ナノテクノロジーニュース

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ナノテクノロジーは肺癌にも

2012-01-20 | 報道/ニュース

アメリカテキサス州のMetodist病院の研究者たちは、ポーラスシリコン(10/6参照)薄板と金ナノ粒子の組み合わせが、光熱療法による肺癌治療に有効であることを見つけだした。シリコンも金も共に人体に対して無害で、治験でよい成果が得られれば、外科手術にとって代わるのではないかと期待されている。

癌の光熱療法(11/13参照)では、癌腫瘍に金属ナノ粒子を吸着させて後レーザー光を照射し加熱し癌細胞を殺してしまう。これまで、金のナノ粒子が試みられて来たが、なかなか十分な加熱効果が得られていない。今回発表された新しい方法では、ポーラスシリコン薄板の孔の中に金ナノ粒子をつめたものを用いる。これによって加熱効果を高めることが出来るという。シリコン薄板は、その形によって癌腫瘍に付着しやすいことも明らかにされている。ポリアミンを用いてさらに付着しやすくすることも試みられている。ポリシリコン薄板の大きさは約1000ナノメートル程度で、典型的な腫瘍の十分の1である。

ポーラスシリコンと金ナノ粒子の組み合わせが高い加熱効果をもたらす理由は明らかではないという。おそらく、シリコンの存在によって、レーザー光によって刺激された金ナノ粒子中の金原子の振動が外部に散逸することなく、より有効に腫瘍に伝わるのであろう。

癌の診断にMRIが用いられることはすでに述べたが(9/18,1/7参照)、もう一つの有力な手段はエックス線コンピュータートモグラフィ(CT)である。この手法は人体によるエックス線の吸収を測定するものである。原子番号の大きい原子ほどエックス線の吸収係数が大きい。そのため、原子番号の大きい原子を含む造影剤を用いる。最近、ビスマスのナノ粒子が良好な結果を与えると報告されている。



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