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名古屋フィルハーモニー交響楽団市民会館名曲シリーズ  サマーコンサート

2008年08月31日 | コンサート・レビュー
<曲目>
ドビュッシー:夜想曲(*)
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番イ長調 作品77(**)
ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 作品67『運命』
指揮:ティエリー・フィッシャー
女声合唱:岡崎混声合唱団(*)
ヴァイオリン:バイバ・スクリデ(**)
会場:中京大学文化市民会館オーロラホール


  
   


 名フィルの演奏を聴くのは昨年6月の定期以来1年2ヶ月ぶり。指揮は今年から常任指揮者に就任したティエリー・フィッシャーで、この常任指揮者により名フィルはどのように進化したのか楽しみに出かけました。ちなみにフィッシャーが登場した一昨年9月の名フィル定期も聴きに行っていますが、なかなかすぐれた指揮者だなと感じました。
 まずドビュッシー。個人的に関心の薄い作曲家なのでどうかなと思ったのですが、いかにも印象派の作品らしい雰囲気がうまく表現されていたように思いました。
 さて、今回の聴き所はやはりショスタコーヴィチ。ヴァイオリン協奏曲第1番は2006年6月9月以来3度目です。ヴァイオリニストのバイバ・スクリデは写真で見るよりもかなり豊満な体格で驚きました(笑)。第1楽章はネットリした濃ゆい弾き方で、この協奏曲の演奏としてはもっと冷徹な弾き方のほうが好ましく思いましたが、第2楽章以降はだんだんと調子に乗ってきたようで、久々に満足のいく演奏を聴けたように感じました。とりわけ第2楽章のテンポの速さもさることながら、それについていけるだけの名フィルの力量にもあっぱれです。第3楽章の超長いカデンツァは技術的にもきわめて高度なテクニックが必要で、観客もその一挙手一投足にみな注目していました。第4楽章は出だしが意外なほど抑制された響きで、これはフィッシャー風の解釈でしょうか。
 さて、今回のメインはベートーヴェンの『運命』。あまりにも人口に膾炙した作品であり、知らない人はいないと思うのですが、私はこの作品をナマで聴くのは意外にも初めてなんですよ。オケはそれまでの演奏に比べるといささか集中度を欠いたような印象で、第1楽章の有名な出だしの部分で弦楽器がわずかにフライングしてスタートしていました。また、全体的にCDで聴く演奏と比べると重厚感を排除した軽い演奏のように感じましたが、これこそフィッシャー流の解釈ではないかと思いました。
 さて、演奏終了後に印象に残ったのは、コンサートマスターの日比さんをはじめ団員たちが終始笑顔で、指揮者と団員がいい関係で結ばれている点でした。これからもさらなる演奏技術の向上に向けてティエリー・フィッシャー率いる名フィルに大いに期待したいと思います。

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