のそのそ日記

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宗教右派とフェミニズム

2023-10-07 23:38:47 | 読書

「宗教右派とフェミニズム」山口智美・斉藤正美著/ポリタスTV編 青弓社刊 読了

しばらく前に買ったものの、日々の時勢があまりに暗澹としていたので、別の畑の本を読んで助走をつけてから一気読みしました。
戦後のフェミニズムの流れからざっくりたどっているけれど、メインは90年代後半から「女性差別の存在が社会に自覚されたことで起こった運動と、それを破砕して差別を固定化しようとする力(バックラッシュ)」の30年について。

タイトルの「宗教右派」は安倍元首相を中心とした統一教会や日本会議などの活動。今までニュースやSNSで「なんと酷い」と怒りまくっていた一つ一つのことが、どういう目的でどんな人たちが進めていたのかがまとめて書かれていてたいへん判りやすかったのだけど、やはり血管きれそうな記憶がいちいち蘇ってきてわりとしんどかったです。

それでもこうしてまとめて読んで思ったのは、攻撃をする側が目的を持ち計画を建てた上で、ひとりひとりの国民の自由なり権利なりを削ぎ落としてきたことに、国民の側からはそもそも何が起きているのか、なぜこんなに動きずらくなっているのか、理解できない齟齬を感じているのかが、判っていなかった状況だったと知ることができました。

いやな話だけど、安倍元首相が殺されて統一教会との関わりをメディアが隠しきれなくなって初めて、この活動の流れの存在を社会が受け止める素地ができたんじゃないかと思います。

本当に残念なことに、私がこの10年の間にたぶん一番みてきたメディア(新聞とTV)でこの問題は触れられてこなかった。
報道を見たり読んだりしても理解できないけど説明が一切ない件も相変わらず多い。
(たとえば望まぬ妊娠をした少女が一人で流産・死産した場合、逮捕される件。産科に相談しても父親がいないと対応してもらえない、戸籍登録される前、生まれる前に死んだ胎児でも殺人相当になるのはなぜか、何ヶ月目から殺人になるのかなど。ニュースの際に何の説明もない)

ジャニーズ問題がいよいよ隠せなくなった時、メディアは「そんな悲惨なことがあったなんて」とおぼこく善良な隣人のような態度をして見せたけれど、実際は隠蔽に加担してきた当事者であったはずです。
同じように、この問題にも「政治主導で差別が進められてきていたなんて」とカマトトぶらないで、きちんと問題提起してあらためてほしいマジで。

コメント
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