![]() |
死ねばいいのに (講談社文庫) |
京極 夏彦 | |
講談社 |
まぁなんちゅーすげぇタイトル。
インパクト強すぎです。ふふ
ジャケット的には単行本の時の方が、タイトルが際立っているような。
いつもの京極堂シリーズと違うのですから、あえてこの人形ジャケじゃなくても良かったような…でもこれはこれで好きなんですけどね。
タイトルから、もっとヒヤッと凍えるような内容を想像しておりました。
あのよくある怖い話で、バケから逃げ切ったと思ったら背後で 「死ねばよかったのに」 とかささやかれる系の。
あっち系かと。
違いましたな。なはは
怪談的要素はございません。
「ー」 の非常に多いケンヤ君の喋りは、イイ具合にイラッとしますなぁー。
こんな文体も扱えるのね、京極様。
それでいて読んでて辛くないレベルが維持されてる、文体が壊れてない、さすが京極様です。
文字数は相変わらず多いですが、京極堂シリーズよりぐっと読みやすいのではないかと思われます。
以下、ネタバレあり!!!
ケンヤ君に、すごく人間らしさがないのです。
ずっと。
「死んだアサミがどんな人間だったか知りたい」 と、色んな人に話を聞いて回ってるんですが、そこに温度がないっていうか。
だからこそケンヤ君と対峙した人間は感情をかきまわされて、最後には爆発させてしまうのかもしれませんな。
でもそのケンヤ君の人間らしさが、最後の最後で見えたと私は感じました。
そうか、怖かったんだね。
決して幸せそうじゃない境遇に心底満足して、本気で 「幸せなうちに死にたい」 って言ったアサミが。
首を絞められても、満足そうな微笑みを消さなかったアサミが。
それってなんだろ、理解できないものに対峙した時の恐怖なんだろうか。
京極堂氏も確か昔。言ってたものね。
理解できないから怖いのだ、それを理解できるものに落とし込んだのが妖怪なのだ、的な。
違ったっけ。。。
いずれにせよ、タイトルから受ける印象とは違う 「死ねばいいのに」 発言でした。
ケンヤ君以外は皆、もしかしたらあの一言で浄化されてるような気すらするよ。