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日本の支配権力構造の特徴

2015-11-12 11:09:07 | 政治   
 日本の支配権力構造の特徴
 丸山真男が「無責任の体系」とよんだ日本の支配構造の特徴に、責任の所在があいまいで、実際にはどこにも核が存在していないことを上げたいた。この構造は政治的権力が、その行政行為に必要な法的手続きを作り上げて、それに基づいて政治を執行するというのではない。つねにより上位の概念や外国の模倣による法的体系や根拠を利用して、自らの行為を正当化し、合理化するという方法に由来している。これはアジア的な死区長でもある。同時に、日本的な感性の源泉として、無意識な日常性の中にも定着しているといえる。 例えば鎌倉幕府は、既存の大和朝廷以来の律令制王権を否定していないことにも、同様の構造を見て取ることができる。源頼朝が守護や地頭を、自らの御家人を使って派遣している。そもそも守護は家人武士の統制にあたる役職である。地頭は守護の下で荘園や公領実質の支配権を掌握していた。当然、鎌倉幕府の権力を全国的に浸透させていく任務を追っていた。ただし、この場合でも、頼朝は律令体制の監視と執行という名目を取り付けながら、守護・地頭を派遣している。つまり律令制国家体制の法的根拠を奪い、幕府権力に切り替えてしまう方式を取っている。当然これでは朝廷と公家の実質的管理下にあった寺領などでは、律令王権からの抵抗があり、幕府は様々な譲歩と妥協をしつつ政策的気に後退してしまっていた。
 この二重権力方式は以後の鎌倉幕府の性格を決定し、中世の我が国の法的権力と実質的権力の複雑さを、このときに植え付けてしまったといえる。律令制国家の法体系と、関東武家勢力の幕府法の、双頭の二重権力構造そのものが、日本の政治制度の構造の特異さとして複雑さの原因の種をまいてしまった。
天皇制と実質的政治権力の法体系は、現在の日本国憲法にも、その残滓として保存されている。