これまで、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンをナノテクノロジーの役者として紹介した(9/8参照)。さらに、ナノサイズの半導体粒子(量子ドット、9/27-8参照)や半導体ナノワイヤーについても述べた。DNAもナノテクノロジーで重要な役割を果たしている。
よく知られているように、DNA(デオキシリボ核酸)は生物の遺伝情報を担う高分子物質である。鎖状の構造をもち、2本の鎖がらせん状に絡みあっている様子がしばしば描かれている。DNAは、ナノサイズのワイヤーで、分子の検出、投薬、ナノデバイスなど色々なナノテクノロジーでの応用が試みられている。
ここでは、DNAによるナノ粒子の自己アセンブリについて述べよう。溶液中に1本鎖のDNA(オリゴヌクレオチドと呼ばれる)を分散させ、その一端にナノサイズの金を付着させる。オリゴヌクレオチドは結合して2本鎖のDNAになるが、オリゴヌクレオチドの長さをほぼ一定にしておくと、金ナノ粒子がほぼ一定間隔で平面状に並ぶ。すなわち、金ナノ粒子が自己アセンブリしたことになる。オリゴヌクレオチドが結合する際、相手の分子構造を識別する。この性質のため、金粒子の間隔がほぼ一定に保たれる。
上に述べた方法は、1996年に見つけられている。その後多くの研究が積み重ねられて現在ではナノ粒子をレゴのように並べることができるともいわれている。
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