虚空漂浪日記

魂の開放を求めて、右往左往。嫌われものの”宗教”の根本を捜し求める日記です。

核実験のフォールアウトはガンを増加させなかったのか?-その1

2011-11-08 16:49:21 | 社会
福島原発人災後から”フォールアウト”という言葉に遭遇しますが、なんのことだろうという向きには、ウィキペディアの説明をどうぞ。
要するに、核実験などによってばら撒かれた放射性物質が地上に落下した事態を”フォールアウト”と英語でいうだけです。日本語的には”死の灰”ですね。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BE%E5%B0%84%E6%80%A7%E9%99%8D%E4%B8%8B%E7%89%A9(「放射性降下物」)

福島原発人災事故について、低線量被ばくの問題、放出された放射性物質の種類や量とその危険性、プルトニウムは軽々と空を飛ぶということなどなどを調べ、デタラメな情報に一つ一つ反論してきましたが、今ひとつ証明が難しいのが、この核実験によるフォールアウトとガン増加の関係です。
放射性物質が”安全だ!”などという輩(やから)が安全・安心情報を流して、人々を死に追いやっていますが、その根拠として”50年~80年代のフォールアウトがあっても何の影響もなかった!”というものです。
このフォールアウトについては、私もまったく知りませんでしたし、その被害がどの程度あるかなど興味もありませんでした。
そういう意味では、福島原発人災事故とその擁護者が提起してくれた戦後の米・英・仏・ソ(露)・中国などの核実験が、如何に人類に対して犯罪的で愚かしい行為であったかという事実を想起させました。

まず、この”フォールアウト”なるものが、私たちの生命に影響を与えなかったという意見からみていきましょう。
余り、偏向されていず、自分の意見を述べているブログを参考にしてみてみましょう。

http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-9afe.html(「東京の核実験による放射性降下量と白血病・ガン患者数の相関関係」農と島のありんくりん)

この方はプロフィールで名前がわかりますから、取りあえずHさんと言っておきましょう。

Hさんは次のように言っています。

「(核実験の)回数が何ともえぐい。いちばん多かった62年など実に年間178回です。年に178回ですぞ!この回数分原発が世界各地で爆発しているのも同然だったわけです。」*( )は一刀斎が追加。

Hさんは、まずここで1番目の間違いを犯しています。

原水爆1発と原発1基をイコールで考えているようです。
使用する核物質(燃料)の規模がぜんぜん違います。

その説明については、疑問に対する回答がありますので、覗いてみてください。

http://okwave.jp/qa/q6635554.html (「原発被害と原爆被害?の違い」)

「原子爆弾に使用されているウランやプルトニウムの量は数kgから数十kg程度で、その上、爆発の際に実際に核分裂を起こすのは、その中の1~2kg程度に過ぎませんから、核分裂によって発生した強い放射能を持つ放射性物質の量も、1~2kgよりは少なくなります。
それに対して、福島第一原子力発電所にある原子炉の中でも、最も小型である1号炉ですらウランが(核分裂前の量にして)約73~78トン入れられています。(6号炉や第二発電所の炉では140トン以上)」

はい、この点では勝負ありましたね。原発のほうが圧倒的に多い放射性物質を作り出すのです。
あとは放出量の問題になります。

「経済産業省原子力安全・保安院は(8月)26日、東京電力福島第一原子力発電所事故と、広島に投下された原子爆弾で大気中に放出された放射性物質の種類別の量をまとめた資料を公表した。単純計算すると、原発事故の放出量はセシウム137が原爆の168.5倍、ヨウ素131が2.5倍にあたる。」

と言ってますが、

「東京電力福島第一原発の事故で大気中に放出された放射性セシウムは、内閣府の原子力安全委員会が公表した推定値の3倍になるとの試算を、ノルウェーなど欧米の研究チームが発表した。チェルノブイリ原発事故の放出量の4割にあたるという。大気物理化学の専門誌に掲載された。
研究チームは国内の測定データのほか、核実験探知のために設置された北米や欧州などの測定器のデータを使い、事故が起きた3月11日から4月20日までのセシウムやキセノンの放出量を分析した。
セシウムの放出量は約3万5800テラベクレル(テラは1兆)で、原子力安全委の試算値1万1千テラベクレルの約3倍。降下物は大部分が海に落ちたが、19%は日本列島に、2%は日本以外の土地に落ちた。」(10月31日・朝日新聞)

