ナノテクノロジーニュース

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グラフェンにまた新しい性質が:ナノウイグルとナノディスク

2012-01-18 | 報道/ニュース

グラフェン(9/8,11参照)については、すでに何回も紹介して来た。グラフェンは炭素原子が平面状に結合したもので、禁止帯の幅が0の半導体(10/10参照)である。禁止帯の幅が0であるから、価電子帯の電子は熱エネルギーをもらって伝導帯に移ることが出来る。したがって、金属と同様に振る舞う。ところが、グラフェンをリボン状にするとその切り方によって金属になったり半導体になったりすることを説明した。

アメリカのレンセラー工科大学の研究者たちは、グラフェンナノリボンに丸みを帯びさせると(ナノウイグルと呼ばれている)電気的性質が著しく変化することを示した。さらに、理論的な研究が進められ、ナノウイグルの構造によって、禁止帯の幅が大きく変化することや磁気的性質が変化することも示されている。グラフェンのエレクトロニクスへの応用に、新しいツールが加わったといえよう。

ライス大学は、フラーレン(9/8参照)が初めて見つけられた場所で、今や世界的なナノテクノロジーの研究拠点となっている。最近、この大学の研究者はグラフェン量子ドットがおもしろい性質を持つことを発見した。この研究には、インド、中国、日本(信州大学)の研究者も協力している。量子ドットとはナノサイズの大きさの金属や半導体で、通常3次元的な構造をもっている。グラフェン量子ドットはナノサイズの面積を持つ単一原子層の炭素分子で、いわばナノディスクである。その作成法によって、青、緑、黄色など異なった色の蛍光を発することが明らかになった。きわめて安定な蛍光体であるという。他の分子などに付着させることも可能で、それらの行方を追跡するのに役立つであろう。医療関係の応用(10/30参照)が期待されている。



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