NPO法人 湘南鎌倉猫ほっとさぽーと 活動ブログ

鎌倉・逗子・葉山で飼主のいない猫の不妊去勢手術をサポートしています。

藤沢市議会議員有志の猫議連と意見交換

2016年10月30日 | 日記
藤沢市には市議会議員有志による超党派の「猫議連」があります。

地元のボランティアと一緒に藤沢市役所にて10月28日、市議会議員6名と保健所職員出席の意見交換会に参加してきました。

当会からは主にこのブログで展開している内容をお伝えしました。
当会の主張:「野良猫問題の解決には無責任な餌やリをどう抑止するかが本質的な課題であり、そのためには実効ある法整備が不可欠」など。

それに対し、「しっかりした法令の整備と有効な行政支援の必要性を強く感じた、何とか議員政策条例までもって行きたい」などのご意見を頂きました。

(リンクをクリックしてください)
藤沢市議会議員 塚本まさき ブログ
藤沢市議会議員 友田そうや ツイート

啓発活動の強化や不妊去勢手術費用の助成制度の議論に終始してしまうと問題の本質に迫れません。


<藤沢市にも問題地域がたくさんあります>

解決に結びつく進展がありますように。

鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情⑤ 現行法での対応の限界

2016年10月28日 | 鎌倉市・逗子市・葉山...
この記事は神奈川県の地域猫調査への回答として当会が提出した文書をベースにした連載です。

鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情① 地域猫活動の状況
鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情② TNRは徹底するのが難しい
鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情③ TNRの徹底を阻んでいるのは無責任な餌やり
鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情④ 今のままでは地域猫活動は普及しない

⑤ 現行法での対応の限界

「対話と説得」では不妊去勢手術をしない無責任な餌やリを抑止する手段として、民事訴訟が考えられます。
私たちの知る限り鎌倉市・逗子市・葉山町ではまだ事例がありませんが、
全国レベルでは時々報道されています。


<ある事業所の塀にあった掲示:無責任な餌やリは人も猫も追い詰めてしまう>

証拠を基に「近隣住民への配慮を怠り、生活環境を害した」と認定された事例では賠償を命じる判決が出ています。

しかしながら地域に暮らす普通の生活者にとって訴訟はとてもハードルが高いのです。

裁判に勝っても負けても双方共にそこに住み続ける場合には人間関係がさらに悪化し、
良好な住環境を得ることは難しいかもしれません。

餌やリが抑止できて多少の賠償金が得られたとしても、
裁判に要した時間・費用・労力と心労に値する成果が得られるとは限りません。

何らかの嫌がらせをされるのでは、と心配する声もあります。
被害者として行動を起こすのは大きな決断が必要なのです。

現実には苦情を伝えることさえも躊躇される方が多いように思います。

一部の人の無責任な行動によって行き場のない猫が繁殖し、
罪のない動物や人が苦しまなければならない状況は間違っています。

野良猫問題は人の生活環境の観点からも動物愛護の観点からも解決すべき問題です。


<出生の経緯は何であれ、猫だって生まれてしまったら何とか生きていかなければなりません>

そこで「神奈川県動物の愛護及び管理に関する条例」を改正したり、
動物愛護法9条(注)に基づく条例等を別途制定する等によって
野良猫の繁殖抑止を図ってはどうかという考え方が出てきます。

(注)動物愛護法:(地方公共団体の措置)第九条「地方公共団体は、動物の健康及び安全を保持するとともに、動物が人に迷惑を及ぼすことのないようにするため、条例で定めるところにより、動物の飼養及び保管について動物の所有者又は占有者に対する指導をすること、多数の動物の飼養及び保管に係る届出をさせることその他の必要な措置を講ずることができる。」


・・・つづく

鎌倉市雪ノ下3丁目 TNR

2016年10月21日 | 日記
雪ノ下は鎌倉駅から徒歩圏の人気の住宅地ですが、道路が狭いところが多くあります。
その狭い道路からさらに路地を入った奥に、不妊去勢手術をしないで猫に餌をやっている家がありました。

一般的に、長期にわたり猫を繁殖させているお宅は生活環境の衛生に無頓着、
ご近所の方への配慮ができない等の特徴に加え、猫がかわいそうという動物愛護の精神に欠けているように思います。


<狭い空間で頭数が増えると不衛生になりやすい

手術をせずに餌をやっていればそこで繁殖が起こります。
例えばある餌場に4頭の猫(♂2♀2)がいれば、出産が年2回(平均出産頭数4/回)とすると、翌年は20頭になっているはずです。

でもこのような場所ではなかなか無事に成猫にはなれません。

このお宅でで捕獲・手術した猫はオス4メス7で、内メス6頭は出産後です。
今年生まれの子猫が数十頭いてもおかしくないのに、健康とは到底言えない子猫がたった3頭。。。これは相当ひどいレベルです。

猫(特に子猫)は病気にかかったり交通事故にあったりカラスやタヌキに襲われたりします。
違法ですが人が殺している場合だってあります。
行政による殺処分は全体から見たらほんのわずかなのです。

ワクチンも接種していない状態で不潔な環境にいるのですから、猫風邪で目が目ヤニでグジャグジャになったり角膜が白濁したりします。


<瞬幕が出た状態、このくらいならば治療すれば治りますが・・・>

ノミダニ・回虫駆除なども行わないので、ノミだらけになったり回虫を吐いたりします。
体力のない子猫に風邪・内部寄生虫・外部寄生虫などがいっぺんに襲い掛かれば命にかかわります。
さらに置き餌に野生動物が来てその疥癬がうつるケースもあります。


