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三十汁+α

いよいよ三十路のアタクシを、節度を保ちつつ、垂れ流していこうかな。
とか言ってるうちに、もう@年。

殺人鬼フジコの衝動 <真梨 幸子>

2012-01-14 09:32:58 | 

 本屋で平積みされまくっててすんごい目に入るし、気になるタイトル、気になるあらすじ。

 ゲットしちゃった。

 でも思ってたのとは、ちょっと違った。

 

 もっと殺人鬼が殺人鬼にならざるを得なかった理由とかが描かれてるかと思ったんだけど、殺人鬼になって殺しまくってるのは最後の方で。

 それももう理由も衝動もなくサクサク殺してて。

 

 それよりフジコが一家惨殺事件以降どうやって生きてきたか、っていう事がメインに書かれてますな。

 またその生き方がなんつーか…いわゆる転落人生なわけですよ。

 若いうちからおバカな男に引っかかり、それと結婚してももちろん上手くいかず。

 

 結局旦那も子供も殺して、整形して金持ちの旦那を再び手に入れるも、旦那の会社倒産。

 それでも金持ってた頃の生活から抜けられず、子供の給食費まで出し渋るように。

 

 なんとも見事に空っぽで虚しい人間が出来上がっていましたよ。

 

 構成はちょっと面白い。

 はしがきから始まりあとがきまでが、この小説を構成しております。

 しかしあとがきから読む人いると思うんで、こりゃー注意書きとかしといてよねー、って感じじゃね。

 

 

 以下、ネタバレあり!!

 

 

 

 

 

 

 一人称で書かれてるのは早季子部分なんでしょうか。

 だとすると、体操服が姉妹で1枚しかないのも、K君にえげつないイジメ(あれはイジメを超えてると思うけど)を受けてたのも、早季子だったってこと?

 んで、アロエやらローズヒップを食べてたのがフジコって事?

 じゃーフジコの幼少時代は?

 まぁ同じカルマを背負ってグルグル回ってるって事なんだろうから、同じような感じだったんだろうけど。。。

 

 あとフジコは殺した人の死体が見つからないようにする主義だったみたいだから、雑誌記者はフジコが殺したんじゃないって事だよね。

 

 んで真犯人のヒントがピンクの口紅って事は、真犯人は叔母さん?それとも小坂さんのお母さん?

 どっちだ・・・読み込めば分かるのかしら?

 ほんで作中作品の作者であるところの美也ちゃんを殺したのも、叔母さんか小坂さんのお母さんのどっちかってこと?

 

 うーん、色々分からん。

 

 いずれにせよ、淡々と虚しい感じの物語でありました。

 

 

 

 

 

 

 

殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)
真梨 幸子
徳間書店

ロミオとロミオは永遠に <恩田 陸>

2012-01-09 08:23:20 | 

 ぐはー、一気読み。

 やはり読書の醍醐味は一気読みにつきるのでしょうか。

 力のある文章にぐいぐい引っ張られながら、まるで疾走感を感じるような一気読み。

 幸せな時間です。

 

 

 さてさて、SFです。

 消費しつくしボロボロになった、未来の地球が舞台です。

 みんな 『新地球』 に移住しちゃって、産業廃棄物処理の為に日本人だけがボロボロの 『旧地球』 に残ってる。

 その世界で将来的に生活を保障されるためには、『大東京学園』 の卒業総代になることだけ。

 でみんな 『大東京学園』 の卒業総代を目指すわけなんですが。

 この学園生活がまぁ、理不尽なんだわ。

 実力テストも学生生活も、過酷過酷。

 ここに書いちゃうと、どれも滑稽で胡散臭くなってしまうので、こればかりはもう読んでその世界を楽しんで頂きたい。

 

  

 以下、ネタバレあり!!

 

 

 

 

 

 ストーリーのメイン軸は、アキラとシゲル(そして新宿クラスの面々)が脱走できるのか否か、ってトコだと思うんですが。

 もう大東京オリンピックからのスピード感、止まりませんでしたよ。

 

 トンネルの落盤で、もうちょいのとこで死んじゃった二人(名前忘れた)は、悲しかった。

 ちょっと泣いちゃった。

 やっぱりあんだけ厳重な警戒網がはられてて、みんな目出度く大脱走、とはいかないんだねぇ。

 

