navikuma のブログ 陽炎のようにゆらめく景色のなかを走行中です。

ユーラシア大陸の端っこからのたわごとです。

遥かなるバルカンの空の下へ-5

2007年11月19日 | 日記
いったいどういうことなんだろう?

車の窓ガラス全体が一瞬にして曇ってしまった。
前も横も後もまったく見えない。*(青ざめ)*

反射的に運転席側の窓をすこし開け換気切り替えボタンをデフロスターのポジションにして目盛りを一番強力な4番ブロワーにセットしてみる。運転席側の窓をさらに一番下まで下ろした。

ひょっとしたら外側の曇りだったらと思ってためしにワイパーのレバーを手前に引いて噴出水をかけてみた。 
まったく効果なしいや変化なしである。
曇っているのは窓ガラスの外側ではなく車内側だった。

雨降りの高速道路を走り続けてきてトンネルに入ったとたん内側のすべての窓ガラスがひどい水蒸気の曇りで覆われてしまったのだ。*(怒り)*

強力な噴き出し風とブオオォーという噴き出し音, 音のほうでは効果がないけど, でフロントグラスの曇りを吹き飛ばそうとしている。
ほんの少しずつ本当に少しずつではあるがまずフロントグラスの下のほうから噴き出し口のそのまま横長の線形にしかしまだわずかな限られた範囲だけその曇りが晴れてくる。
運転にひつような視界にはほど遠い。

他に方法がないし私の車にはこの方法がいちばん効果的であると今までの経験から分かっている。下手に素手で拭ったりするともっとひどい結果になる。

もしエアコンが装備されていればまた違った対処法があるのだろうが今はこうするしかない。

余談だが私の車にはエアコンのスイッチだけはついている。
でもいままで何回となくボンネットを開けてみて知っているのだがエアコン装置らしいものは一切見たことはない。
たしかにエンジンだけは入っている。*(ニヤ)*

いままで数え切れないくらいエアコンが欲しいと思ったことがある。
幾度そう思おうがまた一生懸命思ってみてもただのスイッチだけでは残念ながらその恩恵に浴したことは一度もない。

ずいぶんむかしの話であるがこの車を新車で購入した当時の北欧州では車にはエアコンなんてついている車はごく稀であった。
誰も高い差額を支払ってまで使用頻度の低いエアコンつきの車を買う人はいなかった。
しかし昨今はそれでもずい分変わってきていておそらく50%近くがエアコンつきのようだ。

次の車にはぜひよく効くエアコンが欲しいと思っている。*(ハート目)*
だがまだ実現していない。

この不可解な現象はたったいま飛び込んだばかりの高速道路のトンネル内でとつぜん起こったことである。
トンネル内では制限スピードの80km/hで走っている。
正直に交通ルールを尊守するからではなくて交通量が多く流れに乗って走るより仕方ないので否応なしにそのスピードで走ることになる。

トンネル内は追い越し禁止の対面交通だ。
道幅が狭くしかも照明が薄暗い。
そんなところを前方視界がほとんどないまま走り続けるのは危険この上ないことである。そんなことはもちろん承知している。
しかし, だからなおさら緊張する。
事故を起こさないように全身全神経張り詰めて走っていると背筋にまで冷や汗が伝わり落ちてきそうだ。*(涙)*

もしとつぜんスピードを落としたり唐突に停車したりすればどうなるか容易にその結果を想像できる。
こういうトンネルを走るときはおかしな挙動や停車しただけで追突や衝突事故につながってしまう恐れがある。
そう考えただけでも恐ろしいことだ。

ちょうど10年ぐらい前だったかスイスアルプス縦貫トンネルで貨物トレーラートラックの事故による火災の大惨事が起きて十数人もの犠牲者が出たことがあった。
そうならないように必死で運転を続ける。運転席側の窓をいっぱい開けてそこから前方視界だけは何とか確保しながら。

そんなぎりぎりの運転をしばらく続ける。
すこしずつウインドウグラスの曇りが晴れてきてすこしは視界ができて何とか安全な運転ができるようになってくる。
バックミラーに映る後ろ側のウインドウグラスも熱線の効果でだいぶ見えるようになっている。

蒼くなったり冷や汗をかいたり窓を開け閉めしたり必死で奮闘しているうちにトンネルを走り抜けてしまった。
トンネルを抜けたところはそこもまだひどい雨降りだった。
しばらく走りつづけていると窓の曇りはすっかりきれいに消えてなくなってしまった。*(いっぷく)*

またしばらくして次のトンネルに入っていくとまったく同じ現象に見舞われる。

でもこんどは幾分落ち着いて一連の作業をこなしてその不思議な現象をしのいでいく。
そういうことを何度か繰り返しているうちにすこしだけわかったことがある。
雨降りのアウトバーンを走行中比較的長いトンネルに入ると必ず入り口付近で発生するということだった。

