悪習慣というのは、それがどのようなもので、どう正すべきかと考えはじめますと、たちまち迷路に入ってしまいます。
正しい念、正しい意を保ち良き習慣を為すには、次のような時にどう意識するかで決まります。
人間の根本的な欲望を凌駕することがすべてに通じます。
まず、空腹時に空腹を思わない。
空腹の痛みは飢餓の仕業です。
その証に多食は腹痛を伴います。
目で食べ、舌で食べ、念で食べることを日常としています。
これがまさに悪習慣です。
目で食べ、舌で食べ、念で食べることを日常としています。
この欲が生ずるのは、まさに「飢餓(きが)の魔(魔性の別人格)」によるものです。
目、耳、舌を正しく用いることは正しい念にあります。
悪習は、自分の敵手にして大敵です。
引き下がって懈怠(おこたる)すれば、それはもう自暴自棄の兆しとなります。
一刹那(瞬間)に怎麼(そもそもの意)の結果を生じます。
もし退縮すれば、数多の六賊を忽ちに生じて、錯誤、妄動の原因を為すことは明白です。
※六賊~眼・耳・鼻・舌・身・意の(六の感覚器官)を賊に喩えたもの。六根は色・声・香・味・触・法の外賊をいざない、貧・瞋・痴のの内賊を働かせる媒介となるところからいう。
飴一粒、菓子一片、茶水一杯を侮るのは、餓鬼の謀り事です。
天下を揺るがすほどの一穴です。
微細に観極めて、正意を決して断ずるべきです。
悪習慣を改める極意は瞬間にあります。
一刹那(瞬間)に怎麼(そもそもの意)の結果を生じます。
悪習慣をあらためるために学ぶことは、これからは特にたくさんありますが、時は今(身体を得てこの世にいる僅かなとき)しかありません。
眠るという習慣を遠ざけ、学ぶために眠らないようにする、いわゆる不眠を無理なく実践することが悪習慣の根を絶つための極意です。
眠気の正体は一般俗的であり、賊(五賊)にその因があります。
※ 五賊:喜・怒・哀・楽・慾を言います。五賊は五徳(仁・義・礼・智・信)を制して屈服させる因となります。
眠気をもよおす因には、腹を満たすことが第一にあり、体を暖めることが第二、五賊を戒めるために足を暖めることは必ず避けるべきです。
常に心を正位に置き、回光返照するのは、不眠を目的とするためです。
※修道は必ず回光返照しなければなりません。外に向かっていた思いの向きを内に回すことを回光返照といいます。内の自分の心地を照らしながら外の劫難因縁を照らすと自ら大慚愧の心生じます。
妄想や妄念を生ずると、おのずと姿勢が悪くなります。
ただちに転念して、もし臥せても心身の正位は変わらないようにします。
すなわち諸作(何かをする)を為す場合に一瞬とも投げやりにしないことです。
物を投げ捨てたり、事を急ぎ済ませたりせず、ゆっくりした動作をするようにします。
もし、邪念が混じり心に焦りがあるのは、すでに正気に欠けています。
多言、妄言、虚言に(常に)意識があるのは、すべての元凶で誤りはさらに極大になります。
悪習慣を改めるため、身を修めたいと言いながらこのようであれば、恥を知らない大恥です。
小さいことから大きく崩れ、小と思うものは実に大きいものです。
眠るのは、意を失います。
不眠は浩然の気を養う根源にして、そのように無意、無念、無想にして天人合一の機会を得ることができます。
※ 浩然の気~眠ることによって失う「意」は、意識のことで日常茶飯のことですが、眠らない状態で正位を整えて、意も無く、念も無く、想も無い境地、その超脱した境地が得られる、段階的な気で、元気(3次元)・精気(4~5次元)・神気(7次元以上)の最上の神気をいいます。
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