 『成仏する』 っていうのがああいう事で、しかも途中で未来の自分達の様子を電話越しとは言え聞いたって事は、これはもう循環してるって事だよねぇ。

 未来の世界ではやっぱり、彼らは大東京学園目指して頑張ってたり、理不尽な目に会っていたり。

 

 キョウコもいかにもヒロインって感じのキャラでしたな。

 まさに少年漫画的な。 

 

  まぁいずれにせよ、脱走成功できて良かったっす。

 その後のカゴシマさんとかの様子も知りたい。

 にいちゃんとは会えないのかな。

 

 

 

 ところでこの作品、非常にたくさんのサブカル作品へのオマージュ?パロディ?引用?があるみたいですが。

 ほぼ分からん。

 そんな事は気にせず、ストーリーだけ追っちゃったからなぁ。

 誰か教えてくれないかな。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

ロミオとロミオは永遠に (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
恩田 陸
早川書房

Another(上・下) <綾辻 行人>

2012-01-08 08:13:43 | 

 綾辻氏は本格もののイメージが強いですが、これはホラーになるみたいです。
 本格ものは苦手だけど、綾辻氏は好き。
 トリックもイイけど、お話がオモシロイのですよ。
 
 『囁き』シリーズが好きだったので、これも絶対外さない予感。

 ジャケもステキで、ムハムハで上下巻一気読みでした。
 超絶オモロかった!
 そしてめっちゃ怖かった!!
 でもオモロかった!!!(2回言った)

 さすが綾辻氏のホラー
 だいぶライトな語り口なんですが、読んでる間、何度も鳥肌が。ヒィィ
 久々に怖かったですよ。
 読み終わった後も、恐怖の余韻が。
 でもちょっと物悲しさもあるのです。ヨヨヨ
 なんかちょっと 『屍鬼』 を思い出しました。


 ネタ部分もさすが。
 途中で『コイツか?』と思ったんですが、そこにさらに仕掛けが。
 やーらーれーたー!
 
 



 以下、ネタバレあり!!!

 











 怖い、怖いねぇー。
 一人ずつ消えていくってのがミステリーの常套なら、一人増えてるのはホラーの常套なのか。
 怖いよ。
 消えるより、増えてる方が。ヒィィ

 いつのまにか増えてる一人が誰なのか、誰にも(本人にも)わからない。
 増えてるって事だけは分かる。
 これって昔、那須雪絵さんの短編漫画にあったよね。
 って誰も知らんか。

 ある年から不定期に繰り返され続けている、呪い?たたり?とある現象。
 それが『ある年』は、『生徒が一人増えてる』事をもって、その年だって分かる。
 でも今年は生徒は増えてなかったはずなのに、やっぱり『ある年』だった。
 おぅ、こう書くと最初っからとっくに、そのネタはバレていたのか。。。。
 なんで気付かなかったんだろ。
 まぁ恒一クンの転入が『増えた』事に繋がった、と思わされたんだねぇ。
 あと4月の厄災はカウントに入ってなかったからか。
 うぅー、良くできとる。

 『死者(増えてる一人)は誰なのか』、これがこの物語のキーなわけです。
 一番トリッキーな話として、語り部である主人公がそうじゃないかと思ったけど、違った。
 そんな浅くなかった。
 私がそれが誰か分かったのは、机と椅子の数が合っていたにも拘らず、4月から厄災は始まっていたと、はっきり記された時でした。
 遅ーー。

 でも三神先生があの人だったとは。。。。
 九官鳥は何か鍵を握ってるとは思ったけど。


 管理人の奥さんがなんでああなったかが、唐突すぎる気がするけど。
 まぁそれがあの現象って事なんでしょう。
 閉ざされた館、迫りくる殺人鬼と炎。
 あそこのスピード感と緊張感は、楽しゅうございました。


 『増えてる一人』=殺人者じゃないのが悲しいよねぇ。
 厄災の源ではあるけど、本人にはその自覚はないわけだし。
 そう考えるとこの現象は、二重に不条理ですな。


 そうそう、後書きで綾辻氏が書かれてましたが、この本の成り立ちに恩田陸さんの『六番目の小夜子』のイメージもあったそうで、大変嬉しい。
 やはり呼ばれたのか。。。


 さてさてこの物語、コミック化は勿論されており。
 アニメ化、実写映画化も決定しているらしく。
 これまた楽しい祭が続きそうです。むふふ

 

 

 

 

 

 

Another(上) (角川文庫)
綾辻 行人
角川書店(角川グループパブリッシング)
Another(下) (角川文庫)
綾辻 行人
角川書店(角川グループパブリッシング)

