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三十汁+α

いよいよ三十路のアタクシを、節度を保ちつつ、垂れ流していこうかな。
とか言ってるうちに、もう@年。

死ねばいいのに<京極 夏彦>

2012-12-10 09:02:03 | 
死ねばいいのに (講談社文庫)
京極 夏彦
講談社

 

 まぁなんちゅーすげぇタイトル。

 インパクト強すぎです。ふふ

 

 ジャケット的には単行本の時の方が、タイトルが際立っているような。

 いつもの京極堂シリーズと違うのですから、あえてこの人形ジャケじゃなくても良かったような…でもこれはこれで好きなんですけどね。

 

 タイトルから、もっとヒヤッと凍えるような内容を想像しておりました。

 あのよくある怖い話で、バケから逃げ切ったと思ったら背後で 「死ねばよかったのに」 とかささやかれる系の。

 あっち系かと。

 違いましたな。なはは

 怪談的要素はございません。

 

 

 「ー」 の非常に多いケンヤ君の喋りは、イイ具合にイラッとしますなぁー。

 こんな文体も扱えるのね、京極様。

 それでいて読んでて辛くないレベルが維持されてる、文体が壊れてない、さすが京極様です。

 文字数は相変わらず多いですが、京極堂シリーズよりぐっと読みやすいのではないかと思われます。

 

 

 

 以下、ネタバレあり!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ケンヤ君に、すごく人間らしさがないのです。

 ずっと。

 「死んだアサミがどんな人間だったか知りたい」 と、色んな人に話を聞いて回ってるんですが、そこに温度がないっていうか。

 だからこそケンヤ君と対峙した人間は感情をかきまわされて、最後には爆発させてしまうのかもしれませんな。

 

 でもそのケンヤ君の人間らしさが、最後の最後で見えたと私は感じました。

 そうか、怖かったんだね。

 決して幸せそうじゃない境遇に心底満足して、本気で 「幸せなうちに死にたい」 って言ったアサミが。

 首を絞められても、満足そうな微笑みを消さなかったアサミが。

 

 それってなんだろ、理解できないものに対峙した時の恐怖なんだろうか。

 

 京極堂氏も確か昔。言ってたものね。

 理解できないから怖いのだ、それを理解できるものに落とし込んだのが妖怪なのだ、的な。

 違ったっけ。。。

 

 

 いずれにせよ、タイトルから受ける印象とは違う 「死ねばいいのに」 発言でした。

 ケンヤ君以外は皆、もしかしたらあの一言で浄化されてるような気すらするよ。

 

 


容疑者Xの献身 <東野 圭吾>

2012-12-09 10:42:56 | 
容疑者Xの献身
東野 圭吾
文藝春秋

 

 

 東野圭吾好きの同僚が、ガリレオシリーズで一番良かったと貸してくれました。

 うん、確かにこれはなんというか、すごい。

 うぅ、ネタバレせずには何も書けない。

 

 

 以下、ネタバレあり!!!

 未読の方は、絶対読んではいけません!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 容疑者Xよ、どんだけ身を捧げるのだ。。。

 守りたい人を守る為に、殺人まで犯すとは。

 ある意味それってもう、狂ってるのでは…

 それくらい自分の人生に絶望してたってことなのかなぁ。

 

 湯川君が絡んでなければ、思い通りになっていたのにねぇ。

 

 しかし彼女、ただ彼が身代りになっただけだったら、彼の言うとおり自分たちは幸せになる道を進んでいたのか。

 彼が無関係な殺人にまで手を染めたのを聞いて、やっと崩れたわけでしょ。

 それもまた身勝手ではないのかい。

 だいぶ酷いと思うけどにゃー

 

 


聖女の救済<東野 圭吾>

2012-12-03 10:57:45 | 
聖女の救済
東野 圭吾
文藝春秋

 

 

 会社の人が貸してくれました。

 やはりハードカバーはステキっす。

 

 そしてさすが東野圭吾氏、非常に読みやすい。

 これガリレオシリーズだったんすね。

 内海刑事が移動中に福山雅治の音楽を聴くくだりは、ドラマファンへのサービスですか(笑)

