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天安門事件を記念する詩二篇(転載)

2014-06-04 00:25:46 | 中国、中国のキリスト教


1989年6月4日、天安門広場に民主化を求めて集結していた学生や市民に対し、中国人民解放軍が武力弾圧、多数の死傷者を出した。それ以来四半世紀が経つ。中国で「六四天安门事件」と呼ばれるこの事件は、中国ではタブー視されていて公に再評価されるまでにはまだ年月がかかる。しかし、犠牲者の遺族や民主化を目指す運動家、文人、研究者たちは忘れ去られることがないよう、毎年可能な範囲で活動を続けている。

[カナダ、カルガリー大学にも民主の女神像が置かれていた。2012年撮影]

隣国の私たちも大勢の人が天安門事件のその後について関心を払い、中国の将来を心配している。ここに二篇の詩を転載し記念としたい。(以下訳中一二か所沼野が改訂)。


崔衛平(サイエイヘイ cui1wei4ping2) 作。劉燕子(リウ・イェンズ)訳

[対話]
 子:お母さん、どうして、お姉さんやお兄さんはご飯を食べないの?(学生たちはハンストで抗議)
 母:プレゼントが一つ欲しいのよ。
 子:どんなプレゼント?
 母:自由よ。
 子:誰が、その美しいプレゼントをくれるの?
 母:自分で勝ち取るの。
 子:お母さん、どうして広場にこんなにたくさん集まっているの?
 母:今日はお祝いの日だから。
 子:何を祝う日なの?
 母:明かりをつけてお祝いする日よ。
 子:明かりはどこにつけるの?
 母:一人一人の心の中に。
 子:お母さん、救急車の中で横たわっている人は誰なの?
 母:ヒーローよ。
 子:ヒーローがどうして倒れたの?
 母:後から来る子供に、前が見えるようにするため。
 子:何を見るため?
 母:七色の花よ。
      一九八九年、広場でハンストが行われていた時に、

付記:この詩は天安門広場のハンスト学生の間で合言葉のように詠われた。崔衛平は北京在住のリベラル知識人。



劉曉波 (リュウギョウハ liu2xiao3bo1獄中でノーベル平和賞を受賞した。) 劉燕子訳。

[17歳の少年に寄す]

前書き:君は親の制止に耳を貸さず、家のトイレの小さな窓から飛び出した。旗を差し上げたまま倒れた時は、まだ十七歳だった。

ぼくは生きていて
 多少の悪評もある
 ぼくには勇気も資格もない
 花を一束と詩を一篇ささげるため
 十七歳のほほえみの前まで行く資格が
 たとえぼくが
 十七歳は何の怨みも抱いてないと知っていても

 十七歳という年齢がぼくに告げる
 生命は素朴で飾らない
 果てしない砂漠の如く
 木も水も必要とせず
 花の飾りも必要としない
 それでも太陽の激しい虐待に耐えられる

 十七歳は路で倒れた
 路はそれきり消えてしまった
 泥土に永眠する十七歳は
 書物のように安らかだ
 十七歳は生を受けた世界に
 何の未練もない
 純白で無傷の年齢は別として

 十七歳は呼吸が停止したとき
 奇跡的に絶望していなかった
 銃弾は山脈(やまなみ)を貫通し
 狂ったように海水を痙攣させた
 すべての花が、ただ
 一色に染まったとき
 十七歳は絶望しなかった
 絶望するはずがない
 君は未完成の愛を
 白髪の母に託した

 君を
 家に鍵をかけて引きとめた母は
 五星紅旗〔中国国旗〕の下で
 家族の貴い血脈を断ち切られた母は
 君の臨終のまなざしで目覚めた
 母は君の遺志を抱いて
 すべての墓を訪ねた
 正に倒れる寸前になっても常に
 亡き君の息吹に
 支えられ
 路を歩みつづける

 年齢を超越し
 死を超越した
 十七歳は
 今や永遠だ
    一九九一年六月一日深夜 北京にて

訳注:「十七歳」は丁子霖・蒋培坤の息子の蒋捷連を指す。蒋捷連は一九七二年六月二日生まれで、当時は中国人民大学附属高校二年生であった。彼は十七歳の誕生日を祝った翌日の夜十一時すぎ、北京木樨地で戒厳部隊の銃弾に倒れた。丁子霖は元中国人民大学准教授で、天安門事件で子供や身内を殺傷された女性を中心に組織された人権擁護団体「天安門の母たち」を創設し、天安門事件の真相究明を粘り強く続け「天安門の母」と呼ばれている。丁子霖、蒋培坤/山田耕介、新井ひふみ訳『天安門の犠牲者を訪ねて』(文藝春秋、一九九四年)第二章「わが子蒋捷連のこと」参照。

訳注の固有名詞読み:丁子霖 ディンズリン ding1zi3lin2, 蒋培坤 ジアン・ペイクン jiang3pei2kun1, 蒋捷連 ジアン・ジエリェン 木樨地 もくせいち、ムーシーディ mu4xi1di4

Source: 魂に響く「六四詩選」-- 墳墓なき心の墓碑 劉燕子


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