NPO法人 湘南鎌倉猫ほっとさぽーと 活動ブログ

鎌倉・逗子・葉山で飼主のいない猫の不妊去勢手術をサポートしています。

鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情⑥ 殺処分ゼロはゴールではない

2016年11月11日 | 鎌倉市・逗子市・葉山...
この記事は神奈川県の地域猫調査への回答として当会が提出した文書をベースにした連載です。

鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情① 地域猫活動の状況
鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情② TNRは徹底するのが難しい
鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情③ TNRの徹底を阻んでいるのは無責任な餌やり
鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情④ 今のままでは地域猫活動は普及しない
鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情⑤ 現行法での対応の限界

⑥ 殺処分ゼロはゴールではない

神奈川県動物保護センター(横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市、藤沢市を除く神奈川県全域を管轄)では、平成26年度に猫の殺処分がゼロとなりました。

私たちが活動する鎌倉・逗子・葉山(合計人口約26万人)では、所有者不明猫のセンターの引き取りもほとんどありません(3市町合計で2015年9頭、2014年4頭)。

しかし残念ながら当会には猫が繁殖しているという相談が後を絶たず、毎年対応できる水準をはるかに超える猫問題が報告されています。

いったいどうなっているのでしょうか?

動物保護センターの猫の引き取り数は引き取りの方針や方法などによっても左右され、殺処分数はこれに加えボランティア等に譲渡できた数によっても変動します。
(動物保護センターが引き取る飼い主のいない猫は「遺棄されたり親から見捨てられ自力で生きていくことが困難な猫」)

従って殺処分数は当該地域にいる野良猫の数と直接は連動しません。

そして実際に私たちの地域社会には依然として膨大な数の野良猫がいて、不妊去勢手術をせずにそれらをさらに繁殖させる無責任な餌やリが数多く存在しています。


「殺処分ゼロ」=「猫問題の解決」ではないのです。

私たちも殺処分ゼロは画期的で素晴らしいことと考えています。

ただこれは野良猫の繁殖を止め、手術済みの猫の世話をしながら看取ったり引き取ったりして飼い主のいない猫を減らしていくことで達成しなければなりません。

「殺処分」そのものが問題と捉えてしまうと、「不妊去勢手術をしない無責任な餌やリによって野良猫が繁殖し、周囲の人も猫も苦しんでいる」という“根本問題”を見失ってしまいます。



殺処分数だけでは猫問題解決の指標になりませんが、自治体による猫の路上死体回収数と併せて検討すると猫問題の悲惨な実態が見えてきます。

次回は猫の路上死について考えます。


・・・つづく