小学6年生115人で「世界がもし100人の村だったら」のワークショップをしました。
今までの講師依頼はパラグアイの文化紹介が多かったので,ワークショップは
「食べ物から世界が見える」 以来2回目です。
100人の村ワークショップはぜひやりたいテーマだったので
この内容の依頼が来てすごくラッキー!さらに資料を集めて,本も読んで
改めて勉強し直すいい機会になりました。
今回のワークショップは
『世界がもし100人の村だったら』(マガジンハウス 2001年)
に描かれた世界の現実を,人口,言語,富の分配などについて
疑似体験という参加型の方法で体験することがねらいです。
今回の授業の流れはこんな感じ。
10分 アイスブレーキング 世界のあいさつ
25分 世界の富は誰が持っているの?
5分 『世界がもし100人の村だったら』朗読
5分 感想・質問タイム
アイスブレーキングは,役割カード(注)に書いてあるあいさつの言葉を
声に出して言いながら,同じあいさつをしている人を探す活動。
「ニーハオ!」「アッサラム アライクム!」「ナマステ~!」…
1分ぐらいすると,だんだんグループができてきました。
時間内に仲間を見つけられなかった,2,3人の言語グループの人たちは
全体の約半数。
世界にはたくさんの言語があること,同じ言語でも話されている地域や国が異なることを
知りました。
体を動かし,声を出して参加型学習の体慣らしができたところで
今回のメイン「世界の富は誰が持っているの?」の活動へ。
役割カードの,△□○の記号にしたがって3グループに分かれ,
「お菓子を配りま~す!」
と言うと,子どもたちも嬉しそう。
配られたお菓子を「グループ内で」「平等に」分けること
を約束して,各グループにプリッツを配りました。
△グループは23人で248本
□グループは69人で 48本
○グループは23人で 4本
早速,ブーイングが…
「△グループばっかりいっぱいある~。ずるい!!」
中には,私のところまで来て
「不公平すぎます。どうして平等に分けないんですか??」
「あっちのグループからもらってもいいですか?」
と直訴に来る子も。
なんとか全員にお菓子が渡って,食べ終わった頃に
それぞれのグループに,何か言いたいことはないか
マイクを向けてみると,
○「1㎝ぐらいしか食べられなかった。もっと食べたい!」
○「不平等条約だ~!
(社会で習ったばかりだったのでしょうね)」
○「プリッツ戦争勃発だ~~」
○「お腹空いた…」
□「5㎝(1/2本)食べました。」
□「え~。僕は食べてないけど…」
□「もっと食べたい!」
△「5本ずつ配ったけど,まだ余ってます。」
△「もっと食べたいです。」
△「大人が配ったものを食べてるだけなので,僕を恨まないで!」
言いたいことを全部ぶちまけてもらった後,たねあかし。
さっきまで賑やかだったのが,シーンと真剣な眼差しに。
最後に,『世界がもし100人の村だったら』(一部抜粋)
の朗読を目を閉じて想像しながら聴いてもらって静かに授業は終了。
伝えたいことはたくさんありましたが,今回は短い時間でもあったし
まずは世界の状況を知ることから。
どうしてこんなに不公平な世界になってしまったのか,日本人として
どうすればいいのか,考えるきっかけになってくれたらいいなぁ。
(注)
開発教育協会で購入できます。
『新・ワークショップ版 世界がもし100人の村だったら』
開発教育協会 制作・発行 2006.3 B5判 60ページ ¥2,000
活動の進め方,実践事例,資料(役割カードなど)が載っています。
写真左上の『参加型学習で世界を感じる 開発教育ハンドブック』
も同協会で購入できます。