あの道この道 <吉屋 信子>

2011-12-26 07:52:39 | 

 やっぱ吉屋信子イイな~。

 ステキぃ。

 こんなステキな話がブックオフで100円だなんて。

 なんてラッキー。むふ

 

 

 

 出てくる少年少女達の、なんと健気で愛らしいこと。

 爽やか過ぎる気がしないでもないですが、昭和初期の少年少女なら、あれくらいの爽やかさアリでしょ。(偏見)

 このお話を基にしたドラマが何本かあるみたいですが、どれもドロッとしちゃていけません。

 このテーマにしてこの爽やかさ。

 これでこそ少女小説!ビバ、少女小説!!

 

 

 以下ネタバレあり。

 

 

 

 

 

 

 生まれてすぐの赤ん坊が、ひょんな手違いで入れ替わる。

 それも片方は貧乏人、片方は大金持ち。

 もうベタなテーマなのです。

 

 しかしまぁ、手違いで貧乏な家で育てられたしのぶが、なんともよくできた子供なのですよ。

 優しくて健気で快活で弟思い、嫌味なところが一つもないの。

 弟の宗吉っちゃんもこれまた、可愛い。

 おませでやんちゃだけど、やっぱり優しくて健気。

 近所のお兄ちゃんの新太郎も、まぁ温泉を掘るってのが今の時代ピンと来ないけど、優秀でイイ奴なんだなぁ。

 

 今ふと思ったけど、温泉って油田みたいだな。

 掘り当てれば一攫千金、みたいな。

 アラブで言うとこの油田が、当時の日本の温泉だったのかね。

 

 話はそれましたが。

 

 で、お金持ちにもらわれた千鶴子が、ちょっとヤなやつなんですな。

 甘やかされて育ったから、高慢ちきの意地悪で。

 

 どうオチがつくのかと思いきや、自分の出生の秘密を知った千鶴子が、殊勝でしおらしくなっちゃうんだよねぇ。

 さっと身を引いて、生みの親(貧乏)のもとへ行くっていう。

 なんと彼女も健気じゃありませんか。

 きっと大丸夫人(これがまたすこぶるデキ過ぎた後妻さんなのだ)のお心が、ちゃんと届いてたんだねぇ。

 

 この人間関係、シチュエーションで、考えうる限り一番美しいラストに落ち着いたと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの道この道 (文春文庫)
吉屋 信子
文藝春秋

ABC殺人事件 <アガサ・クリスティ>

2011-12-22 14:08:19 | 

 ポワロシリーズでございます。

 

 地名と同じ頭文字を持つ人が、アルファベット順に殺されていく…

 有名なお話ですな。

 でもちゃんと読んだ事なかったので、初読みです。

 

 

 以下、ネタバレあり!!!

 

 

 

 

 

 

 どうもポアロ氏は、イメージより若くて男前なのではなかろうか、と思いました。

 禿げてもおらず、中肉中背でもなく。

 もっとこう、スラリとしたフランスぽい男前。

 

 そういうイメージで読むと、萌え要素が加わって、より楽しく読めるような…むふふ(邪)

 

 

 さて今回の犯罪は 『木を隠すなら森』 というタイプだったわけですね。

 本当に殺したい一人を殺すために、関係ない人間を殺す。

 

 でもそれってとてもリスキーな気がする。

 だって殺人って、とてもバレ易いじゃないですか。多分。

 それに人を殺すという事、それを隠し続けるという事、それって結構な精神力が必要だと思う。

 その辺、犯人君はあっけらかんとしてましたな。

 そういう感覚が欠如してたという点で、やはりABCは狂人だったと言えるかも。

 

 最後犯人が自殺しようとした時に、既にピストルの弾が抜かれていたとこは、鮮やかでした。

 あっぱれポアロ。

 

 

 

 

 

 

ABC殺人事件 (創元推理文庫)
アガサ・クリスティ
東京創元社

9月が永遠に続けば <沼田 まほかる>

2011-12-12 14:16:08 | 

 うーん、あんまり好みじゃなかった。

 人から借りて読んどいて何だけど。

 

 

 以下、ネタバレあり!!

 

 

 

 

 

 それで?

