のそのそ日記

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「雨の日、僕は釣りに行く」

2018-06-30 19:20:00 | ノンジャンル
 cat !!注意!!
タイトルにある小説のあらすじネタバレについて書いてあります!!!

 しばらく前にSNSで話題になっていた「漫画「幸色のワンルーム」がアニメ化される予定だったのが、内容に異議を唱える意見が出たのでぽしゃった」という話題を読みました。

 丁度現実の誘拐被害者へのバッシングがひどかった時期で「実は被害者は犯人とウマくやってたんだろ」ってネットで堂々と叩く人が多かったから、誘拐犯と被害者のラブロマンスを押すのはヤバいだろうと危惧した人の気持ちも判る、でもアニメ化を止めるより大々的にバッシングへの注意を載せたほうが、こういう「自己憐憫に憧れる」系の話が好きな世代の子にはメッセージになるんじゃ…ともやもやしていたんだ。
 アニメ化が中止になった後になって「この判断はまずかったんじゃ」って意見も出てきて、それがまた誘拐被害者をたたいたであろう側から大喜びで非難されてるのをみると、イヤな展開だなあとモヤっています。まだよく判らない。

 よく判らないくせにブログに書くなよ~って話なんだけど、それとはちょっと違う話を連想したんです、聞いて聞いて。

「~ワンルーム」では家でも学校でも居場所がなくなったヒロインが、最大のピンチの時に「誘拐」される。でも実質これは年齢に問題があるだけの駆け落ち状態というお話かな?と思ったんだ。誘拐された先でヒロインがやっと心の安定やときめきを得られるって、たぶん中学生から高校生くらいの、いろんな事にもやもやを持っている世代にとってリアルな形での「白馬の王子様」展開なんだと思うのね。

 それで、かなり前のジュブナイル小説を思い出したんです。
 このヒロインも、家庭に居場所がなく学校でもゆるい恒常的な暴力にさらされて、必死に踏みとどまっているものの、心の中で逃げ出したいと切望している。
 ヒロインを慰め、悩みの相談にのり、暖かな場所を提供してくれる大人の男性が現れて、誘拐だの連れ込みだのはしないけれど、自分の仕事の話もゆるっとしてくれる。
 男はいつも雨の中で、川辺で釣りをしているんだけど、それは重水っていう分子数がちょっと違う水を集めているんだとか、それを何に使うかというと、実は宇宙船の動力に必要なんだとか。
 冗談っぽく話すので普通に笑い流して話が進むんだけど、終盤でヒロインがいよいよ耐えられない非情な立場に放り込まれる、そのとき男がヒロインに聞く訳よ。

 重水が集まったから宇宙船が出せる。本当に辛いなら一緒に行くかい?

 宇宙船にのっていくと、もう地球には戻れない、今まで一緒に暮らしていた人とは二度と、誰とも会うことができなくなる。
 それでも一緒に行くかい?

 ヒロインは一度は承諾するんだけど、酷い目に会う原因になった人たちが今度は必死にヒロインを守ろうとする、ヒロインに感情移入した読者的には、なにを今更都合のいい事をとしか思えないんだけど、なにか世界の揺らぎを感じる展開なのさ。

 結局ヒロインは宇宙船には乗らないと男に告げる。男は無理強いすることも無く、ヒロインの前から去る。

 そこまできて、ふと「この男は本当の人間なんだろうか。もしかしたら死神のようなもので、ゆっくり絶望していったヒロインが、自分の死の道を作っていった結果生まれたまぼろしじゃないのか」と思ったんだ。

 現実の不幸や、自分への苛立ちを抱えながら生きるのはツラい。
 でも自死というのは、いきなり暴力的に泣き叫びながら訪れるのではなく、自分に対して優しくなだめもう少しずつ我慢ができる方に柔らかく誘導しながら、最後に死を選ばせるのではなかろうか。

 おそらく「~ワンルーム」のようにもやもやを抱えた十代の女の子に向けて描かれたであろうお話なんだけど、「よそから誘拐犯が攫ってくれて社会のすべてを敵にまわしながら幸せな世界を築く」っていう物語と話の外面は良く似ているものの、「優しく死に向かわせようとする力に対して踏みとどまる主人公」のこの小説とでは、メッセージは真逆なような気がするんだよ……

 すごく昔の雑誌(たぶん小説ASUKA)で読んだきりなので、いろいろ間違ってるかもしれない、ごめんなさい。
 図子慧先生の「雨の日、ぼくは釣りに行く」って小説なんだけど…(挿絵が金ひかる先生だったか…うろ覚えで面目ない)
 でもこの作品のインパクトがとても強かったので(図子先生の小説ではじめて読んだ話)その後ぼちぼち作品を追う様になりました。

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本屋の棚一杯の単行本との付き合い方(例)

2018-06-28 16:43:00 | ノンジャンル
 昔話なんだけど、漫画ワンピースを読み始めた思い出話。

 ジャンプパイセンのI氏がはじめ荷物を送るクッションにと、雑誌別冊ログポースのアラバスタ編の前の方の巻を入れてきてくれたのがきっかけでした。
 その前に連載当初絵が好みだったんで雑誌でちょっと読んではみたんだけど、特に興味は出なかったんだ…だけどアラバスタはものくそ面白くて、続きが大変気になったのでした。
 I氏にどのくらい単行本でてますか!と聞いたらもう空島が終ったあたりだったのでかなり行ってた模様。そら危険や…と思っていたら、I氏どーんと既刊本を貸してくれました。すごっ!

