起業会計

公認会計士による仙台TEOの起業支援活動、会計トピック、監査トピックの解説

買戻条件付売買 その後どうなる?

2005-09-15 23:17:38 | 会計
買戻条件付売買という契約があります。

たとえば、賃貸マンションの一室を1,000万円で販売し、5年経過後いつでも1,000万円で買戻してもらえるというものです。
買戻すまでの間は、賃貸に使用し、賃料として毎年100万円を受取れるというものです。

<販売者のメリット>
①賃貸マンションの価値がもともと1,000万円に満たない場合(たとえば600万円の価値しかない場合)、売却時に売却益が計上できます。
②売却後、賃貸マンションの価値が値上がりした場合、買戻時に買戻益が発生します。

<購入者のメリット>
①10%という高利回りの金融商品です。
②資金が必要なときには買戻権を行使して投資資金を回収でます。


<問題点>
購入者側にとっては、販売者の信用力に問題がなければ(倒産しない限り)、デメリットはほとんどありません。
したがって、販売者側の問題点を検討してみたいと思います。

根本的な問題として、この取引を考えてみたいと思います。
形式的には、マンションを売却していますが、この取引は売却ではないと考えられます。
この取引は売却と考えず、マンションを担保にした資金の借入れと考えるべきです。

売却とした場合、売却時に売却益が発生しますが、もしマンションが値下がりした場合、損失が発生します。
現在の不動産市況から考えると、マンションの値上がり益は望めないと考えられるため、買戻をしたときに大きな損失が発生してしまいます。
もっとも、建物は減価償却をしますので、少なくともその分ぐらいは値下がりして当然です。

また、売却処理としてしまうと、売却から買戻の間、減価償却が認識されないので、買戻時まで減価償却相当額を先送り(損失の先送り)してしまうことになってしまい、とても妥当な処理とはいえません。
買戻権が行使されるまで巨額の含み損を抱えてしまう結果にもなります。

このような取引で一時的に利益を上げたとしても、取引の実態にそぐわない会計処理を行うと、その後身動きが取れなくなってしまいます。
取引の実態をよく考えて、取引の実態をあらわす会計処理を行うことが必要です。




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1 コメント

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