 という読後感。

 結局なんだったんだい。

 息子の失踪も、愛人(という位置づけになるのか?どっちも独身だけど)の死も、冬子の死も。

 なんだったんだい。

 

 

 犯人も唐突だったにゃー。

 あんだけチラリとしか出てこなかった女子が犯人って、どうなのよ。

 そして担任の何だかわけの分からんポジションも。

 『やはり僕は…』 って、自慰的自省なら他所でやってくれ。

 

 結局ハッキリしてるのは、佐知子は旦那と息子を同じ女に取られたって事かね。

 

 凄惨な過去はグロい割に下品になってなかったのは、良かったかも。(←偉そう)

 

 

 ↓↓ 以下、超偏見

 なんかドロドロしたリアルな人間を書きたいんだろうなぁ、という感じはしました。

 ほんで 『人間が描かれている』 とか評価されたんだろうなぁ、と。

 なんでみんなドロドロしたところを捕まえて 『人間がリアルに描かれている』 って評価するんだろ。

 それも確かにリアルな人間の一面ではあるだろうけど、キレイでサラサラしてたり、美しくて儚かったり、あるいは美しくて力強かったり。

 どこを取ってもリアルな人間ではないのかい。

 それとも人間はキレイなだけで生きていけるはずがないという事ですかい。

 

 何もそんな、醜い部分ばかりを強調してえぐり出さなくても。

 その後に希望が続けば、また話は別ですが。

 

 って、完全に好みの問題ですね。

 こりゃ失敬。

 

 

 ところでこのまほかるさんは巷でブームになってきているのか、本屋に色々平積みにされていました。

 『9月が~』 はハマらなかったけど、他のはちょっと読んでみたいかも。

 

 

 

 

 

 

 

九月が永遠に続けば (新潮文庫)
沼田まほかる
新潮社

 


樹上のゆりかご <荻原 規子>

2011-12-07 10:56:35 | 

 また読んじゃった。

 学園物っていう以外、記憶がなくて。

 もしかして、買ったっきり読んでないかと思って。

 前回のレビュを見ると結構入れ込んでるのになぁ。。。。

 私の脳みそって、なんていうか軽薄。

 

 

 

 以下、ネタバレあり。

 

 

 まぁ確かに瑞々しい学園モノではあるんだけど、みんな高校生離れしてるよね。

 そして割とみんな、淡々としている。

 そんな中で激しいのが近衛有理ちゃん。

 サロメの狂気と彼女の狂気が重なるのねぇ。

 でもあんな方法で、はたして彼女は鳴海君を取り返せたのかしらん?

 そもそもゆりかごにいる間は、その中の世界で精いっぱいやってれば、別にイイんじゃないの。

 外の世界には、嫌でも出ていかなきゃならんわけだし。

 ゆりかごで精いっぱいやってたやつは、外でも通用するよ。

 それとも、揺りかごにいるって事を自覚すべきって事なのかしらん?

 

 そして 『名前のない顔のないもの』 ってのは、伝統校にありがちな独特の空気なんだと思うなぁ。

 昔から連綿と受け継がれてきたもの、それこそが正という世界、その世界を作る先生やOB達。

 そこに入り込めない、溶け込めないコは異端児的扱いを受けるのよねぇ。

 異端児は異端児で居場所を見つけたりするんだけど、近衛有理は見つけられなかったんだろうなぁ。

 というかその世界に安寧と浸かっている鳴海君が、許せなかったのかもね。

 

 うーん、若い。

 そして激しいな。

 

 

 

 

 

 

 

樹上のゆりかご (中公文庫)
荻原 規子
中央公論新社

蜘蛛男 <江戸川 乱歩>

2011-12-05 09:47:50 | 

 日本人に生まれてよかった、昏い楽しみ江戸川乱歩様でございます。ふふふ

 やはり長編は良い。

 乱歩の、明智の世界を、思う存分堪能です。

 

 なんか、文章も面白い。

 1人称でも3人称でもない、独特な感じ。

 昔の活動写真を見ているような(見たことないけど)、そんな感じ。

 セリフ以外の部分が、弁士のようなんだよね。

 

 

 

 以下、ネタバレあり!!

