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起業会計

公認会計士による仙台TEOの起業支援活動、会計トピック、監査トピックの解説

現金実査

2005-09-22 08:29:54 | 監査
監査技術の一つに「実査」というものがあります。
これは、実際に「モノ」を見て(カウントして)その実在性を確かめるというものです。
ただし、棚卸の立会で行う一部の抜取検査のことは実査とは言いません。

実査を行うものとしては、現金・預金通帳・収入印紙・有価証券・小切手帳の控(ミミと言ったりします)・手形帳の控・固定資産などです。
この中でもよく行うのが現金の実査です。
具体的に現金の実査は何をやっているかというと、手提げ金庫などに保管している現金を見せてもらって、数えて、帳簿とあっているか確認するということを行っています。
通常、会社は毎日出納担当者が現金を実査し、金種表に記入をし、管理者の確認印をもらうという手順を行っています。


子会社の往査を何社も一度に行って来て、現金の実査を続けざまにやったときのはなしです。


いつも監査を受けている会社の場合は、問題のあるケースは余りありません。
しかし、監査を受けたことがない会社の場合、実査をやるといろいろ出てきます。

①毎日実査をやっていないケース
実査を毎日やっていないと、現金が合わなくなることがあります。
合わない原因を調べるのにも手間がかかります。毎日やっていれば、原因はその日にありますから、調査に手間はあまりかかりません。
しかし、毎日やっていないと過去の古い記憶をたどっていかなければいけません。
実際、現金が合わない会社がありました。普通、会計士の監査が来ると聞くと事前にあわせておく場合が多いのでめったにそのようなことはないのですが・・・。
原因は、慰労会のために従業員から集めたお金を金庫に入れてしまったことにあるようです。
→ 現金管理に問題ありといったところでしょうか。毎日実査をやっていないと、帳簿残高と実際の残高が合っていなく、帳簿残高を信用できなくなってしまいます。また、従業員の不正につながるケースもあるので要注意です。

②現金以外に回数券が出てきたケース
現金と回数券の合計金額が帳簿上の現金残高だったケースがありました。
ちょっと分かりにくいかもしれませんが・・・。
回数券購入時には、伝票を起こさずに、回数券が使われたときに(交通費/現金)という仕訳を起こしていました。
回数券は現金ではないので、当然このような会計処理は認められません。
(貯蔵品/現金)または(仮払金/現金)という仕訳を起こす必要があります。
(交通費/現金)でもいいのですが、期末に残があったら、(貯蔵品/交通費)という仕訳を起こす必要があります。
→ 会計処理をよく確認していなかったケースです。会計処理を直してもらう必要がありました。
また、回数券の購入時に領収書を入手していなかったので、入手してもらうようにしてもらいました。

③パーソナルチェックがあったケース
パーソナルチェックとは、個人が振り出す小切手のことです。
よく見ると振出日が20日前でした。
小切手は、呈示期間というものがあります。つまり、銀行が取立を行ってくれる期間のことですが、これが10日間となっています。
この期間を過ぎると銀行では現金化できなくなってしまうので要注意です。
なぜまだ現金化していなかったか聞いたところ、裏にサインをしてもらっていなかったから一度銀行に現金化を拒否され、本人にサインをもらっていたため時間がかかったからだそうです。
パーソナルチェックは裏にもサインが必要ですので、要注意です。
→ 小切手を受取った場合には、早めに現金化することが大切です。
このパーソナルチェックは一応銀行に持って行って現金化を依頼し、だめなら本人から直接取立てるようにしてもらいました。


現金実査、意外と色んなことがあるというのが実感でした。


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