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三十汁+α

いよいよ三十路のアタクシを、節度を保ちつつ、垂れ流していこうかな。
とか言ってるうちに、もう@年。

封じられた街 上・下 <沢村 鐵>

2012-02-05 09:20:18 | 

 これって児童向けだったの?

 どうりで分厚い割に早く読めると思った。。。

 ま、いっか。

 オモロイもんはオモロイ!

 

 てなわけで30代でも楽しめる、ダークファンタジーです。

 主人公の小中学生達が、得体のしれない 『何か』 と立ち向かう姿は、読んでるうちにどんどん応援したくなります。

 これ同世代の子供たちが読んだら、応援じゃなくてすんごいドキドキするんだろうなぁ。

 うらやましい。

 

 さすがにあんまり恐怖は感じなかったなぁ。

 あ、でも 『上』 の中扉(って言うのか?)の絵が、1部と2部で同じに見えて実は影が近づいてるって気付いた時は、ちょっとぞっとしましたな。ひひ

 

 

 以下、ネタバレあり!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 やはりホラーというのは、正体が分からないのが一番怖いんですかな。

 もののべ様が礼美って分かってからは、もうあんまり怖くなくなったよ。

 たそがれの国での対決も、ゴンちゃんの活躍の所為か、むしろのんびりというか微笑ましかった。

 

 結局礼美は恐ろしい怨霊なんかじゃなくて、寂しいただの女の子だったんだね。

 そのマイナスの心を、たそがれの国のあのニョロニョロしたやつに捕まって、増幅されて、利用されてたのかな。

 ということは、子供たちは彼女をやっつけたというより、解放してあげたって事だよね

 だから彼女も最後に 『ありがとう』 って言ったんだと思うし。

 

 それよりも現実の世界での子供たちの方が、ずっと大変だったよねぇ。

 超常的な事は信じてくれない大人を相手に、自分たちだけで立ち向かわなくてはいけないんだから。

 子供ってただ守られているだけの立場のようでいて、実は何かと本気で対決しようとすると、結構不利な立場にあるのね。

 

 まぁそんな中でも彼らはまだラッキーつうか。

 ハジメの父ちゃんがイカしてたもんなー。

 フツーあの場面で 『よし分かった』 って、認められないと思うよ。

 秀平のお母ちゃんとかイラつくけど、あっちの反応のがフツーだろうなぁ。

 とにかく秀平君が生きててくれて、ホントに良かったっす。ほっ

 

 おふみちゃんも、しっかりしすぎてるけどなんか可愛くて良かった。

 

 

 

 ところで、ヨ。

 あのあとがき、イカすじゃないか。このこのぅ~ うししし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

封じられた街<上> (ポプラ文庫ピュアフル)
沢村 鐵
ポプラ社
封じられた街<下> (ポプラ文庫ピュアフル)
沢村 鐵
ポプラ社

完全なる首長竜の日 <乾 緑郎>

2012-02-02 13:44:27 | 

 いや面白かった!!

 ぐいぐい引き込まれて読みました。

 ネタバレせずには何も書けないけど、楽しかったよ。

 まぁ多分大抵の人は、読んでる途中でネタもオチも予想はつくと思うけど。

 変なタイトル(サリンジャーのバナナフィッシュから来てるらしいけど)だし、本屋で何度も素通りしたのに、最終的に衝動買いかのような勢いで購入。

 呼ばれた~~~~。

 幸せ~~~~~。

 

 

 

 

 以下、ネタバレあり!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この夢から覚めた夢系の話って昔からあると思うけど、その手の話だろうなって分かってからも興ざめしないっていうか。

 その辺の読ませ方が上手いんだろうと思う。

 なんか描写もねー、特に込み入った説明があったりするわけじゃないのに、すごく目に浮かぶんだよねぇ。

 海に立てられた赤い旗とか。

 何度も出てくるし、最後の方はホントに見えてる気がしそうだった。

 

 最初は浩市の夢だと思って読んでるうちに、本当は誰の夢なのか分からなくなる(っていうか予想がつく)んだけど、その境目のあいまいな描き方に、読んでて眩暈を覚えました。