 

 

 

 

 

 

 うーむ、多分昔読んだ事あるんだけど。

 でもまぁ、読んだ本は片っ端から忘れていくのでね。

 

 畔柳教授、怪しいと思ったんだよねぇ。

 いや怪しいっていうか、物語の展開的に 『こいつ犯人じゃ?』 って思ったけど、でも書生の野崎君もいるし、まさか違うかーって思いながら読んだんだ。

 したらやっぱりお前かー! みたいな。

 そして明智登場、っていう。

 明智君、オイシイなぁー。

 

 でも結局、冨士洋子ちゃんは死んじゃったけど。

 まぁあれは自業自得なのか。

 49人の命を救ったからヨシ、なのかしらん。

 

 明智シリーズをもっと、読みたくなりました。

 

 ところでどうでもイイですが、美人の描写に 『唇がぴんと上を向いた』 ってあるけど、あれって今で言うところのアヒル口だと思うんですけど、いかがでしょう。

  

 

 

 

 

 

 

蜘蛛男 江戸川乱歩ベストセレクション(8) (角川ホラー文庫)
クリエーター情報なし
角川書店(角川グループパブリッシング)

日輪の遺産<浅田 次郎>

2011-11-21 10:22:03 | 

 これは…ミステリなんですか?

 どう解釈したって、やりきれない戦争の話なんじゃ…

 

 まぁ、200兆円の隠し財産が実在するのか、ってトコがミステリなんでしょうか。

 あとは当時の女学生達はどうなったのか、か。

 

 

 

 以下、ネタバレあり!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局200兆の財宝は、そのままあの場所に眠り続けているというわけですな。

 ただの強欲な地元の権力者かと思ってた金原は、実はその昔の約束を守り続けている人であり。

 その嫁は、地方の名士のただの奥様かと思ってたら、財宝を隠す作業に携わり、ただ一人生き残った久枝であり。

 ただの家主と店子の関係かと思ってた真柴-金原に、そんな深い繋がりがあり。

 

 

 序盤、金原が丹羽やエビさんを助けたのは、財宝を独り占めするためだと思ってましたが、あの場所を守るためだったんですなぁ。

 話が進むにつれ、登場人物達の違う側面が見えてくるって感じで、じつはみんなイイヒトだったり。

 

 女学生達が何故死んだのか、最後の最後でハッキリと書かれていますが、ありゃ分かり切ってたよねぇ。

 あの当時、小さい時からそういう教育を受けて育った、純粋な乙女たちだもの。

 スーちゃんの態度からしても、彼女が先導して、皆で毒を飲んだに決まっているわい。

 

 結局彼女たちは、マッカーサーから財宝を守っただけでなく、今もずーっと守り続けているんだね。

 今更掘り返されても、彼女達の想いのように使われそうもないし。

 

 

 

 

日輪の遺産 (講談社文庫)
浅田 次郎
講談社

 


真夜中のパン屋さん <大沼紀子>

2011-11-08 10:17:27 | 

 なんかBL臭いジャケだなぁ、というのが本屋での第一印象。

 と思ったら、真ん中は女子かい。

 本仁戻氏といい、最近こっち系のジャケが増えてないかい?

 私の目に入るだけか。。。さすが私。

 

 真夜中のパンやぁ?そこにキャラの立ってる大人のオトコが二人ぃ?

 うーん、BL臭い。

 女子高生が転がり込んでくるぅ?

 いやいや、女子高生が絡んだってBL臭い。(しつこい)

 

 そこはかとなく漂うBL臭に手を出しかねていたのですが、会社のヒトが貸してくれたので読む。

 うん、BLじゃなかったね。こりゃ失敬。

 

 いつも笑顔でとらえどころのないオーナー暮林、口の悪いイケメンパン職人弘基、帰る家のない女子高生希実、夜の街を徘徊する小学生こだま、オカマのソフィアさん、ひきこもりでストーカーで脚本家の斑目。。。。

 まぁ、次から次へと濃いキャラ達が出てくる出てくる。

 でも読んでる感じでは、くどくないのですよ。

 こんだけ変なキャラが出てるのに。

 おぅ、不思議。

 

 みんなそれぞれ、イカさない日常を抱えているわけですが、ブランジェリークレバヤシと出会ってほんの少し前に進めたりするのですよ。

 いや、前に進むってほどの変化はないのかもしれない。

 問題はなにも解決してなかったりするんですが、何故だか少し、温かい気持ちになるのは美味しいパンのせい?

 美味しそうで温かそうなパンがたくさん出てきて、普段パン派じゃない私ですが、思わずメロンパンを買ってしまいました。うしし

 一緒に食べる人がいなくても、囲むべき食卓がなくても、誰にでも平等にパンは美味しい。

 そうか、パンってのは素敵な食べ物だったんですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真夜中のパン屋さん (ポプラ文庫)
大沼紀子
ポプラ社