読書と追憶

主に読んだ本の備忘録です。

TVタックルを見て

2007-12-18 00:37:57 | テレビ番組
 今日は書く気になっていなかったんだけど、さっき、TVタックルを見ていたら、かなり意図的な誘導をしているようであったので、ちょっとそれは違うだろうと思った。テーマは「日本人よ拉致問題を忘れるな!」だった。歴代首相がこの問題に耳を閉ざしてきて全く進展がないまま30年近く経過してきたのだが、小泉首相は拉致被害者5人を救出したと評価し、当時の官房長官だった福田康夫現首相の失態、やる気のなさを特に強調して映像を編集している。確かにまあ、そうだろうし、別に私は福田さんファンってわけじゃないけど、アジア外交重視で「対話路線」ということを言う福田さんのやり方をアホ呼ばわりしているように見えるんで、そりゃあ、ちょっと違うだろうと思った。
 
 勝谷氏は「これがアメリカだったら特殊部隊を派遣して救出してますよ。自衛隊の人に聞いたら『やれと言われれば、自分たちはやれる』と言ってました。」と発言してたが、特殊部隊を派遣して強制奪還したとして、それでその後どうなるの?北朝鮮が怒って宣戦布告するとかミサイル攻撃をしてくるとかしてきたとき、どう対応するの?ああ、そうか。戦争すればいいとおもってるわけだね。アメリカが助けてくれる?じゃあ、なんで今アメリカは制裁を解除して「テロ支援国家」指定を取り消そうとしてるわけ?まったく意味ないのに。今戦争したくないんじゃないかなあ。そもそも、拉致被害者が北朝鮮のどこにいるのかわかってるのかなあ。北朝鮮は、日本にいる朝鮮総連を利用して金集めや宣伝活動をしてきたわけだけども、日本は北に対する情報収集をしてきたのかなあ。確かに今までの自民党の拉致問題に対する対応はひどかったと思う。拉致問題は存在しないという総連の主張に乗せられた社会党もひどかったと思う。でも、今どういう対応ができるというのか?昨日の、西村眞悟氏は「経済制裁は実は効果があるんだ」とおっしゃっていた。ふーん、そうなの。じゃあしたらいいじゃん。
 
 もし金正日政権が倒れたとして、その引き金を引いたのが日本だったら、多分経済援助や難民の受け入れに莫大なお金を出さざるを得なくなるだろう。アメリカとか中国とかってあったまいいから、絶対自分の懐が痛むようなことはしないように圧力をかけてくるだろうし。韓国と折半かなあ。いいんじゃない?

 テレビを見ている途中で家族にチャンネルを変えられたから残りの半分は見れなかったんだけど、たしか金慶珠さんが「日本が北朝鮮と国交を回復することでのメリットは・・・」というと、他の人が「メリットなんかないよ!国交を回復する必要はない!」と言い切ったので「じゃあ、デメリットという観点から考えると、この問題は東アジア地域における日本のイニシアティブ・・・」と言いかけて重村智計氏にさえぎられた。「金さんは朝鮮半島の問題に日本が係わるべきだというふうに誘導しようとしている。」と。(言葉はちょっと違ってたかもしれないけど。)ああ、関わらなくっていいわけね。まあ今、日本は出てくるなって無視されてる状態だから、いいんじゃないの?

 勝谷氏は「日本人は民度が低いから、百年かかって民度を高めていかなくてはならない」と「たかじん」の中でいつか言ってたことがあった。「民度が低い」というのは宮台真司がしょっちゅう書いていることだけど、政治的見解がまるで逆の方向をむいているのがおもしろい。宮台氏の場合、「民度が低いから、戦略的な思考ができるエリートを育成するべき」という意見だけども。中国の場合、エリートの育成には徹底的に「この国のダメなところ」を教えるんだそうだ。「歴史的に見て、この政策は間違っていた。こうするべきだった」みたいにダメなところを教え込んでどうすればよかったのかを考えさせるんだと。それで国に嫌気がさすような人は必要ないって。

前述の、姜尚中 宮台真司「挑発する知」(ちくま文庫)の中で宮台真司は、こう述べている。
 私たちは、これからどういう外交カードを手にできるのでしょうか。たとえ現在カードをもっていなかったとしても、アメリカの動向に右往左往しないで国民益を失わないための選択肢はなんなのかを検討し、それを確保する努力をしてきているでしょうか。
 もうひとつつけ加えます。北朝鮮に対する強硬論を馬鹿のひとつ覚え的に唱えている安倍晋三的な方々と、新しい歴史教科書をつくる会(以下「つくる会」という)の方がたが連携していますね。これは象徴的な出来事です。
 私が昔からいっていたし、最近では小熊英二さんも書いているように、「つくる会」は、日本の伝統的な保守ではなく、都市中流階層のアノミーのなせるわざ。成熟社会特有の不透明性と流動性がもたらすアノミーや不安を、敵を見つけて噴きあがることで鎮めようとするわけです。アノミーの背景には、冷戦体制崩壊や、平成不況深刻化もあります。
 繰り返しますと、もし日本が経済規模を維持しようとすれば、資本や労働力の流動化が高まるのは避けられません。外国人労働力の重要性はむしろ高まってきます。頭脳労働者から単純労働者まで外国から入れないかぎり、一定の経済水準を保つことはできません。
 外国人労働者が入ってくると都市中流階層のアノミーが進みます。同じ現象はドイツをはじめいろいろな国で起こっています。フランクフルト学派的に予想すれば、アノミーに陥った連中はカッコつきのナショナリストとして噴きあがるでしょう。「弱い国だから外国人が入ってくる。外国人が入ってくるともっと弱い国になる」などと。
 すでに九〇年代の時点でもそうなっています。「つくる会」のオヤジ慰撫史観を見ているとつくづくそう思います。だから、ここにいるみなさんに賢明な選択肢が見えていても、世論はアノミー的噴きあがりの方向に動く可能性が大きい。
 しかも、勝ち馬に乗りたがるメディアが、それを煽ることでしょう。そのため、状況を変えるのは、なかなか厳しいかと思います。もしかすると、そうした動きの延長線上で、デカイ一発によって懲りなければ、問題は解決しないのかもしれません。

確かにネットの状況や、マスコミの微妙な情報操作を見ているとその予測はあたっているなあと思う。

「丸山真男をなぐりたい」の人は要するに「同情するなら金をくれ」(斎藤美奈子 「SIGHT」1月増刊号)と言っているらしいんで、そういう危ない若者にだれか6000万くらいお金を送ってあげてください。

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