 ってそれは、バスの中で集中して読みすぎたせい(軽いバス酔い)だろ。

 

 いずれにせよ。

 

 夢と現実の描写の境目がなく描かれてるし、好みは分かれそうですが、私は楽しめましたよ。

 あいまいなままの部分もたくさん残されてるけど、もう何が夢なんだか現実なんだか分からないんだから、別にイイーんでない。(←ひどい読者だ)

 

 

 

 

 

 

 

完全なる首長竜の日 (宝島社文庫)

乾 緑郎

宝島社

 

 

 


僕の中の壊れていない部分 <白石 一文>

2012-01-29 12:19:21 | 

 うーむ、申し訳ないがちっとも何も感じなかった。

 うーーーーん、ちっとも。

 

 生と死を見つめる?鋭くえぐる?深く考えさせられる?

 うー、そうですか。

 

 私には、自慰的観念の遊戯を繰り返しているだけのようにしか思えない。

 

 ま、感じ方は人それぞれって事で。

 

 こう書くと、ひどくこの本が嫌いに見えますが、そこまででもないのですよ。

 もっとドロドロして暗いのかと思ったけど、結構淡々としてたし。

 

 

 

 

 

 

僕のなかの壊れていない部分 (光文社文庫)
白石 一文
光文社

ホルモー六景 <万城目 学>

2012-01-29 11:13:56 | 

 久々の万城目さんです。

 やはり楽しい。

 ホルモー読んでからだいぶ経ってるので、ちょっと忘れちゃってましたけど、それでも楽しかったですよ。

 

 『鴨川ホルモー』 のスピンオフ的作品集。

 ちょっと恋愛度が上がってるかな。

 いや、だいぶ上がってるかな。

 あの変な世界はそのままに、さらに世界は縦横無尽に広がってますよ。うふふ

 時系列を合わせて、もう一度ホルモー読みたくなっちゃった。

 

 個人的に気に入ったのは 『ローマ風の休日』 と 『長持ちの恋』 かな。

 どちらも非常に微笑ましい。

 ニマニマしながら読んじゃった。

 ところで凡ちゃんの想い人って、誰だっけ?(←全然ダメ)

 

 あー、二人静の話は笑ったなー。

 二人は大まじめなんだろうけどね。

 やっぱ鬼語の表記が秀逸なのかな。

 戦ってる本人たちは真面目でも、鬼も見えずただ傍に居る人にとっては、ふざけてるか頭オカシくなったとしか思えないものねぇ。

 

 

 『鴨川ホルモー』 をもう1回読みつつ、なんならDVDも借りつつ、京都行ったりしたい。

 そういうお祭り心をくすぐるスピンオフ作品集でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ホルモー六景
万城目 学
角川書店

ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 <三上 延>

2012-01-28 10:47:00 | 

 やっぱ続いたね。

 人気シリーズ、どこまで行くのでしょうか。むふむふ

 『物語はようやく本編というところ』 とありましたし、もうしばらく楽しませてくれそうです。

 

 にしても作者の三上さんの、この古書に関するマニア的知識って、どっから来てるのかしら。

 やっぱ趣味なのかしら。

 げに楽しきはマニア道。

 

 

 

 

 

 以下、ネタバレあり!!

 

 

 

 

 今回は栞子さんのお母さんの謎がメインだったのでは。

 つっても完全に解き明かされたわけじゃなくて、ちょっとだけどんな人か、栞子さんが大輔に話しただけだけど。

 あんなに頑なにお母さんの事には触れたくないって感じだったのに、とうとうその一端でも話したという事は、やはり大輔への心のオープン具合は更に進んだということでしょうか。むふふ

 

 栞子さんは自分にも母親と同じようなところがあるって、凹んでたみたいだけど。

 まぁお母さんがあの漫画本に2000円という値札を付けたのは、犯罪まがい(ホントは全部知ってたんだから罪になるんだよね?)かもしれないけど。

 でも栞子さんの今回の場合、別にビジネス的取引としてそれくらいすると思うけどなー。

 ホントの事全部話さないとかさ。

 もぅ、栞子さんったらピュアなんだからー。

 

