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少欲知足をモットーに日々の満足を追求していくブログ

旅の記録16 カンボジア プノンペン→シェムリアップ

2005年07月11日 | 海外(パッカー篇)
                     ◆写真:天空のアンコールワット◆

 シェムリアップのネットカフェは1時間1ドルと高いが、速度は最悪だ。書いたものが消えたり、保存ができなかったりともどかしい。至福の日々の感想はじっくり書きたいが、時間がないので後日にまわします。

 3日間の遺跡巡りを終え、今日は「アキラミュージアム」(地雷博物館)に行ってきた。アキー・ラー氏(通称アキラ)は子供の頃クメール・ルージュに両親を殺され、自身はクメール・ルージュの兵士として教育を受け、その後ベトナム軍・カンボジア軍を渡り歩き、数々の地獄を見てきた人だが、現在は自らも埋めた地雷の除去を政府の援助無しに行っているクメール人だ。無料のミュージアムにはアキラ氏が撤去してきた数々の地雷・武器が展示してあるが、ミュージアムにはその地雷によって被害を受けた子供たちが暮らしている。手足が無くなった彼らではあるが、人懐っこく、生き生きとした彼らの様子に目頭が熱くなったが、戦争の被害の現実を改めて見せ付けられた。


 かつて地雷の危険地帯で誰ひとり住んでいなかったミュージアム周辺は、今では村や学校が立ち並び、アンコールワットというアジア最大の遺跡を生かし、町の発展が著しい。不在のアキラ氏は今日もどこか遠方の地で地雷の撤去を行っているのだろうか?ラオス同様の素敵な笑顔と挨拶をくれるクメールの子供たちの未来が明るく平和なものであってほしいと月並みではあるが切に祈る。


7月5日【ホーチミン→プノンペン 晴れのち雨】
 具合悪いまま、7時半のプノンペン行きバスに乗る。隣に座ったのはギターバンドグループのリーダーらしき人。身長185cm以上ある巨漢・・・またもや窮屈な座席。しかも後ろの席ではギター演奏と女性たちのおしゃべり&歌声が延々続き、疲労の色は濃くなるばかり(苦笑)

 国境の町モクバイでシンカフェのバスを降り、イミグレで出国手続きを済ませ、6カ国目のカンボジアへ入国。ベトナムのシンカフェとカンボジアのキャピトルツアーの旅行会社が提携しており、キャピトルバスに乗り込む。予想に反し、冷房がガンガンに効いているではないか!しかもスイッチが壊れていて調節ができない・・・。ふるえながら窓の景色で寒さを紛らわす。

 国境付近は民家はほとんど無く、椰子の木に似たひょろひょろの木々が細々と立つだけのサバンナ地帯だ。どこまでも続く地平線は空を広く大きく見せ、遠くのほうで雨が降っている様子が肉眼で確認できるのが面白い。まるで空の上からジョウロで水撒きしているようだ。そのうち民家がポツポツ見え出すが、どれも高床式の簡素な家だ。広大な田んぼでは農耕牛や水牛たちがのんびりと草を食んでいた。

 休憩で寄ったレストランでベトナムで買ったフランスパンサンドをほおばっているとファラン女性がギャァギャァわめきだした。何事か?と見やると、店先で売っている3つの佃煮を見て悲鳴を上げたことが判明。山盛りにもられた佃煮は、左から、蜘蛛・巨大バッタ・スズメ蜂・・・。蜘蛛なんか体長7cmもあるぞ。何だよこのでかさ・・・。どうやって捕まえるのか?いや、養殖か? ひきつりながらデジカメで撮影していると横に居たクメール男性が蜘蛛と蜂を味見。足を持ち、胴体をムシャリとかぶりつく。ウェェ・・・さぞかし不味かろうと顔を見ると、フムフムと風味を楽しんでいるではないか。両方とも買い求めた彼を奇特に見ていると、佃煮売りのおばちゃんが「食ってみるか?」と蜘蛛を笑顔で差し出す。こればかりは勘弁、勘弁。

