閣議に臨む麻生太郎財務相(右)と安倍晋三首相=20日午前、首相官邸、飯塚晋一撮影

 麻生太郎財務相は20日の閣議後会見で、中国が設立を呼びかけているアジアインフラ投資銀行(AIIB)への日本の参加について、融資の審査方法などで透明性が確保された場合には「協議する可能性はある」と述べた。安倍政権幹部が参加の可能性に言及したのは初めて。

 AIIBをめぐっては、3月に入って主要7カ国(G7)のうち英国、ドイツフランスイタリアが参加を表明した。日本は米国とともに、AIIBの組織運営や融資基準などが不透明として、参加に慎重な姿勢を示してきた。

 麻生氏は会見で「AIIBの運営で、だれが融資を決めるのか。審査をきちんとしてもらわないと、国際通貨基金(IMF)やアジア開発銀行(ADB)など(の融資)に影響が出る」と指摘。その上で「そういうことが確保されれば、どういう(出資)割合にしていくか、中に入って協議する可能性はある」とした。一方で「外交や経済といった意味から慎重に判断したい」とも述べた。

 菅義偉官房長官は20日の会見で、AIIBについて「参加には慎重な立場だ。麻生大臣も同じ立場で、問題が解消されない限り参加することはありえない趣旨の発言と思う」と語った。

 AIIBは、アジアで不足するインフラ整備の資金を貸し出すことを目的に、中国が今年末の設立をめざす国際金融機関で、米国主導のIMFや世界銀行で十分な発言権がないことへの不満が背景にある。中国は3月末までに参加表明した国を「創始メンバー」として扱う意向を示しており、これまで30カ国以上が参加を表明した。