 

 しかし、小学生で 『時計仕掛けのオレンジ』 読むって、相当だなー。

 

 

 

 

 

ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)
三上 延
アスキー・メディアワークス

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち <三上 延>

2012-01-27 11:04:20 | 

 このジャケは目を引きますなぁ~~~。

 何故かちらん。

 

 ずっと気にはなってたんですが、メディアワークス文庫って事で軽すぎるかなー(失敬)、と買い控えておりました。

 いやー、全然そんな事なかったよ。

 メディアワークス文庫なのに(失敬)軽すぎず、文章も乱れ過ぎず、程よく静かで良かったっす。

 

 古書にまつわるミステリで、連作形式となっております。

 主人公の栞子さん(ジャケの人ね。あれ、主人公は大輔なのか?)が、そりゃーものすんごい安楽椅子探偵っぷりですよ。

 事情があって入院してるんですが、その病院のベッドの上で少し話を聞いただけで、真実をズバズバと。

 まぁ、心理面での言い当てが多いので、厳密には安楽椅子探偵ではない部分もあるのかもしれませんが。

 いずれにせよ、キャラの魅力、文章の魅力、ストーリーの魅力ともに十分な、ステキな物語でした。

 読み終わったら、古書店めぐりをしたくなりますよ。むふふ

 

 

 

 以下、超ネタバレあり!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 笠井めぇー、ちっとも違和感感じてなかったぜ。

 何としてでも手に入れたいという、マニアコレクターの気持ちは分からんでもないですが、その一線越えちゃーイカンだろう。

 雨の日に石段の上から突き落したら、下手したら死ぬよ。こんにゃろ

 栞子さん、普通に歩けるようになってほしいな。

 

 あの本を燃やしてないってのは、何となく予想は付いてたけど。

 っていうか普通燃やさないでしょ。

 まぁそう思わせない、2段階でのトラップが見事だったって事でしょうかね。

 

 それに敵を騙すにはまず見方からってのも、常套手段だしぃ。

 それくらいで傷ついちゃって、大輔も若いのぉ~。ホホホ

 と、小姑目線で読んでみたりして。

 

 続きが出てるみたいだし、これ人気ありそうだからシリーズで続くんじゃないの?

 また一つ楽しみが増えましたヨ。むふふ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)
三上 延

アスキーメディアワークス


女子は、一日にしてならず <黒野 伸一>

2012-01-24 10:21:15 | 

 またまた黒野伸一さんでございます。

 やはりヨイ。

 

 今度の主人公、奈美江は巨女であります。

 小さな時からおデブちゃんで、いじめられ馬鹿にされがちな幼少時代、デブに対する冷たい偏見から自分を守るために、強面で生きていくことを決意。

 ここで痩せる方向に行かなかったのが、奈美江の奈美恵たるゆえんなんですな。

 OLで経理やってる現在、その強面キャラは健在。

 ホント傍若無人とも言えるくらい、ひどい。(笑)

 まぁでも筋が通ってる部分もあるというか。

 陰口をたたく奴らに対して圧力をかけたり、仕事で間違えた事に対してズケズケ言うとか、そういう事なんですよ。

 しかもスキル高いしね。

 

 食べっぷりは凄まじいし、自省しないし、決して愛されキャラではないのに、私はなんだか好感が持てましたよ。

 

 他のキャラも立ってるねぇ。

 家族全員オモロくてちょっと変でそれぞれに愛らしく。

 西陣は可愛いのに、奈美江に鍛えられた男言葉でズケズケモノを言うし。

 会社の人たちも、陰口叩きつつも実は奈美江がいてくれないとちょっと寂しいくらいには思っちゃってそうだし。 むふふ

 

 笑い満載、ちょっとホロリとしつつ、ちょっとほっこりしちゃうお話でした。

 

 

 以下、ネタバレあり!!

