ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

グラフェントランジスタ(続き)

2011-11-30 | 日記

昨日提示した図面の説明が間違っていた。あのトランジスタに使うグラフェンは半導体である必要がない。禁止帯幅0の通常のグラフェン(10/10参照)で良い。グラフェンの電子は、その振舞いは普通の金属と異なっている。その説明は、量子力学でもかなり難しい分野に属するので、ここではあきらめる。

グラフェントランジスタを最初につくり出したのは、アメリカのIBMの研究者である。図に示すように、炭化シリコンの上に半導体グラフェンナノリボンを成長させる。その上に、絶縁のため薄い高分子をかぶせ、ドレインおよびソースとなる電極を載せる。さらに絶縁してその上にゲートとなる電極がのせてある。グラフェンの中では、電子がシリコンと比べて非常に速く移動出来る。このため、高い周波数の信号を増幅出来ることが特徴である。この実験では100ギガヘルツの信号が増幅できたという。

                          

カリフォルニア大学の研究グループは、電極にナノワイヤーを用いてさらに速い信号に対応するトランジスタを作り出している。

また、アメリカでは、シリコンの代わりに、数層積み重ねたグラフェンを用いてチップを作成しようとする試みがある。現在のところ計算機シミュレーションの段階である。どのようにして現在の半導体チップの限界を打破するか、その競争はますます激化するであろう。

すでにカーボンナノチューブトランジスタも作成されている。カーボンナノチューブやグラフェンのトランジスタを結合してチップが作成出来るのは、まだずいぶん先の話だろう。シリコンの代わりにグラフェンレイヤーを用いる方法が比較的速やかに達成されるかもしれない。


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