信号を光で伝達するフォートニックチップが次世代LSIに要求される(4/3参照)。しかしながら、ナノサイズの領域の中で光を電界によって制御することはあまり容易ではない。
最近号の専門誌 Nature Physicsによると、グラフェン(ホームページ2.2A1参照)上に発生させたプラズモン(11/17,12/21,1/23参照)を電界を加えることによって制御出来るという。グラフェン表面に走査型トンネル顕微鏡(9/17,10/11参照)の針を近づけておき赤外線を照射するとプラズモンが発生する。プラズモンはグラフェン上を移動し両端で反射し定在波を作る。グラフェンは禁止帯幅 0 の半導体とみなされ、電界を加えることによって電子濃度を制御出来るという特性を持っている。この性質を利用するとプラズモンの強度を制御出来るという。
http://www.nature.com/nphys/journal/v8/n8/full/nphys2381.html?WT.ec_id=NPHYS-201208
プラズモンを制御する技術、プラズモニックスはこれまでは金属を足場とするものであったが、金属では上に述べたような電界によるプラズモン制御は不可能である。グラフェン上のプラズモンの性質についても研究が進みつつあるが、グラフェンの欠点は禁止帯幅をそれほど大きくすることができない(グラフェンナノリボンにすることにより,HP参照)。今回の実験では、赤外線や可視光線のエネルギーを有効にプラズモン作成に利用するため、走査型トンネル顕微鏡の針の助けを借りている。光アンテナ(8/2参照)と組み合わせることも試みられている。
グラフェンプラズモニックスの研究が今後ますます盛んになるであろう。
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