電脳くおりあ

Anyone can say anything about anything...by Tim Berners-Lee

長唄『楊貴妃』を観て

2005-02-12 16:08:24 | 文芸・TV・映画
 日本舞踊協会設立50周年記念・第48回日本舞踊協会公演が2月11日から13日まで国立劇場大劇場で催されている。私は、妻と二人で初日の第1部を見に行った。地下鉄有楽町線の永田町駅から向かうと国立劇場は最高裁判所の裏に当たる。右翼の宣伝カーが走っていたりしてこのあたりは騒然としていたが、国立劇場の中はまるで別世界の時間が流れているような感じだった。それぞれお目当ての流派があり、自分の知り合いの公演や見たい公演を選び、思い思いに時間を過ごしている。中年以上のそれも和服姿の女性が圧倒的に多い。そんな中で、私は、他の公演をさらりと見て、お目当ての『楊貴妃』をじっくり見た。約24分くらいの舞踊である。
 長唄『楊貴妃』は、五條流の五條雅之助さんの玄宗皇帝、林千枝さんの楊貴妃で華麗な舞踊となっていた。長唄の歌詞のほうが、今ひとつよく聞こえなかった。創作舞踊としての『楊貴妃』は、板東玉三郎のために夢枕漠さんが書き下ろした『楊貴妃』が有名であるが、白楽天の『長恨歌』や能楽の『楊貴妃』で有名なので、話の展開は何となく分かる。五條さんには毎年、1、2回会う。だいたい公演の前後の楽屋であうことが多い。相変わらず元気で新しいことに挑戦していて頼もしい。妻も子育てが終わったら、また、お世話になるかもしれないと言っていた。

 会社の方は、2月4日に人事異動の発表があり、前日まで引き継ぎ等で忙しく、夜の帰りも遅くなっていた。久しぶりの休日で、仕事のことを忘れて、のんびりできた。国立劇場大劇場は1階から3階まであり、それぞれのホールに休憩場などがあり、公演を見たり、休憩場でゆったりしたり、久しぶりにお会いした人と懐かしい話をしたりと、のどかの1日になった。

 演題には、清元、長唄、常磐津、義太夫、大和楽、一中節、地唄、荻江など、能・狂言、浄瑠璃、歌舞伎などから分かれたいろいろな流派の舞踊が並んでいた。この『楊貴妃』は創作舞踊と呼ばれているもので、比較的新しい試みがなされている。玉三郎の『楊貴妃』では、扇の使い方がとても大きな役目を持っていたが、こちらの『楊貴妃』では、「ひれ」(そういうのかどうか私にはよく分からないが、長い美しい布)が上手く使われていた。そう、天女の羽衣のような役割を果たしていたと思う。それが、楊貴妃から玄宗皇帝に渡され、また楊貴妃に戻され、やがて楊貴妃は黄泉の国に帰っていく。年に1回か2回くらいは、こうしたものを見ながらゆったりとした1日を過ごすのも悪くない。
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