 

 

 

 

 

 以下、ネタバレあり!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、完全犯罪をすんでのところところで止めたのは、草薙刑事の感傷的行為だったわけですな。

 

 しかしまぁ、なんだってあんな自分勝手な男に、皆惚れていくんだ。

 あのオトコ、ずるいよなぁ。

 子供できるのが必須条件ってのは、付き合い始める時にまず伝えないとフェアじゃないよ。

 だから殺されちゃうんだよ。けっ

 

 しかしまぁ、あの仕掛けを本当に1年間も発動させないなんて、ホント論理上は可能でも、実際には不可能だよねぇ。

 その集中力と我慢強さと根気を別のトコに活かせばイイのに…っていうのは、言いっこなしですな。なはは


おちゃらけ王 <朽葉屋 周太郎>

2012-11-25 20:26:47 | 
おちゃらけ王 (メディアワークス文庫)
朽葉屋 周太郎
アスキーメディアワークス

 

 『絶望センチメンタル』 が印象的だった朽葉屋 周太郎氏です。

 

 実に奇妙奇天烈な世界でした。

 ちょっと森見さんぽかった。

 あまりにオカシな人たちが普通に出てくるので、小次郎の妄想オチを疑いましたが、最後までそのままでした。ぷぷ

 

 何が、って言いにくいけど、なんか良かったす。

 

 

 


イニシエーション・ラブ <乾 くるみ>

2012-11-25 10:05:15 | 
イニシエーション・ラブ (文春文庫)
乾 くるみ
文藝春秋

 

 

 会社の人が「めちゃめちゃオモロかったから」と、半ば無理やり貸してくれた(笑)ので読んでみた。

 

 仕掛けはオモシロイと思いますよ。

 その仕掛けゆえに、2度読みたくなるというのも分かりますよ。

 ただお話として、やはり今の私の好みではなかった。。。

 恋愛モノに食指の動かない、乾いたワタシ・・・ははは

 

 

 以下、ネタバレあり!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最後の2行、ホントにここ先に読んじゃ絶対ダメ!!!

 ここに全ての種明かしが。

 ココがいわゆる 『衝撃のラスト』 って事になるんでしょうが、ココを読んだ私の第一声は『お前誰やねん!』 でした。(笑)

 

 まぁside-a・bだったしもしかして、と思ってはいたけど、あんま深く読み込む気がなかったのでサラリと流してしまってました。

 どうりで微妙に鈴木君のキャラが違うわけだ。

 

 しかしまぁ、男二人とも見事にマユちゃんに騙されておりますなぁ。

 

 


和菓子のアン<坂木 司>

2012-11-24 09:32:36 | 
和菓子のアン (光文社文庫)
坂木 司
光文社

 

 

 相変わらずライトで読みやすい。

 そして優しい。

 坂木司さんでございます。

 

 主人公の女の子はぽっちゃりさんです。

 高校卒業してやりたい事も見つからず、かといって大学へ行くのもはばかられて進路を決められず、このままではニートになっちゃうと何とか見つけた働き口が、デパ地下の和菓子屋の販売員。

 ここの和菓子がまぁ、なんと魅力的な。

 和菓子に興味のなかったワタシですが、ちょっと和菓子屋さんをのぞいてみたくなりましたよ。

 デパ地下の裏事情も楽しい。

 

 そして和菓子を買いに来るお客さんの色んな謎を、スイスイ解いてしまうキレ者店長の椿さん。

 ちょっとデキすぎなき気もしますが、そこが坂木さんのイイトコだと思うので、気持ちよく読むべしでしょう。

 


彼女は存在しない <浦賀 和宏>

2012-11-18 11:09:08 | 
彼女は存在しない (幻冬舎文庫)
浦賀 和宏
幻冬舎

 

 

 

 

 

 うーんうーんうーん…

 ひねりは効いてました。

 でもやっぱり…

 

 

 以下、ネタバレあり!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミステリーで多重人格モノって、ものすごく微妙だと思うんですよ。

