navikuma のブログ 陽炎のようにゆらめく景色のなかを走行中です。

ユーラシア大陸の端っこからのたわごとです。

遥かなるバルカンの空の下へ-17

2008年09月06日 | 日記
プロムナードの右端が小さな船着場になっていてそこから街の中に向かう旧バザール路が広場から伸びている。
*(波)**(椰子)**(うるうる)*

広場の真ん中にはオフリド守護聖人と敬われている聖クレメントの背の高いブロンズ製立像が行きかう人たちを見守っている。広場の一角には大きな店構えのレストランやカフェがある。
テント地の庇が届かない路上までせり出して並べられたテーブルについて寛ぐ保養客らしき人たちの雑談を背中に聞き流しながらその旧バザール石畳路をぶらつく。

西欧ホリディスタイル風の家族連れも多い。
机ひとつ椅子二つで営業している小さな旅行代理店や間口はやはり小さいけれども豊かな品揃えの本屋などが続いている。
しばらく行くとセンスの良いレザー服飾品やバッグ類などの店もある。 その前後には一抱えほどある大きさのイコンの木彫りを並べて売っているお店もある。幾つかの小さな装飾店や結構大きな装飾貴金属店にはとても質のよさそうな美しいオフリド・パールの装飾品が良く目につく。
ここでも真珠が採れるのだろうか?

この旧バザール路は賑わっていると言ってもほどほどの賑わいで好ましい。
車ははいって来られないのでときどき歩行者に混じってのんびりうろついている近所の飼い猫を何匹か見かける程度である。
だから自分の好きなペースで好きなようにゆっくり寛いで見歩きできる。
港からぶらぶら歩いて15分たらずで終わりになってしまうぐらいの長さしかない。
特に何かが秀でているわけでも高級品店が連なっているわけでもないのにけっこうリッチで満ち足りた気分にさせられる。
何か良くわからぬがそんな風情がある小路である。

たまたまあった本屋さんを覗いてみたらこの旅に出る前から欲しかった地図が置いてある。さすがは地元の本屋だけのことはある,しばらく手にとって見比べてみた。
マケドニア語はわからないけどきれいな写真と地図が組み合わせた内容のあるとても参考になりそうな観光ガイドブックを見つけることができた。
順番を待って350ディナール=5.8ユーロ支払ってそれを購入した。

おいしそうな匂いが漂っている途中のレストランやアイスクリーム屋が気になりつつも先へ進む。
もう昼時をすぎているのでお腹が空いて来ているのだ。
路がゆるやかに左に弧をえがいているところにさしかかるとマケドニアの民芸品を売る店があって道路側の壁いっぱいに民族衣装を陳列している。
明るい赤を基調にした民族衣装や民芸品がとてもきれいだ。

やがて家並みのあいだに建つモスクの白いミナレットが見えたと思ったらちいさな広場に入り込んだ。

一本の大きなスズカケの木が涼しそうな木蔭を落としている。
この老木は樹齢800~900歳にもなるらしい。
ここ小さな広場の中央にはさらに涼しげな噴水があった。蚕がキラキラする細く柔らかな糸を吐いて繭珠を絡めるようにいくつもの丸い放物線を吹き上げている。
水しぶき入りの涼風をくぐりながらその広場を通り過ぎて細い街路を進んでいくとなにやらごたごたと猥雑で騒がしくなってきた。

その先で青空マーケットが開かれているのだった。
青空といってもここの夏は焦げるほど日差しが強いからそれぞれテントを張るように屋根幕を張って日差しをしのいで店を開いている。
そういう店が幾店も幾店も連なっている。
作りは素朴だが大小長短そろって日本の和ぼうきに良く似たようなものがある。おなじほうきもろこしを束ねてつくられている。

台所用品や日用雑貨を並べている一角をすぎるとそこからはほとんどは野菜や果物一色の売り場が広がっている。
見るからに新鮮でよく熟れた赤・黄・緑・青・橙色などなど色鮮やかだ。陽光の中にはちきれんばかりピチピチした商品たちが売り台からこぼれ落ちそうなほど盛り上げて売られている。
マケドニアの明るい夏陽に恵まれて育った野菜や果実たちである。

土地の買い物客たちに紛れてそんな所を歩き回っていたらあまりにもおいしそうなマスカット葡萄が並べてあった。
威勢の良い大兄いに一粒味見をさせてもらい特においしそうなところを指差してひと房分を買った。
両手で持つぐらいの分量500gで25ディナール=0.41ユーロだった。

しばらくはその豊かな産物に溢れたマーケットを覗き歩いた。
歩き疲れてきたのでどこかに腰掛けて一休みしたくなった。

さっき来た路をたどって船着場前の広場へふたたび戻ってきた。
冷たい水がこぼれ落ちている石造りの水飲み場が広場にありさっき買ってきた葡萄をその水で洗ってやった。
そして小雀たちが戯れているそばのベンチにこし掛けそこで甘い太陽の香りのする葡萄を食べた。
ときどきは近寄ってくる雀達にその甘い葡萄の幾粒かを投げ与えながら。

今日はこれからアルバニアへ入ってアドリア海の港町ディユレ(DURRES) まで行く予定である。

オフリド湖岸に沿って南へ走っていくと国境が在るはずである。
国境線はこの湖の南岸から湖中1/3のところにひかれている。

その途中東へ折れて標高1700mほどのガリチア山脈を越えるとほぼ同じくらいの大きさのプレスパ湖がある。その湖の中ではマケドニア・アルバニアそしてギリシャの3つの国境線が錯綜している。

マケドニアという所はその長い歴史上でも境界線がしばしばあちこちへ動くところである。
今のこの辺の国境線も将来またどちらの方へか動くのだろうか。

街外れにあったガソリンスタンドで手元に残ったマケドニア・ディナール分を払ってガソリンを入れた。
お金を払うときお店のレジにいた娘がいきなりオランダ語で話しかけてきた。
オランダにいる親戚を頼って1年ほど住んだことがあるという。すこし話をしてみたら私の車のナンバープレートをみてアジア系オランダ人と思ったのだそうだ。
まだ残っていたディナールコインでよく冷えたコーラ・ライトを1本買って渇いた喉へ流し込んだ。
体中の汗がスッと退いていった。

オフリド湖周辺にはいくつも立ち寄ってみたい古い教会や古跡がいくつもある。
特に古代ローマ遺跡やマケドニア正教会らは西欧教会のように大きく暗く仰々しく厳しくなくてよい。
アルバニア国境へ行く途中湖岸に建つ聖ナウム修道院の容姿はとても可愛く見えた。
そばを通り過ぎただけで立ち寄る時間はない。

そしていよいよアルバニアへ入る。午後4時過ぎになっていたがまだまだ太陽は頭上でぎらぎらと強い陽光を落としている。*(晴れ)*

こんな所に国境検問所があるのだろかと思えるようなオフリド湖を見下ろす湖岸のくねくねした細い1本道上にそれがあった。*(山)**(進入禁止)**(はてな)*

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