 とにかく気になるところまではイッキに読もうと手をつけたんだけど、実はイーストブルーの話はどちらかというと苦手な方のタイプだな…と思ってました。
 とにかく悪役をとことん悪く描きすぎていないかいって思ったからさ…そして悪い割に、悪さのタイプ別けがいまいち判りにくかったし肉付きが薄かった。

 でも途中から、仲間キャラにだけつけてあったビフォーエピソードを悪役やその章のメインキャラにもやるようになったのね。味方と悪役共通の過去キャラとか悪役のプライドだのコンプレックスの出所が描かれるようになった分、強さ悲しさが立体的になって、面白さがすごく変わってきたように思ったのだ。
 借りた巻以降を自分でも買うようになったけど、やっぱりここは!な巻は後からまとめて大人買いしました。

 話が後ろに行くにつけ、エピソードきっちり組まれてきて、それはそれですごいけど、絵の複雑さとあいまって読むのにかなり体力いるようになったなーと思った…自分が老眼になったせいもあると思うんだけどね!

 なので、お話の結末は楽しみではあるんだけど、私にとってワンピース全体の話の中で一番好きなのは冬島からエニエス・ロビーまでのお話です。(エースのエピソードは別腹)読み手として体力的に一番たのしく付き合えた巻だと思うんだ…

 まあ長編作品の付き合い方の一つってことで。
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苦し楽し。

2018-06-27 22:16:00 | ノンジャンル
 コンテが滞っているの、今まで元気だったヒロインちゃんがさすがに落ち込んでしもうたためだと思うんだけど、描いてる私がそもそも甲斐性なしなので、うまいこと慰める方法が思いつかなくて困っております。なんとかせんば。
 仕方なく、順当に進んでいくシーンを先にまとめているんだけど、こちらでもおっさんが女の子の前で凍り付いていて、あかんやんこの親子angerangerangerととさかにきております。

 大変手こずってるけど、あんまり描いたことのない流れなんで、なんだか楽しい。うまいこと繋がってくれたらいいんだけどなー。
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カベ

2018-06-26 14:54:00 | ノンジャンル
 ちびちびがただいまテスト期間中。
 なんかトイレのドアに貼ってあるんだが…



なんか百人一首とか都道府県とか覚えるときも、そのへんのカベにいろいろ貼る人だったけど、トイレは初だったよ…というか貼りだすの遅くね?
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是枝監督のインタビュー

2018-06-25 22:33:00 | ノンジャンル
 SNSで今日の新聞記事に是枝裕和監督のインタビューの話がのっていたので、どれどれと読み返してみました。(朝日新聞6月25日33p文化・文芸)

 しばらく前にTwitterで
「文化庁の補助金を受け取っていながら、日本の恥部を描く反日映画を作った」
ってバッシング話題が流れていたんで、
「現在問題が生まれていながら社会が認識できてなかった患部を、伝わり易い物語(映画)にして発表して、さらにパルムドールまでゲットしたんだから、文化庁的にはグッジョブ言う話やん?」
と思っていたんだけど、そのへんは「場外戦」としていろいろバトっていたらしい。
 
 「芸術への助成を“国の施し”と考える風潮は映画に限ったことじゃない。大学の科研費もそうだし、生活保護世帯への攻撃も同じです。本来国民の権利のはずですよね。今回、政府の補助金がどうあるべきかが可視化されたことが一つの成果だと思っています」

 監督すごいなあと思ったのは、このへんしごく真っ当な意見ではあるけれど、今の日本、ネトウヨその他がのびのびバッシングしてまわっている時世では、これを言えば叩かれるのが判っている、その上で作品を作り言葉にして行動にも示しているっていうのは、よっぽどハラくくっていなくてはできない事だと思うのよ。

 監督の言う「本来保障されているはずの権利」だけどそれを行使することが「犯罪であるかのような風潮」がとんがっている今の空気って何かに似てるなと思ったんだけど

アレだ、崩壊する直前のソビエト。

 90年代あたまに社会主義を切り捨てる前のソビエトって、本来の社会が国民の権利を等しく守るって理念からは遠く離れて、仕事を回さなければならない場所で働き手を増やさない(効率化の数値目標のため)とか、最低限社会のインフラを維持するために必要な金をまわさない(軍拡競争の時代だったし)とか、党や指導者の主張や好みに合わない文学者や芸術家への極端な冷遇とか(以下略)

 監督の話の中で、犯罪者と自分は違うって感覚を持っている今の社会は危険と言っててほんとにそれな!!!と思ったんだ。
「一歩間違えたら自分だったかも」「うちの子被害者になる不安と加害者になる不安両方あるgkbr」
って思う不安が健全だと思うのね。
自分は善人、悪は許せないって視点のおぼこいまま社会に入ってしまう人は、たぶんいろんな悪い可能性を考えている人よりも、足元がおぼつかないんじゃないかと思っている…

 物語ってのは「こうなったかもしれない」「そうならないために寄り添いたい」っていうシミュレーションが許される世界だと思う。
 物語を編む人は、その世界に訪れた人(読者)が想像し経験することができるかを考え続ける自意識と矜持をもっていて欲しいと思うし、そうありたいと思うよ。
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