしたり、クラス通信を毎日発行したり、校長時代には、ハガキ表彰状を2万通以上生徒に贈ったり、いつもちょっと無理をすることを続けてきました。おかげで少しの無理ならば楽しめるようになりました。

 「元気を回復する方法を身につける」ことでも、自分をコントロールすることができるようになります。
 私は実践してきた「元気を回復させる秘訣」を伝授しましょう。
 1つ目は、元気の補給路を3つ以上確保することです。私の場合、教員時代は、授業と部活動とクラスの3つの場面で、生徒たちから元気をもらっていました。例えば授業では、数学の授業研究や教材作りがどんどん面白くなって、自分で問題をつくるようになりました。部活動では、バスケットボール部の顧問として部活動の指導に熱中しましたし、クラス担任をするようになってからは、担任業に熱中して、クラス通信を1年間1日も欠かさずに出し続けました。
 2つ目は、心ではなく体を動かすことで元気を回復する方法です。例えば顔を上げ、手を振って、大またで歩いてみましょう。深呼吸で、不安を吐き出して、大地の元気を吸い込む方法もありますし、意識的に元気な声で「はい」と返事をする方法も有効です。
 3つ目は、自然から元気をもらう方法です。朝、太陽に「今日も一日、丸く豊かに明るく元気に感謝して生きられますように」と声を出して挨拶すると、効果があります。
 自分をコントロールする力には、他にも、落ち込んで正常な判断ができないときに、判断を先に延ばすことなどもあります。ぜひ、自分と上手につき合う方法を身につけていってください。

 次に、身につけてもらいたいものの2つ目は、「助けてもらう力」です。これは「共助」の力の一種です。
 助けてもらう力の根底には、何としても生き延びよう、解決しようとする生命力が必要です。この生命力の上に、優先順位やものの軽重を判断する力を加えたものが、助けてもらう力ではないかと思っています。
 まずは自分でやってみる。その上で、助けてもらっても解決すべき問題か、自力でどこまでやるかを判断し、誰に助けてもらうかを考えます。助けてもらえる関係を築いておくことも必要です。そうした助けてもらう力を意識して身につけてください。
 助けてもらう力をつけて初めて、人との関係の中に自分の役割を見つけることができます。
 
 身につけてもらいたいものの3つ目は、「贈与という考え方」です。これは「公助」の力の一種です。
 私たちは非常にたくさんのものを与えていただいて生きています。言葉も、知識も、振る舞い方も、考え方も、多くの人々からほとんど無償で与えていただいたものです。それらを与えてくれた人にお返しすることはできません。ですから、後から来る人たちへお返ししています。それが『贈与』という営みです。
 お返しを与えてくれた人に返さなければならないと考えるのが『交換』の考え方で、必ずしも与えてくれた人ではなく、必要とする人に返そうと考えるのが『贈与』の考え方です。これからの時代には『贈与』の考え方が大切になってくるのではないかと思います。
 教育は、まさに『贈与』の考え方がなじむ営みです。皆さんがこれまでに得てきた沢山のものを子供たちにお返しする、教育という営みをぜひ楽しんでいただきたいと思います。

 「自分をコントロールする力」「助けてもらう力」「贈与という考え方」を身につけてほしいというお話をしました。

 教員生活は苦労も多いですが、楽しみもたくさんあります。素敵な教員生活を送ってください。応援しています。
 それでは、皆さんのこれからの活躍に大きな期待をいたしまして、式辞とします。本日はおめでとうございました。


1 コメント

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おっと (安定の不安定)
2015-04-07 21:44:25
勢い余って、県名が実名になってます。
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