◆写真:佃煮3種◆…左から蜘蛛、バッタ、スズメ蜂・・・。

 夕方4時頃プノンペン着。ここからは先に書いた通り、悲惨な夜を過ごした。

朝食 フォー・ボー★★★15000D
昼食 フランスパンサンド★★6000D
夕食 なし

7月6日【プノンペン 晴れ時々雨】
 昨夜の悪夢のドラの音が、朝6時から再びはじまった。窓ガラスのない部屋にはドラの音が凶器となって襲いかかる。音の正体を確かめてやろうと起き上がろうとしたが、力が入らず。11時頃、のそのそと起きだし、通りにあった「ツウチャン食堂」という日本食レストランに入り野菜炒め定食を注文。体調悪いときはやはり日本食が一番。味噌汁が付いている!弱った身体に味噌の風味はやさしく溶け込んでいく。あぁ・・・生き返る。

 体調はあまり良くないが、市内散策含めてトゥールスレーン刑務所博物館へ向かう。気温は思ったほど高くなく30度前後か。プノンペンの町は南北に流れるトンレサップ川の西側に広がり、区画整理された道路なので分かりやすく、通りに名前(番号)が書いてあるので助かる。カブはベトナムほど走っておらず、意外と車が多い。(ほとんど日本車。トヨタカムリが目立つ) バイタクの勧誘はしつこくなく、人差し指をピンと立てて「モトバイ?」とアピールするのがユニークだ。首を横に振ればすんなりあきらめていく。大通りを外れると未舗装の道が割と多いが、路地裏に広がる青空市場では新鮮な肉や川魚、野菜が並び、人々で賑わっていた。

 ポル・ポト派が1975年から1979年にかけて残虐行為を行った象徴とされるトゥールスレーン刑務所博物館は住宅街の中にひっそりとたたずむ。昔は高校の校舎だったらしい。教室だった部屋の中には鉄製のベッドと拘束具がポツンと置いてあり、チェックの床はベッド下が汚れていた。左側の壁に掛けられたパネル写真には30年前のこの場所が写してあった。ベッドに放置された遺体の写真・・・。手足を縛られたボロ雑巾のような遺体。床にはおびただしい血痕。同様の部屋がいくつも続く。教室内に足を踏み入れるのも躊躇してしまうその空間には、手を合わさずにはいられない。

 別の棟にはポル・ポト派が撮影した処刑者の顔写真が板一面に何百枚も貼られてある。成人男女、老人、子供、赤ちゃんを抱えたお母さんまで・・・。無表情な目、無念そうな目、泣きはらした目、殴られて片方がふさがった何百もの目が、こちらに無念さを伝えてくるようで心が詰まる。その写真に混じって処刑された人の残虐な写真、掘り返された人骨の写真(無数に積み上げられた頭蓋骨の有り得ない光景は、まるで畑から掘りおこした野菜に見えるほど!)など、目を覆いたくなるものが続く。
なんとも嫌な汗が流れ、見終えたあとはしばらく放心状態になってしまった。


朝食 野菜炒め定食★(ツウチャン食堂)1.6ドル
昼食 肉野菜炒め定食★5000リエル ※1ドル=4000リエル
夕食 カレー★★★(ツウチャン食堂)1.6ドル


7月7日【プノンペン 曇りのち雨】
 プノンペン二日目。体長は徐々に戻りつつあるが気分は滅入っており、有名なキリングフィールド(処刑場)への見学は見送り、王宮とシルバーパゴダへ向かう。途中、路地屋台でカンボジアの焼きうどん、「ロート・チャー」を食べた。短いうどんだが、味は焼きうどんそのもの。牛肉・キャベツ・青菜・もやしなどが入りアツアツを美味しく戴く。
「チガンニ・ナッ! オークン」(美味しかった、ありがとね)
どの国でも現地語で話しかければ満面の笑みが返ってくる。このやり取りがとても楽しいのだ。

 王宮とシルバーパゴダは両方とも20世紀に再建された建物ゆえ、破損が少なく、見事な彫刻が贅沢に並ぶ。目を惹くのがナーガという7つの顔を持つ蛇神。欄干のほとんどがナーガの彫刻。蛇の持つイメージから邪神を想像してしまうが、「不死のシンボル」として崇拝されているらしい。町のいたる所でもよく目にする。この他、屋根を支える部分にはガルーダ(ヴィシュヌ神の乗り物となる人間の体を持つ怪鳥。)がズラリと並ぶ。即位殿の中の美麗な天井画は躍動感あるヒンドゥーの神々を描いている。ゲーム世代の人間にとってヒンドゥー教の神々は(モンスターとして描かれることが多い為)意外と馴染み深く、見ていてかなり楽しい。贅沢で新しい建造物は見ていて楽しかったが、午前中は11時に閉門となるため、1時間ほどしか見ることができず、外にほおりだされてしまった。11時から2時半までが昼休みというから、うらやましい限りだ。確かに昼時はゆっくり休んでいる人たちが多い。シクロやバイタクの運ちゃんたちも木陰で昼寝をしている程だ。