 書き方によってはなんでもアリになっちゃうし、そもそも病気の定義が微妙だと思うんだよねぇ。

 いわゆる叙述ミステリーになると思うんですが、よっぽど上手く書いてもらわないと、冷めちゃうんだよねぇ。

 

 で、このお話ですよねぇ。

 

 悪くはない。

 ひねり効いてるし、誰が誰だか分かりにくいし、その辺はイイと思う。

 香奈子=亜矢子ってのも、騙されたしなぁ。

 てっきり由子=亜矢子だと思ったよ。

 

 でもなー、なんだかなー。

 

 皆、彼女が「多重人格者だ!」って、すぐ納得しすぎだし。

 なんで恵殺したのかも、イマイチだし。

 香奈子死ぬときに、他の人格の記憶がフラッシュバックってありなの?

 

 私的には、もひとつ腑に落ちないお話でしたとさ。

 

 

 

 


インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実 <真梨 幸子>

2012-11-12 12:16:02 | 
インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実 (徳間文庫)
真梨 幸子
徳間書店

 

 

 

 いや~、相変わらず気持ちの悪い話を書くなぁ、コノヒトってば。うしし

 真梨さんの書く話の気持ち悪さって、出てくる人のいったい誰が本当にオカシイのか、ってのがはっきりしてないとこだと思う。

 正しいと思ってた人も実はオカシくて、オカシイと思ってた人はもっと別の人に踊らされてるだけだったり。

 相関関係つかむのが、ちょっと難しいけど。

 

 てなわけで、フジコ再び!!です。

 フジコ祭。

 

 

 

 以下、ネタバレあり!!!

 

 

 

 

 

 

 っていうかよくこの話、この時期に発刊できたなぁ。。。。

 あまりにも、尼崎のあの事件に似すぎていないか?

 家族ごと監禁、その家族同士で虐待、殺害。

 よくストップかからなかったなぁ~。

 と思うのは、私が関西在住であの事件が割と近かったせい?

 

 

 一番不幸だったのは、村木さんでしょうか。

 完璧巻き込まれただけだよねぇ。。。

 

 そうか、フジコの母親は茂子だったのか。

 ってちょっと待てぃ。

 みっちゃんが彼女って事は、健太は姪っこを犯し続けてたって事?!

 あ、姪ならそんな近親相姦ではないのか?

 あれ?

 

 うーん、誰か 『~衝動』 も含めて、全相関図をアップしてくれい!


夜までに帰宅 <二宮 敦人>

2012-11-11 11:53:02 | 
夜までに帰宅 (角川ホラー文庫)
二宮 敦人
角川書店(角川グループパブリッシング)

 

 

 

 この方もアレですなぁ、引きの強い設定をなされますなぁ。むふふ

 山田悠介ぽいなぁ~、と思うのは私だけ?

 『僕が殺しました×7』 はちょっとうーむでしたが、懲りずにお買い上げです。

 

 

 

 

 以下、ネタバレあり!!!

 

 

 

 

 

 

 もっとおどろおどろしい、得体のしれないモノが出てくるかと思ったんですが、そっち系ではなかった。

 フツーの殺人マニア達だった。(フツーじゃないか)

 

 せっかくの 『夜』 設定が生かし切れてない感じはしましたな。

 フツーに怖い殺人狂達とのサバイバルって感じで。

 まぁ暗闇が深い中での追いかけっこっていうのが、『夜』 だからこそ、という事なのかな。

 でも全然、得体知れなくないし。

 ん~、惜しい!

 架空の設定なんだから、もっとこう何か…!!っていう、不燃焼感は残るかも。

 

 しかし!!

 最後数ページでのエミとキョウカの会話、アレ良かったよぉ~。

 まぁ要らないと感じる人もいるんでしょうが。。。

 しかもその二人の会話の後に、アキラのシーンで終わるってのが。

 何も分かってないお坊ちゃん。

 男って可愛そうに…みたいな(笑)

 

 期待した面白さとは全然違いましたが、まぁそれなりに楽しめた1冊でした。