ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

ダイヤモンドナノワイヤー

2011-11-14 | 日記

これまで、フラーレン、グラフェン、カーボンナノチューブなど炭素原子で構成されるナノ粒子について述べて来た(9/8参照)。これらは、グラファイトと同様に炭素原子が3個の手を出して平面状に結合したものである。これに対して、ダイアモンドでは、炭素原子が4個の手を出して三次的に結合している(9/6参照)。最近になって、アメリカのアルゴンヌ国立研究所の研究者たちは、ダイヤモンドのナノワイヤーを作りだすのに成功した。ダイヤモンド状に結合したナノ粒子はグラファイト状に結合したナノ粒子に比べて反応性が低く、バイオセンサーとしての応用が有望視されている。

アルゴンヌ研究所では、20世紀末にナノサイズの厚さのダイアモンド膜を作るのに成功した。それ以前からダイアモンド膜と呼ばれるものが存在していたが、それらにはグラファイト状に結合した粒子が含まれる。これに対して、ウルトラナノ結晶性ダイアモンド(UNCD)と呼ばれるアルゴンヌ研究所で見いだされた膜は結晶性のダイアモンドだけで構成される。従来のダイアモンド膜は、その硬さを利用して研磨材に用いられている。UNCDは、もちろん従来のものより硬いが、しかもその表面はスムースである。そのため、高硬度・低摩擦コーティング材料や医療用品インプラントとして利用出来る。また、結晶粒と結晶粒との間に分子が付着すると性質が変わることからセンサーに利用されている。

アルゴンヌ研究所は、すでにAdvanced Diamond Technologies社を設立し、その技術をトランスファーしている。センサーやウエファーなどの製品が発売されている。

ダイアモンドナノワイヤーは、UNCDにリソグラフィ(10/24,11/3参照)を施し(通常は電子ビームなどを照射する)切断して作成された。その大きさは、30x40ナノメーターで、差し当たってはセンサーとしての利用が検討されている。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ストライベック)
2018-07-07 03:04:19
 博士は化学メーカーのダイセルに移籍された模様。
ナノベアリングを応用したトライボシステムをそこで開発するようです。
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社会的なインパクトありそう (ストライベック)
2017-02-21 22:22:17
 島根大学で客員教授をなさっている久保田邦親博士(工学)が合金設計した材料ですね。その低フリクション冷間ダイス鋼は大臣賞とか発明賞をとっているものなので物はたしかなんですが長年原理が分からなかった。それを解明した論文が2017年の日立金属技報に乗っていました。ものすごく興味深かったです。
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有望そうな5486 (技術視点の投資家)
2013-12-30 07:58:44
 日立金属さんは希土類磁石なんかも優秀なので、そういったベアリング技術や磁性材料の技術を組み合わせると発電機、モーター、エンジンとハイブリッド自動車なんかの基幹技術を保有しているということになり、再生可能エネルギービジネスなどにも発展がありそうで魅力的だ。
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マニアもうなる最強金属 (塑性加工業)
2013-07-17 21:06:27
それにしても日立金属の高性能工具鋼SLD-MAGIC(S-MAGIC)の評判高いですね。少し前にその自己潤滑性とかいう話を日本トライボロジー学会で聞いたが、モリブデンとかカーボン、それにDLCコーティングなどの怪しげな論説とも整合し、油中添加剤の極圧効果にも拡張できる話は面白かった。そのメカニズムをひらたくいえば世界初かつ世界最小の本格的ナノマシンであるボールベアリング状の分子性結晶(グラファイト層間化合物)が金属表面に自己組織化されて、フリクションが良くなるということらしい。
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