◆写真:屋根を支えるガルーダ◆

 王宮からセントラルマーケットへ向かう途中、デパートを発見。物価調査を含めてカンボジアのデパート見学だ。店内の照明はかなりセーブしてあるため、薄暗いが、冷房はしっかり効いている。5~6階にはフードコートが入り、ピザ屋、ハンバーガショップまである。ここで代表的なクメール料理「海鮮鍋」を食べたのだが、具の大半がはじめて食べるものばかりなので恐る恐る口に運んだ。不思議な歯ごたえの肉、白子のような白身、出汁はとれているようだが、風邪でボケた舌には判断がつかない不思議な鍋だった。

朝食 ロート・チャー(焼きうどん)★★★1700リエル
昼食 海鮮鍋(というよりヤミ鍋に近い)★5000リエル
夕食 トンカツ定食(ツウチャン食堂)★★★2.2ドル


以下、時間がないので概要を。日記は後日。


7月8日【プノンペン→シェムリアップ 曇りのち雨】
 シェムリアップのオールドマーケット散策。明日からの予定を宿の兄ちゃん(日本語達者)と打ち合わせ。

朝食 屋台ラーメン(現地名は不明)★1500リエル
昼食 なし
夕食 カンボジアンフライドライス★コー・トンペアン・ポーン・ティア★★★(筍とゆで卵と豚角の煮物)2.5ドル


7月9日【シェムリアップ 晴れ時々雨】
①アンコールワットでサンライズ見学(4時半起床、バイクで)
②アンコールトムへ。まずはバイヨンでクメールの微笑みを堪能。
③王宮跡(象のテラス、ライ王のテラスなど)
④再びアンコールワットに戻り、夕暮れまで見学。

朝食 フランスパン、スクランブルエッグ★2ドル
昼食 なし
夕食 西紅柿炒蛋★★紅焼茄子★★★古老肉(酢豚)★★4ドル


7月10日【シェムリアップ 晴れ時々曇り】
①シェムリアップの町から80kmも離れたベンメリア遺跡へ。時速75kmでかっ飛ばすバイク。頬をきる風が気持ちいい。荒廃したままの神秘的なベンメリアは瓦礫の中を踏み分け迷路のようだった。
②彫刻の損傷が少ない、赤茶色のバンテアイ・スレイへ。
③「地雷を踏んだらサヨウナラ」で知られるカメラマン故一之瀬泰造の墓へ寄り、線香をあげる。
④喜び組のショーで有名な北朝鮮レストラン「ピョンヤンレンミョン」へ行き、隣の部屋のヨシさんとピリ辛鍋を舌鼓。思いのほか気さくな彼女たちと最後は一緒に記念撮影(笑)

◆写真:踊る喜び組◆・・・彼女たちはとっても気さく。記念写真にも快く応じてくれた

朝食 なし
昼食 ムアン・チーエン(鶏肉の素揚げとフライドポテト)★2ドル
夕食 魚のピリ辛鍋(ピョンヤンレンミョン)★★★★5ドル


7月11日【シェムリアップ 晴れ】
①朝4時起床。バイタクつかまえ、ヨシさんとサンライズを見に行く。プノン・バケンに登り朝陽を待ったが雲が出て見えず。降りてアンコールワット前にさしかかると、見事なサンライズが!堀の水に反射した空と遺跡はまるで空中城!幻想的なサンライズに大興奮。
②昼間、チャリンコこいで再びアンコールへ。アンコールトムの南大門、勝利の門をくぐり、木々と同化した遺跡、タ・プロームへ。自然の驚異と融合した遺跡に身震いする。
③サンライズを狙って遺跡周辺を走るが、残念。

朝食 オムライス★★★1ドル
昼食 なし
夕食 トンカツ定食★2.5ドル

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