 

 

 

 

 

 

 

 FBクラブって、すげーな。(笑)

 fat is beautiful ですよ。ふふ

 奈美江の騙されっぷりも、西陣の三沢課長にしても、はたから見たら明らかに騙されてるありがちなパターンなのに、渦中の当人にだけは分からないもんなんでしょうな。

 にしても、200万も渡しちゃうかなー。

 渡しちゃうんだろうなー。

 

 結局奈美江が痩せようって決意したのは、恋の為でも世間の基準のためでもなく、だらしなく食べる自分を本当にダメだと思ったからだったんだね。

 今まで好き放題ふるまってきた会社の後輩たちに、ちゃんと頭を下げられるなんて、やっぱ奈美江すごいわ。

 もう完全に生まれ変わっていると言っても、過言ではないのダ。

 きっと彼女はこの後も、素敵に痩せると思います。

 

 私ももう少し、女子としての努力するかな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女子は、一日にしてならず (小学館文庫)
黒野 伸一
小学館

 


強運の持ち主 <瀬尾 まいこ>

2012-01-23 08:40:38 | 

 人が死んだり劇的でドラマチックじゃないお話が読みたくて。

 やはり瀬尾まいこさんの書くお話は、優しい。

 

 今回の主人公はOL辞めて占い師になったルイーザ吉田のお話。

 って、胡散臭っ!

 そう、胡散臭いんです。

 ルイーザは自分で自分の事、インチキ占い師だって自覚してます。

 ただそのインチキってのは人をだましたり不幸にしたり自分が儲けたりするためじゃないんです。

 単に直観を頼りにアドバイスを与えてるだけだから 『インチキ』 ですよ、と。

 で、OLで営業やってた時に培った話術と観察力が下地になってるから、結構説得力があって、人気も出ちゃうんだよね。

 そう思うと、占い師っても結構な接客業、サービス業ですな。

 

 インチキ占い師って聞くとすごーくイヤな感じがするけど、このお話はちっともそんな事なくて。

 ルイーザの肩肘張ってない感じとかすごくヨイのです。

 

 本の構成は短編の連作。

 各話のメインのお客さんは、いつもとはちょっと違うお客さん。

 お父さんとお母さんのどっちを選ぶべきか占ってほしい小学生、占いが何度外れてもクレームを付けるでもなく何度も訪れる女子高生、おしまいが見えるという大学生(これはお客じゃない)などなど。

 そんないつもと違うお客さんの為に、ちょっとだけ頑張ったり振り回されたりしながら、なんとか一番イイであろう答えにまでたどり着く。

 お客さん達にはその先もあるし、占い師として関わるだけだから、その時に背中を押してあげることしかできないんだけどね。

 でもなんかちょっとだけ暖かい気持ちになるのですよ。

 

 こんだけ胡散臭い設定で、嫌味にもひねた感じにもならず、素朴な暖かみを出すなんて。

 やっぱ瀬尾さんイイなー。

 ほっこりしました。

 

 

 

 

 

 

強運の持ち主 (文春文庫)
瀬尾 まいこ
文藝春秋

坂本ミキ、14歳。 <黒野 伸一>

2012-01-19 11:32:28 | 

 『万寿子さんの庭』 が良かった黒野伸一さんです。

 なんか優しくて明るそうな匂いがしたのでゲット。

 やはり良かったです。

 

 坂本家好きだなー。うふふ

 というか、出てくる人たちみんな好きかも。

 

 黒野さんの書く(ってまだ黒の作品2冊しか読んでないけど)女の子の、ぶっきらぼうな喋り方が好きだなぁ。

 なんか可愛いのですよ。

 それになんていうか、社会からちょっとズレちゃってる人達の、なんと活き活きと魅力的な事でしょう。

 ニートのお父さんしかり、抜群に美人だけどとても不安定なマミちゃんしかり。

 

 イジメられたり家庭内暴力があったり結構ヘヴィな事が起こってるんだけど、とても明るくて強さのある、素敵な物語でした。

 

 

 以下、ネタバレあり!!

