スペイン母子家庭生活奮闘記☆毎日ドキドキ@マドリッド

夫の仕事でマドリッドにお引越ししたものの、諸事情によりスペイン内別居生活。
母は毎日がんばるよ!

縞のパジャマの少年

2008年08月09日 | 毎日がんばってま~す!
スペイン語で本を読むことは私のここでの大きな目標の一つだった。

しかし、本屋に並ぶ新作の多くはまるで百科事典のように厚く重く、そして小さな字。
地下鉄の中で読書をしている人を見かけるが、よくもそんなに大きくて重そうな本を持って移動する気になれますね、と言いたくなってしまう。



そんな中で、ある比較的薄くて軽そうな本が目に留まった。
タイトルは「エル・ニーニョ・コン・エル・ピハマ・デ・ラジャス(El nino con el pijama de rayas 縞のパジャマの少年)」。
アイルランドの作家、ジョン・ボイン(John Boyne)のベストセラーだ。



パラパラとページをめくってみると、適度な大きさの文字がいい感じにならんでいて私にも読めそうな予感が。
買ってみる。

辞書をしっかり脇にキープして1行1読み進める。



9歳の少年、ブルーノがアウシュビッツで出会った少年は、同じ9歳で誕生日も同じだった。
まったく別の境遇で育った2人の少年のピュアなふれあいを描く物語。
そして2人にしのびよる運命は・・・。

書評や宣伝などまったく知らないまま、ただ他の本より薄くて自分にも読めそうだったから選んだこのストーリーは、読み進めるうち、軽々しい気持ちで選んだことを恥じなければならないと思ってしまったくらい、重くせつなくやるせない話だと気付かされた。
特に最終章に至る頃には、まさか、そんなことありえない!と胸がざわざわと騒ぐ中、最後に何が起こるのか誰もが予測できてしまう。
そのことがまたいっそうどうしようもなくせつなさを煽る。

まだ文法を一通りさらっと終えたくらいのものなので、途中意味のはっきりしない部分がずいぶんあったが、想像力で補ってなんとか最後まで読み終えた。
初めてスペイン語で一冊を読み終えた達成感よりも、そのストーリーの美しさと哀しさにしばらくぼーっとしてしまった。

映画化されるという話も聞くが、日本語で出版されるようなことはないのだろうか。
どんなふうに翻訳されるのか興味深い。
お勧めの一冊である。