ねえ、すばる。
昨夜は気持ちよく酔えましたか?
あなたが、日記に、このところ危機管理機能が低下中って書いたから、
もしかしたら、
と思って、起きて待ってたの。
あなたの声が聴けたのは、ひとえに丸ちゃんのおかげ、かしらね。
丸ちゃんへのお電話が留守電に終わったから、
ヨコが素早く方向転換をしてくれたんだもの。
嬉しかったな。
本当に嬉しかった。
仲間と飲んでる、ってあなたが言うのを聞いた時には、その相手が誰かなんて気にもしなかった。
リッキーが、そばにいてくれるんだね。
背後に聞こえるにぎやかなざわめき。
ひとりじゃなくて、
引きこもってもいなくて。
吐きだすようなお酒なら、賑やかな場所がいいもの。
吐きだすって、決めてるわけじゃないけどね。
でもきっと、いろんなこと、酔うことで浄化させたいのかなあ、って思わないでもないから。
出来れば、あなたを気持ちよく酔わせてあげたいの。
心を軽くするような、そんな。
すべてが自分の思い通りに行くほど、世の中、そんなに甘くない。
そんなの、つまんない。
そう言ったのは、当のあなた自身だったわ。
だから、今みたいに、どうしようもない混沌のなかにあっても、
あなたはあなたが感じるままを、吐き出していたらいいと思うのよ。
あなたと、ゆっくりお酒が飲めたら、どんな話をしましょうか。
ううん、話なんか出来なくて、
黙ってグラスを重ねるだけかもしれないわね。
口下手だから、私。
あなたに、上手な言葉もかけてあげられない、
笑わせてあげるような、綺麗なジョークのひとつすら、言えるはずもない。
それでも、あなたとグラスを交わしたい。
ゆっくりと、
沈黙さえも楽しむように。
時折、あなたからこぼれる言葉に、
私から弾け出す言葉に、
お互いを感じ取るような、そんな時間があったらいいのにな。
あなたが気持ちよく酔うために。
私は何をしてあげられますか?
人の心を察して先回りできるほど、私は出来のいい女ではなくて。
いつも、気がきかない、と言われつづけて、日々を過ごしてきてしまったから。
こんな時でも、あなたが真に望んでることに想いが至らない。
心が命ずるままに、歌を歌いたいんだろうな、って、
そのために、やりたいことがあるんだろうな、って、
それくらいのことは分かるのに。
そこから、先。
そのために、私がしてあげられることが分からない。
おかしいわね。
私は、ただ、待ってるだけね。
あなたが発するものを、ただ受け止めるためだけに、待ってる。
ねえ、すばる。
少しだけ酔ってみたら、夢のなかで、あなたに逢えるかしら。
そしたら、私に教えてね。
私が、あなたのために歩くべき方向を。
「自分で考えろや」って、突き放さないで。
「こっち、行くぞ」って、指し示してね。
そして、ひとこと。
「ついて来いや」って、笑って・・・・・・。