これまで、フラーレン、グラフェン、カーボンナノチューブなど炭素原子で構成されるナノ粒子について述べて来た(9/8参照)。これらは、グラファイトと同様に炭素原子が3個の手を出して平面状に結合したものである。これに対して、ダイアモンドでは、炭素原子が4個の手を出して三次的に結合している(9/6参照)。最近になって、アメリカのアルゴンヌ国立研究所の研究者たちは、ダイヤモンドのナノワイヤーを作りだすのに成功した。ダイヤモンド状に結合したナノ粒子はグラファイト状に結合したナノ粒子に比べて反応性が低く、バイオセンサーとしての応用が有望視されている。
アルゴンヌ研究所では、20世紀末にナノサイズの厚さのダイアモンド膜を作るのに成功した。それ以前からダイアモンド膜と呼ばれるものが存在していたが、それらにはグラファイト状に結合した粒子が含まれる。これに対して、ウルトラナノ結晶性ダイアモンド(UNCD)と呼ばれるアルゴンヌ研究所で見いだされた膜は結晶性のダイアモンドだけで構成される。従来のダイアモンド膜は、その硬さを利用して研磨材に用いられている。UNCDは、もちろん従来のものより硬いが、しかもその表面はスムースである。そのため、高硬度・低摩擦コーティング材料や医療用品インプラントとして利用出来る。また、結晶粒と結晶粒との間に分子が付着すると性質が変わることからセンサーに利用されている。
アルゴンヌ研究所は、すでにAdvanced Diamond Technologies社を設立し、その技術をトランスファーしている。センサーやウエファーなどの製品が発売されている。
ダイアモンドナノワイヤーは、UNCDにリソグラフィ(10/24,11/3参照)を施し(通常は電子ビームなどを照射する)切断して作成された。その大きさは、30x40ナノメーターで、差し当たってはセンサーとしての利用が検討されている。
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