“トンネル曇り現象”とでも名づけようか。

いままで一度も経験したことがないおかしなことである。
しかしけしてばかにできないほどヤバイ現象でもある。
私の車だけにおきている現象なのかそれとも他の車にも同じように発生しているのかよくわからない。

おそらく雨降りの外を走ってきた車の車内の温度とトンネル内の湿気や空気の温度との微妙なバランスがそうした不思議な現象を起こさせるのだろうか。

それともなにかの暗示現象なのだろうかなどと想ったりもした。
そんなことを想いながらオーストリアを縦断するピュールン・アウトバーンA9を走り続ける。*(車)**(ダッシュ)*

スロベニアへ抜けるまでの約230kmの間に長短30ヶ所近くものトンネルを通過する。
一番短いものは130m足らずだが他方5kmから10kmにもなるじっとがまんの長~いトンネルも幾つかある。
オーストリアで2番目に長いプラブッシュトンネル(10086m)と3番目のグレンアルムトンネル(8320m)もこのA9上にある。

これだけたくさんの長短数多くの高速道路トンネルを掘ったり高架陸橋をかけてつないでいる高速道路である。
さぞ建設コストが高いに違いない。その割に通行料金はさほど高くはないと思った。いやそう思っていたのである。
実際リンツからグラーツ間で支払ったのはそれぞれ4.8ユーロと7.5ユーロだった。
走る距離の割にはあまり高くない。

しかし後でけして安くはないのを身をもって知らされることになる。*(すっぱい)*

今走っているA9ルートよりもっと西よりのミュンヘンからザルツブルク経由でオ-ストリア入りやはりスロベニアへ抜けるもう一本別のルートもある。
そのルートはタウエルンアウトバーンA10でトンネル走行中に国境をまたぐカラヴァンケントンネル(8019mで4番目に長い)を走り抜けてスロベニアへ入る。
国境検問所と料金徴収所はそれぞれトンネルを出たところにある。

ちなみにオーストリアで1番長いトンネルはスキー場で名高いインスブルックからスイスへ向かうA12ルートに立ちはだかるアルベルグ峠(標高1793m)の下を貫通するアールベルグトンネルで13972mの長さである。*(いっぷく)*

これらの主要幹線南北縦貫道路トンネルが開通したのはそんなに遠い昔ではなく1978年以降である。
それ以前冬の間の峠越えはとても大変だった。
とうぜん雪が降る冬の間峠ルートは通行止めになる。*(雪)**(進入禁止)*

今は真夏だからこんな峻険な山々が連なるオーストリア・スイスアルプス地方の景観は素晴らしいし穏やかである。
しかし日本の山岳地帯でもそうであるが冬の間は厳しい寒さで眩しい銀色の雪にすっかり覆われる。

そういえば古のむかしカルタゴの猛将ハンニバルが雪に覆われた真冬のアルプス峠をなんと象をひきつれて越えローマを襲撃した逸話がある。
当時のローマの人々を恐怖のどん底に陥れた。*(青ざめ)*
今の時代でさえそうであるがとても常識では考えられないほどの出来事だった。

峻険な山々が連なるアルプスの冬場でも雪の峠越えではないもうひとつ別の現実的な方法がある。

そんな雪深い峠まで行かなくても(行きたくても行けないのだが)標高が比較的低いところに敷設されている山間の鉄道の駅には車ごとそれから大型トレーラートラックごと列車に乗せて列車トンネルを走るカートレインなるものを利用して向こう側へ行く方法だ。
それを利用することで冬の間でもアルプスの北と南の行き来はできる。
私も以前何度か利用したことがある。
車に乗ったままでそのトレインにのせられて走るのはまた一風変わって風情があってよいものだ。
*(新幹線)**(グッド)**(車)*
お隣のスイスでは今は雪の為ではなく貨物トラックの排気ガスによる環境汚染防止のために大型貨物トレーラーは一年中このカートレイン利用が義務づけられている。


不思議な現象の繰り返しにも慣れて緊張がほぐれて来たらとたんにお腹が空いてきた。
きのうは家から持参したおにぎりがあったが、今日のお昼は途中どこかで停まって食べるしかない。

高速道路を降りて反対側車線沿いにあるサービスエリアで停まった。
ガソリンスタンドも広い駐車場もまたレストランの中も夏期休暇移動中らしきひとたちでひどく混雑している。
その駐車場は土砂ふりの雨でまるで流れるプールのようにてしまっている。
薄暗い煙った雨空から落ちてくる雨粒がじめんを覆った水面にたくさんの大きな水泡を泡立てては押し流している。*(雨)*

