旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

隣りどおし あなたとわたし 左沢線を完乗!

2018-12-07 | 呑み鉄放浪記

 北山形駅の6番線に爽やかなスカイブルーを纏った2両編成が入線してきた。
"さくらんぼ" や "洋梨" が沿線の名産で「フルーツライン」を愛称するローカル線を往く。 

 

左沢(あてらざわ)線の起点は北山形なのだが、ホーム上のキロポストは2km。なぜ?
昭和2年、奥羽本線にも北山形駅が開設された際に、分岐点が山形から移ったのだろう。 

羽前金沢、羽前長崎、羽前高松、なんだか日本中を旅している気にさせる駅名が続く。
その一つ羽前長崎を出ると最上川橋梁を渡る。
明治期の貴重な全錬鉄製ワーレントラス橋は、土木学会から遺産登録された貴重なものだ。 

 沿線の中心駅、寒河江に到着する。ここまでの区間運行の列車も多い。
ホームの駅名表示板はさくらんぼ。大塚愛の楽曲の様に隣りどおしふたつ並んでいる。 

 

小雪ちらつく中、寒河江の町をぶらり。天保七年(1836年)創業、"澤正宗" の古澤酒造へ。
大正初期の蔵を酒造資料館として公開している。精米機・六尺桶・槽(ふね)など興味深い。
奥さんから自慢の酒を試飲させていただき、"大吟醸 紅花屋重兵衛" を求める。
山田錦で醸した華やかで香り高い辛口の酒だ。 

 

 創業100年の老舗食堂「皿谷食堂」、蕎麦屋だけど中華そばが人気メニューだ。 
牛骨とかつおぶしで取ったスープが懐かしい、昔ながらの中華そばが食べられる。
牛もも肉のチャーシューが丼を覆いつくした "ちゃ~牛めん" が美味しい。温まるね。 

 さて、寒河江を発った2両編成の気動車はひたすら田園風景の中を往く。
柴崎駅を過ぎると、最上川の河岸段丘に穿ったトンネルを2つ潜って、左沢に終着する。 

 米沢藩の舟陣屋・米蔵・塩蔵が置かれ、廓が軒を連ね、左沢は最上川水運で栄えた町。
米をはじめ米沢から運ばれた荷が、艜船(ひらたぶね)で酒田まで運ばれ北前船に積まれた。
反対に、酒田からは京の雅な文化や物資が運ばれ、舟運文化が華開いたと云う。  

山車やお雛様など京文化の伝播は、駅に隣接した交流ステーションで観ることができる。
左沢線は長井線(現山形鉄道)終点の荒砥を結ぶ延伸計画があったと云うが実現せず、
鉄路の終点は、結局水運の終点と同じくして今日に至っている。

北山形~左沢 24.3km 完乗 

さくらんぼ / 大塚愛



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