<ノミダニも回虫も薬の投与で簡単に落ちますが、放置すると大変です>

こうして無責任な餌やリの周りでは毎年痛々しい傷病猫や猫の死体を見ることになりますが、それでもこうした人は繁殖を止める努力をしません。
動物愛護の観点からは考えられないことです。

不妊去勢手術によってとりあえずはこの場所の不幸の連鎖は止まるので、私たちはTNRを推奨し実施しています。
人間が作ったペット種である「イエネコ」を外で繁殖させ、行き場のない猫を周囲に大量に供給したり苦しめたりしていいはずがないからです。

ただし再発させない・拡大させないための何らかの制度を導入しなければ、どんなに頑張ってもきりがありません。
結局は人が作っている問題ですから、無責任な行動を抑止する法整備が必要なのだと思います。

鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情④ 今のままでは地域猫活動は普及しない

2016年10月15日 | 鎌倉市・逗子市・葉山...
この記事は神奈川県の地域猫調査への回答として当会が提出した文書をベースにした連載です。

鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情① 地域猫活動の状況
鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情② TNRは徹底するのが難しい
鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情③ TNRの徹底を阻んでいるのは無責任な餌やり

④ 今のままでは地域猫活動は普及しない

地域猫セミナーに参加すると、「手術の説得に応じない人はどうしたらいいか?」、「地域猫活動のルールを決めても守らない人はどうしたらいいか?」といった質問が出されます。

最も大切な質問だと思いますが、「地域の人が根気よく手を差し伸べて」とか「まったく手術する気のない人はどうにもならない・・・あとで猫除けの方法を教えます」などがセミナーの回答で、困っている人に対する現実的な解決策を提示できていません。


<いつも餌が出てくる窓辺で待つ未手術の野良家族>

もちろん「対話と説得」は重要で、それで解決できるに越したことはありませんが、それだけでは解決しない問題が実は大変多いのです。

例えば、みんなが決められた方法で餌をやっていれば未手術の猫が来たらすぐに気づいて捕獲・手術ができますが、無差別に餌をやる「置き餌・撒き餌」をやめない人、隠れて餌をやる人、まったく捕獲する気のない人などが一人でもいると、猫の行動が捕捉できずTNRが徹底できないので繁殖は止まりません。


<こちらも民家の敷地内の餌場で待つ野良猫。餌をやる人が捕獲・手術をしない限り、悲劇は終わりません。>

TNR(手術)が徹底できないのはルールを守らない餌やリを抑止できないからです。

現在の地域猫活動に欠けているのは、その基盤となる「無責任な餌やリを抑止する実効ある法規制」です。
「対話と説得」ではどうしても解決しない場合に取り得る手段がなければ地域猫活動を有効な野良猫対策として普及させることはできません。


これが鎌倉市・逗子市・葉山町でTNRを実施してきた当会のメンバーの実感です。

猫の繁殖力はたいへん強く、一人の無責任な餌やリが抑止できなければ毎年何十頭もの猫がそこから周囲に供給されます。
そして猫が増えるとこのような無責任な餌やリも増えて問題が拡散していきます・・・地域猫活動どころではありません。


・・・つづく

鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情③ TNRの徹底を阻んでいるのは無責任な餌やり

2016年10月10日 | 鎌倉市・逗子市・葉山...
この記事は神奈川県の地域猫調査への回答として当会が提出した文書をベースにした連載です。

鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情① 地域猫活動の状況
鎌倉市・逗子市・葉山町の猫事情② TNRは徹底するのが難しい

③ TNRの徹底を阻んでいるのは無責任な餌やり

TNRの徹底を阻んでいるのは無責任な餌やり(手術をしない餌やり人)の存在です。
前回の記事で述べた通り日本では特殊な例外を除けば「自活している猫」はいないので、猫問題はまさに無責任な餌やりが作っている問題です。
そして、この無責任な餌やりは想像以上に数が多いのです。

TNRボランティアの活動の中で、「手術をしたい」という相談には比較的対応し易いのですが、「近所で猫を繁殖させている人がいて困っている」という相談は無責任な餌やり人の説得がカギになるので、解決が難しいことが多いです。

<私有地の中に勝手に入って餌を与えているケース>

<看板の下で猫が餌を食べています>

説得や行政指導は無視しても罰せられることがないため、ボランティアや保健所職員が訪問しても、そもそも対応に出てこない人や「餌はやっていない」「猫は来ていない(来なくなった)」などと嘘をつく人もいます。
もちろん「手術する気はありません」という人や訪問者を恫喝したりする人も存在します。

手術をしない(またはさせない)理由は結局のところ不明です。
「心の準備ができていない」「自分の主義に反する」などと説明されることもありますが、複数の雌猫が発情・妊娠していて直ちに繁殖を止めないと問題が急拡大してしまうという状況でも手術に同意しないケースが珍しくありません。

無責任な餌やり人は、実際には自分が餌をやっている猫が出産したと知っていても、「子猫が捨てられた」「野良猫が子猫を置いて行った」などと虚偽の説明を繰り返すことが多く、手術に向けた話し合いや説得は容易ではありません。


野良猫問題の対策というのは詰まるところこのような「無責任な餌やリ」対策なのですが、
毎年多くの子猫を産ませて猫をふやしているこの無責任な餌やり人に対し、残念ながら現在は有効な策がありません。


・・・つづく