正直なところ、どのくらいの放出量はわからないといったところのようです。

また、Hさんが使用しているグラフをみてもわかるように、たった1基の原発(チェリノブイリ)が放出した量は178回の核実験が放出した量に匹敵していることをみても、1基の原発から放出される量の莫大(ばくだい)さがわかるというものです。
「この回数分原発が世界各地で爆発」でもしたら、若者言葉でいえば”地球オワタ”ですね

第2番目の間違いは、これ。

「放出される放射性物質もケタが違います。ビキニ環礁の核実験で放出された放射性物質は、甲状腺の内部被曝に換算するとこうなります。
・ビキニ環礁・・・・・200グレイ
・チェルノブイリ・・・50グレイ
・福島県浪江町・・・5ミリグレイ 」

これは何をもって比較したのか分かりませんが、論外! 話になりませんね。ガセネタを掴(つか)まされたのでしょう。
ですから、データはどこから引用したかを確認できるようにしたほうがいいと思います。

第3番目は、「核実験時代の東京への放射性物質降下とチェルノブイリ、福島原発事故との比較」というグラフにあります。

このグラフの右上に福島原発事故による放射性物質降下量が示されていますが、何故かHさんは無視しています。
多分、自分の考えと違う事実が示されているので、半分グラフを隠し、気づかないようにしたものと思います。
図では、福島原発事故のほうが高い数値が示されています。
こういうゴマカシは良くないですね。

さて、第4番目ですが、Hさんはグラフの見方がわかっていません。
そのことは核実験とチェリノブイリ原発事故からの核物質放出の違いが分かりそうなものですが、ぜんぜん分かってないという事実からうかがえます。
本題のガンとの関係ですが、ここが非常に難しいのです。
第一に、ガン死亡者数は一貫して増加しています。
ただ、Hさんが誤解しているのは、ある期間が過ぎたら”雨後の竹の子のように”ガン患者が増加すると考えていることです。
そんなことはありません!
Hさんはこう主張しています。

「白血病・ガンはやや遅れて8年や10年後と言われています。
ならば、日本の白血病・ガン患者は70年代中期から激増していかねばなりません。折れ線グラフで描けば急上昇トレンドの線を描かねばなりません。」

Hさんの勘違いは、8~10年後には多くの人が一気にガンを発症すると考えていることです。
そんなことはないのであって、まず、放射性物質に過敏なグループ-どちらかといえば少数です-がガンに罹(かか)り、次に多少過敏なグループというように進んで、最終的には40~50年後に発症するグループがいるというふうに長いスパンで見なければいけないのですね。
そう考えれば、長寿命化と高齢者の増加によってガン患者が重層的に増加していくのと、ガン患者(死亡者)の増加傾向と一致していくはずです。
以前に疫学調査報告のゴマカシを暴露しましたが、あの調査でも自然放射線の影響は高齢者になるほど大きくなっていました。

第5番目ですが、セシウム137と白血病・ガン発生との因果関係ですが、白血病との関連は無理筋だと思います。

Hさんは、「もし、セシウム137の放射性降下と白血病・ガン発生が因果関係があるのなら」云々といってますが、セシウム137の人体への影響を調べてみると、このようなHPがヒットしました。

http://matome.naver.jp/odai/2130162797765531901(「セシウム137による不妊化、心疾患、心不全をはじめとする人体への影響まとめ」NAVER まとめ)

これによると、主に筋肉系や心臓などに影響を与えるほか、不妊になるという報告があります。白血病との関連についてはハッキリとは確認できませんでした。
白血病と関連があるのはストロンチウム90ですから、セシウム137と関連づけるのは無理でしょう。
この点は勉強不足といえますね。

最後になりますが、「私は低線量被曝が晩発障害と因果関係がない、などと言っているのではありません。因果関係が実証された定説であるかのように言うのは躊躇する、と言っているにすぎません。」とHさんは締めくくっています。

低線量被ばくに「因果関係が実証された定説であるかのような」というのは、おかしな話で、まったく”定説”ではありませんね。
”定説”は200mSV以下の低線量被ばくによる人体への影響は、証明されていないというものですw。
証拠はたくさんあるのですが、認めたくないというのが”定説”なのであって、Hさんは低線量被ばくの危険性を訴える人々に反発しているだけということです。

Hさんのブログをダシにして、フォールアウトとガン増加について考えてみました。
ここ1ヶ月くらい、この問題について調べていたのですが、なかなか証明が難しい問題だと思います。
色々な人のHPやブログをダシにして、フォールアウトとガン増加の関連を明らかにしていきたいと思っています。

ということで、今日はここまで!

では、またお会いしましょう

一刀斎は、原子力発電所の即時停止と全廃を支持します!
TPP参加を阻止し、TPP参加支持の議員を次回選挙で落選させましょう!



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