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死刑制度ー情報公開せよ

2008-07-02 | 死刑問題
 日本で「殺せ、殺せ」とさも正義を振りかざして死刑を声高に叫ぶ人が多くいることの理由に、一つには死刑の実態を国民に知らされていないことが考えられます。
先日見ました映画「休暇」は死刑執行の生の模様を刑務官の日常を絡めてつぶさに描いていました。(ぜひ観てもらいたい)
映画の冒頭に出てくるようにそれは時の大臣がはんこを押して決定します。現在の鳩山邦夫法務大臣はこの1年ほどの短期間に13人の死刑執行を決行させました。
これは、日本の刑罰史の中にあっても異常に多く、国民にとってたいへん危険な状態と言わざると得ません。
故、「死神」と揶揄されるのです。
つい先日も書きましたように、3人の方々が国家によって殺されましたが、事後報告だけで、その経過やありさまは、全く外部には秘密にされわずかな関係者しか知らない中でひっそりと刑が執行されました。
このように国民が死刑について知る機会がなく情報もないので、死刑囚はもちろんの事、刑務官たちも同じようにたいへん苦悩し、その非情さ、残酷さを想像できないでいるのです。だから簡単に死刑に賛成できるのではないかと思います。もし死刑が犯罪の抑止力になるなら、実際にどのように行われているかを国民に知らせるべきではないでしょうか。

  アメリカは日本とならんで先進国で唯一、死刑を行っている国です。州法で死刑を規定してるのは全米50州中36州。凶悪犯罪の多いアメリカでは、3000人もの死刑囚がいます。アメリカでは、日本と違って、刑の執行については、様々な情報が公開され、誰の処刑が、いつ、どこの刑務所で行われるかなどの情報が事前に発表されています。
もし死刑囚本人が許可すればテレビカメラが刑務所内に入り、刑務所内の様子までも報道することができます。
テリー・ショート氏の死刑執行の様子を毎日新聞の記者がその実際の現場にいて、そのありさまを記事にしていたことは記憶に新でしょう。(このブログの6月22日、24日を参照)
 
  わたくしもアメリカ滞在中に、TVで、168名の人命が失われ850名以上の負傷者がでたオクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件の首謀者のティモシー・マクベイ氏の実況の死刑執行の様子をつぶさに見ました。(其の時、今このわたくしがお茶の間で見ている瞬間に、氏は国家に殺されたのだと思うと、その現実の重さにワナワナ震えました)ー(4月15日参照)

死刑制度賛成の人々の最も多い理由の一つに、犯罪の抑止力です。
この様に、凶悪犯罪の多いアメリカをみて、死刑は犯罪の抑止力になっていないことが分かります。
殺人をすることの要因は、多様に複雑にあり、死刑制度がその抑止力になるとは考え難いです。