このサービスエリアはカルカルケン自然公園域内にあるのだと言うことを駐車場の出入り口にたてられている大きな分厚い木板の看板が掲げていた。
自然公園と謳うだけあってこの辺りの山峡は雨が上がったらさぞ美しい景観を見せてくれるのだろう。

こんな日ひるめしどきのガソリンスタンドの店内はお客で溢れ帰り同じ建物内につながるセルフサービスのレストランもしばらく待ったが開きテーブルがまったく見つからないほど混雑している。
仕方がないので少し肌寒いけど屋外のテーブルに座って食事をすることにした。ひさしがあるのでその一角のテーブルには雨がかからないからそうしてみた。

ブラッドヴァルストとゼンメル(まるパン)ひとつの手っ取り早いメニューと紅茶1杯を添えて食べているとすずめの親子が飛んできて来てえさをねだる。
なぜ親子かとわかったかというとその二羽のすずめの仕草からだ。
やや小さめのすずめはパン屑を投げてやってもけして自分ではついばまない。
いっしょにいる(たぶん)親のくちばしからしかえさをとらないのだ。
体だけは1羽なみに大きくなって自分で飛べるようになっても親からえさをもらうとはなんともほほえましくみえる反面, 人間世界の過保護三昧の親子関係を見せられているようで妙に気恥ずかしかった。*(シャイ)*

猥雑なレストランでの昼食を終えスロベニアのマリボーアへ向かって再びピュールン・アウトバーンA9に乗り南下し続けた。

行けども行けども雨また大雨にみまわれたオーストリア縦断である。
雨脚がいくぶん弱くなった午後4時過ぎシュタイアマルク州の州都であるグラーツを通り抜けやっと国境にたどり着いた。

ここもアウトバーンのルート上に設置された国境である。
スロベニアは2003年5月にEUに加盟しているのだが, この国境での出入国は今でもパスポートや税関のチェックがある。
なんと最初のオーストリア側の出国審査でまったく予期せぬ問題に直面することになってしまった。*(ジロ)**(注意)*

字が読めない

2007年11月17日 | 日記
久しぶりにふるい手垢のついて装帳が態を為していないぐらい使い込んだ英和辞典を引っ張り出してきてページをめくってみた。
まだ見える, だけどはっきりは読めない,何とか拾えるけど...。

正直に言えば小さな活字で読み取りにくいことこの上ない。
その辞書が悪いのではなくてわたしの目が悪くなっただけ。歳の所為です。*(怒り)*

息子が幼い頃買い与えたむしめがねを借りて辞書を引いている始末です。*(ニヤ)*

よもやこういうことになるとはつゆ知らずその頃は外に出てそのむしめがねで幼い息子に太陽光で紙焼き遊びをして見せてたんです。*(音符)**(チョキ)**(晴れ)*

本を読む手はもうほとんど伸びきってますね。あと何年もつのでしょうか?*(いっぷく)*

肉も魚も...

2007年11月12日 | 日記
先週初めから半ばにインドからお客さんが二人ありました。出張先のイタリアでのことです。*(飛行機)**(イタリア)*

はるばるやって来られたのでぜひ夕食をごいっしょにと火曜日の晩ミラノ中心街にある美味しいイタリア料理が食べられる人気のある某レストランへ行ったときのことでした。

お二人のうちの若いご婦人は菜食主義者=ベジタリアンだったのです。その時初めて判りました。

イタリア語のメニューにあるおしながきの羅列をさがしても肉(牛,豚,鳥)と魚が入ってない料理はごくごくわずかでした。
そのご婦人用にこれはと思われるメニューを選んでオーダーしたのですが...
残念ながらそれも肉が入っていました。
我々が新鮮で美味な魚料理を堪能している間そのご婦人はテーブルのパンと焼き野菜とパスタをほんの少しだけ口にしただけ。
ワインもダメでした。*(すっぱい)**(バツ)**(進入禁止)**(困る)*

自分達だけ腹いっぱいいただいてとっても申し訳ないような気分でした。
もうその時間では他のレストランへ行くにはおそ過ぎましたし, レストランにピザ(これは食べられるものがあります)は残念がならありませんでしたから。
*(怒り)*
深くは尋ねませんでしたが,おそらく信仰宗教の教義や信条それから健康志向等の理由でベジタリアンになっているようです。
インドではベジタリアンの人がとても多いようです。

もうひとつは別の方の話です。 日本出張へ同行したこちら欧州の方の話です。
二人いて一人はやはりベジタリアンでもう一人は魚はまったくダメで肉しか食べない主義の人たちでした。

想像できますか?
日本で彼らといっしょに食事をとるときの難しさと食いもの屋での悲喜劇のようなやりとりの繰り返しの毎日を...*(ジロ)*
*(!?)*

世の中は広くまたまことに多様です。*(地球)**(ニヤ)*