God bless the USA!

沖縄での最高の5年間を終え、ニューヨークへ戻り、今度はシアトルへ。アメリカの良さをうんと語っていきたい。

Certified medical interpreter

2024-01-16 | 驚いた
みなさんが 海外で、日本語も英語も通じないような国で 事故にあったとします。
救急車で運ばれて 病院に着いたものの、 さあ、 ことばが通じません。
そのような 状況のもとに 病院では 医療通訳を 派遣する制度があります。
アメリカでは この医療通訳を 無料で依頼することができます。
もちろん、きちんと 通訳者は 支払いを受けますが、患者からは直接 受け取りません。

さて、この医療通訳を 私はもうほとんど生涯にかけて 貫いてきました。
なぜ 医療通訳に 目覚めたかというと それは シンガポール時代に
実際に医療通訳として 活躍していた頃に さかのぼります。性転換手術を受けた患者さんの 通訳など
なかなか 踏み込めない世界に 入ることができる 魅力を感じました。
とにかく 医療現場に 魅力を感じました。

その後、海外出産・育児コンサルタントとして どうしても 産婦人科と 小児科の医療専門用語が
必要となり、そこから 専門を 産婦人科と 小児科にしました。
それから もう40年以上 医療通訳として 常に活動を続けていましたが
このたび シアトルに 移住したことをきっかけに ワシントン州における
医療通訳としての national exam つまり 国家試験を受ける決意をいたしました。

ワシントン州では 病院に派遣される医療通訳は すべて各州で 定められている 国家試験を合格したものしか
許可がおりません。
そして その管理の管轄が State of Washington, Department of Social and Health Service (DSHS) が承っています。

調べたところ、この資格を得るのには 5つの 試験を経なくてはならないことがわかりました。これらの試験は ワシントン州が行っておらず、試験専門の会社というものがあり、そこに依頼しています。そのため、その試験を受けるためには DSHS が申し込んで、その試験をする会社 (ALTA)が 試験を受ける過程を指示してくるのです。

1.ethics test
2. English comprehension test
3. Medical Interpreting test
4. Orientation
5. Ethics

最後の2つは ワシントン州 同時のもので、2時間づつの レクチャーを 聞いて テストを受けるというものでしたので
それほどむずかしい ものではありませんでした。

ethics test も 勉強し、内容さえ 理解していれば むずかしいものではありませんでした。
しかし、難関は English comprehension test と実技を試される medical interpreting test でした。

English comprehension は 医療現場の状況が ずらずらと 書かれていて、その内容について
理解できているかを 質問形式で答えるものでした。
時間制限もあり、しかも、監督が見張っているもとでの テストでしたので
もちろん、辞書などで 意味を調べるなどのことは 許されませんでした。
英語においては native 並みの スタンダードを求められます。そのため、かなり 英語ができないとパスできません。

そして もっとも 難関と 思われるのが 実技を試される Medical interpreting test でした。
これは 実際の role play 形式で 英語を話すドクターの 話した内容を 日本語に 訳し、
さらに 日本人の患者さんの 症状の訴えなどを 英語に訳して ドクターに 伝えるといったものでした。
この試験には 二度 挑戦しました。しかし、一度 落ちたため、どのように 勉強したらよいのかが
わかり、落ちて よかったと思ったほどです。その後の 勉強への 身の入れ方が 真剣になったからです。

さて、医療通訳者は 決して 内容を 間違ってはなりません。 言い回しを 変えることはできても
内容は 正確に伝える義務があります。
特に 数字や 診断名は 絶対に間違えてはなりません。 たとえば 薬が 処方されたとします。
ドクターは この薬を1日 3回、食後 2粒 飲むようにと 指示をしたとしたら、その通り
つたえなくてはなりません。ここで 間違えたら命に関わるくらいだからです。
症状を伝えるときも ひとときとして 気を抜くことはできません。
なぜなら 症状によって ドクターの診断は変わるからです。
そのため、症状は 痛みに関しても どのくらい 痛みが続いているのか、どのような 痛みなのか、どのあたりが痛むのか を
正確につたえます。
そして 瞬時に 診断名なども 頭の記憶から 出てこないといけないので、 アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、気管支炎、溶連菌感染症、動脈硬化、心不全 など 全部 覚えてなくてはなりません。
予防接種では 狂犬病、百日咳、麻しん、髄膜炎などの すべての 種類も知らなくてはなりませんし、当然これらを 日本語と英語で 記憶していないとなりません
からだの 部分名 たとえば 肩甲骨、大腿骨、鎖骨 さらには 筋肉の名称
内臓においては 右心室、動脈、静脈、血管、毛細血管、血小板、白血球 など

私は 専門だけは よく把握していましたが、今回の 試験のためには すべての科に渡って
勉強する必要がありました。

それでも 通訳を 始めた人たちのように 学校に行くほどでもないですし、要は 経験と知識がものを言う世界です。
そのため、role play をいくつも 練習しました。半年かけて、毎日 最低2時間を 試験勉強に費やしました。

note taking といって メモの 走り書きにおいても 今回の勉強を通して 徹底して 自分なりの記号を 決めました
ドクターが 話したこと、患者さんが 話したことを すべて 同じように なにも 省かずに
ターゲットの言語に 訳します。
そうなのです。 絶対に ことばを 落としてはいけないのです。
そのため、記憶力に 頼ることになります。
私は たいてい 下を向いて 集中して 話を聞くか、電話での 通訳の場合は ほとんど目を閉じて
会話に 集中します。 
メモには キーワード しか 記しませんが、それでも 訳すときに 内容は覚えているので
そのキーワードを 拾いながら 訳していけば ドクターの 話した内容を 漏れなく 患者に伝えることができます。

私はこの 記憶力の訓練は ボケ防止に 絶対によいと思っています
そのため、生涯に渡って この通訳の仕事は続けていこうと思っています。

半年も かかりましたが、 やっと certified medical interpreter の資格を 無事 得ることができました。
さあ、もう これで 資格取得は 終わりでしょうか?
終わりでありたいと願います。

試験中は 心臓がバクバクしていました。 寒かったため、手がかじかんでしまい、ペンも まともに
もてず、字が 上手に書けないほどでした。
オンラインでの ビデオチャットの試験なので 時々 音声がエコーしたりして、聞き取れず 慌てました。
リピートを お願いできるのは 2回のみです。その1回目を けっこう 最初の方に 使ってしまい これまた
焦る原因となりました。
緊張のあまり、ことばを 落としたかといった 不安もあり、
また 落ちたかと 心配でしたが、なんとか パス しました。
これで 2024 年は よい スタートが きれたかな?
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