ナノ粒子は、軽くて、小さくて、姿が見えない。黒子の役目を果たすようだ。
アメリカ・コーネル大学の繊維ナノテクノロジー研究所の研究者たちは、イタリアの研究者たちと協力して、木綿でトランジスタ(12/22参照)を作ろうと試みている。彼らは、まず木綿繊維の束に金ナノ粒子を付着し、その上に電気伝導性の高い高分子の薄い膜を付着させた。この操作は、繊維を染色する操作に近く、木綿は少し固くなるだけであまりその性質を変えないが、電気伝導度を約1000倍にすることができた。残念ながら、この程度の電気伝導度では、まだトランジスタを作ることが出来ない。
しかしながら、センサーとして利用することが出来そうである。センサー付きの衣服が作れそうだ。たとえば脈拍数が計測出来るTシャツ、有毒ガスを検知出来る消防隊員用防護服、歩いた人間の数が計測出来るじゅうたん、などなど。
まだトランジスタへの夢は捨てられていないようだ。Tシャツの中には非常にたくさんの繊維があり、かつそれが互いに接続している。したがってかなり高い計算力が期待出来るという。Tシャツに取り付けられたイヤホンで音楽を聴きながら街を歩く姿が見られるようになるかもしれない。ちなみに、このグループのナノテクノロジーを用いた多機能繊維の開発研究は、アメリカ政府や工業会の支援を受けている。
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