 

 

 

 

 

 

 大副さんの大変身にはびっくりですな。

 変身してウザキャラじゃなくなったら、文字だけなのに本当にウザくなくなってびっくり。

 変身前は空気読めない感たっぷりだったもんなぁ。

 文章ってすごいなぁ。

 

 桜井君はなかなかステキでしたね。

 黒川に立ち向かっていったトコとか、その心情を率直に語るとことか、好感が持てます。

 桜井君が語った、自分がイジメを受けて初めて分かったというその容赦のなさ、一度目を付けられたらうまくやるなんて状態じゃないっていうトコは、なんだかすごく説得力があってズシンときました。

 今のティーンエイジャーを取り巻く環境は、なかなか苛酷でありますな。

 このお話と違って、本当に相手が圧倒的に強力で、立ち向かってもつぶされるってパターンもあるんだろうし。

 

 そんな桜井君が坂本家でミキちゃんに治療を受ける辺りからの急接近と、マミちゃんと源五郎の対応に、もうニヤニヤが止まりませんでした。むふふ

 

 源五郎もよく頑張ったね。

 坂本家の子供たちはみんな、筋の通った芯の強さがあるような気がする。

 マミちゃんもナナコ姐も、もちろんミキちゃんも。

 カッコイイですよ、なかなか。

 

 

 

 ところで大副さんちの斜め向かいにすんでる 『万寿子』 って名前のおばあちゃんて、あの万寿子さんのことだよね?!

 うーん、確かめたい!

 あの話に大福やなんて出てきたっけなぁ。。。。。

 

 

 

坂本ミキ、14歳。 (小学館文庫)
黒野 伸一
小学館

義経 上・下 <司馬 遼太郎>

2012-01-17 09:27:16 | 

 うーむ、滅びの美学ですかな。。。

 

 武士が台頭し始めたこの頃の武士って、私たちが持ってるイメージとはだいぶ違うみたいですな。

 総大将の下で組織的に戦うって感覚はなく、戦は個人戦であり、手柄は勝った人のもの。

 だから名乗りを上げてから戦うし、作戦もへったくれもなくて、純粋に強いものが勝つ。

 なんてのどかな。

 命がけのスポーツくらいの感じじゃん。

 

 そんな時代に、戦には勝つことこそが必要でありその為には組織として戦う、って感覚を持ってた義経は不運でしたな。

 時代がついてきてない。

 いつの世も、時代の先を行く天才ってのは不幸ですな。

 

 さらに義経が不幸だったのは、政治的感覚がなかった事か。

 権力が絡んだ人間の機微を全く読みとれず、自分の感覚だけで、頼朝の弟なんだぞって想いが強くて。

 感情に流され安くて、判断基準は情緒的。

 それを的確に指摘できる優秀なブレインもおらず。

 

 結局、政治的思惑を持つ人たち(主に法皇、行家)にいいように利用され、破滅。

 

 うーん、残念な人だったねぇ。

 

 しかしさすが戦の天才。

 それを書く司馬様のエンターテイメント的筆遣い。

 鵯越えと壇ノ浦のくだりは、義経カッコ良かったよーーー。

 活き活きと馬を駆る姿が目に浮かぶ様でした。

 あと堀川夜討のトコも。

 1対87で勝っちゃう(まぁ途中から仲間が駆けつけてくれたけど)んだもん。

 すんげぇ~~~。

 

 義経の最期はちっとも書かれてませんでした。

 最期ってあれだよねぇ、弁慶が全身に矢を浴びてなお立ってたっていう有名な。

 あの辺を司馬様が、どうドラマチックに書いてくれてるかと思ったのにな。。。

 まぁあれは後から作られたお話すぎるからかな。

 

 タイトルが義経なので、義経の活躍的な話かと思ってたんですが。

 どっちかっていうと、ダメダメな所を浮き彫りにされてる感じでした。

 もうずっと 『あーあー、それじゃダメだよ』 って感じ。

 ずっとどこか哀しみがあるというか。

 

 戦の天才で頼朝の弟、それでいて政治的に痴呆というのは、ある意味罪だったのかもしれませんな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

義経〈上〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
文藝春秋
義経〈下〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
文藝春秋