フライトシミュレーターの世界

経済アナリスト藤原直哉の、趣味のフライトシミュレーターのページです。主にX-Plane、PSXを飛ばしています。

X-Plane11でLPVアプローチが飛べるようになりました。

2017-01-02 22:14:54 | 日記

以前のブログでLPVアプローチについて紹介したことがあります。

LPVアプローチというのは米国で急速に普及している非精密進入方式で、非精密進入でありながら精密進入のILSアプローチ並みかそれ以下の決心高度を持っている優れた進入方式です。

このサイトには全米の州別のILSおよびLPVアプローチのリストがあります。

各アプローチのチャートはこちらのサイトからダウンロードできます。空港名で検索します。

そしてLPVアプローチはGPS衛星からの電波と、それを補強する信号を出している衛星からの電波の2つの電波を使って飛ぶのでたいへん高精度に現在位置の測定ができ、ILSのような地上装置が不要で、空港のインフラが整っていない所でも精密進入並みのアプローチができます。さらに中型や大型の旅客機で使っているRNPアプローチも高精度なGPSの信号を使っていますが、これを飛ぶには特別な認証が必要です。ところがLPVアプローチはジェネラルアビエーションで普通のパイロットが普通の飛行機で飛ぶことができます。

ただしGPSの信号を補強する電波が受信できない時には通常のLNAV/RNAVアプローチあるいはLNAVに高度計を組み合わせたLNAV+Vアプローチになります。

下の写真が米国連邦航空局(FAA)が出しているチャートの例です。ミシガン州フリントのビショップ国際空港(KFNT)のRNAV(GPS)09アプローチです。大平原の真ん中にある空港です。

チャートの左上にGPSを補強する電波のチャンネルが書いてあります。これが受信できていることを機上の装置で確かめます。ただし、X-Plane11ではそこまでの機能はありません。正しく受信できているものとします。

チャートの下のほうに決心高度(DA)が並んでいます。一番上にLPVがあって971フィートで最も高度が低く、LNAV+Vと290フィートも違います。そこで今日は実際にこのアプローチをX-Plane11のデフォルトのBarron58双発レシプロ機で飛んでみます。

 

なお、NAVIGRAPHのチャートには同じアプローチでもLPVは出ていません。LNAV/VNAVとLNAV+Vだけです。中型機、大型機ではLPVは使われないようです。

まずミシガン州ビショップ国際空港(KFNT)のRWY09の10マイル手前からBarron58を読み込みます。読み込んだらすぐにポーズ(一時停止)してシミュレーションを止めてLPVアプローチの機上のセットを行います。X-Plane11のBarron58にはGNS530が搭載されています。基本的な使い方は以前紹介したGNS430と同じです。

今回はKFNTのアプローチからRNAV09を選んで読み込み、アクティベイト(Activate)します。ただし、10マイル手前だと最初のポイントAJDIFをすぐに行き過ぎてしまいますので、Directボタンを押してその次のポイントEHEMIに直行するようにします。下の写真がその画面です。

CDIボタンを押してGPSにするのを忘れないでください。その上にLPVと出ています!

オートパイロットはFD、ALT、APPR、AP、YDを押してあります。すなわちヨーダンパーをオンにし、フライトディレクターをオンにし、降下が始まるまで現在高度を保ちながらアプローチモードをオンという設定です。正面のPFDの下、HSIの左右にはグライドスロープに相当するパスを示す黄色い三角の針が下りてきています。

先ほどのチャートを詳しく見るとコースの進路は94度。初期進入開始地点がAJDIFで、空港から275度、11.6マイル、2400フィートから降下開始。最終進入開始地点がEHEMIです。ただ、10マイル手前で機を読み込むと高度はそれより高いので、より手前から降下していくことになります。

さらにチャートを見るとEHEMIで2400フィートです。ここは滑走路端から4.9マイルです。

なお、X-Plane11でも特定の気象状況を設定することができます。IFRのカテゴリー3の設定もできますし、低い雲の設定もできます。ただし、Real Weather Connectorをインストールしているときにここで天気を独自に設定する時は、Real Weather Connectorの気象をX-Planeに反映しないという設定に変えておく必要があります。プラグインのなかのSkyMaxxProのメニューにReal Weather Connectorのページがありますから、そこで設定します。

降下が始まりました。2800フィート。EHEMIまで1.6マイル、滑走路からは8.1マイルです。

そしてEHIMIです。滑走路まで4.9マイル、高度2400フィート、ピッタリです。

先日紹介した無償プラグインのFrequency Helperを起動してみます。すると雲のなかに緑色の四角が出てきます。これに沿って降下しています。

夜間にしてみました。すると薄い霧の先に進入灯が見えました。高度1500フィート。

ところがさらに降りていくと再び霧が濃くなって進入灯が見えなくなってしまいました。

ゴーアラウンド!

パワーを上げて機首を引き起こし、フラップを一段上げ、上昇を確認してギアアップ。先ほどのアプローチにゴーアラウンドのコースも入っていますからオートパイロットのNAVで飛びます。

ゴーアラウンドの最初のポイント、JUGUBへ直行します。

ゴーアラウンドの時はパワーをマックスにします。そのため、シリンダーヘッドの温度が急激に上がります。

カウルフラップを開けてシリンダーヘッドの温度が上がり過ぎないように気をつけます。

さて、もうすぐKATTYで旋回です。アプローチにはHoldingとあるので自動的に待機パターンに入ってくれるのかと見守っていましたら、こんな表示が出ました。

異常終了でした!

気を取り直して改めてアプローチを飛んでみます。

CAT3の気象状態でこれが高度1320フィートほど。サークリングアプローチの限界がこれぐらいです。わずかに滑走路と進入灯が見えます。しかし滑走路から離れたらすぐ見えなくなるでしょう。

そしてLPVアプローチの決心高度971フィートまで降りるとこれぐらい見えます。これなら着陸できます。視程は1.5マイルに設定しましたがそれぐらいでしょうか。

そのまま着陸しました。滑走路上はこんな感じです。

タッチダウンしたところもよく見えません。

ということで、LPVアプローチはちゃんと動きます。近年はジェネラルアビエーションの飛行機の航法装置がどんどんグレードアップしています。

ぜひLPVアプローチを楽しんでみてください。

(おわり)

 


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1 コメント

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ForeFlightとGNS430 (Yoshi)
2017-02-24 21:32:29
こんにちは。いつも参考にさせていただいております。
年に数回程度ですが、南カリフォルニアで小型機飛行を行っていて、IFRの習熟にフライトシュミレータを使い始めたXPlane初心者です。最近の米国のゼネラルアビエーションでは、iPadのソフトウェアForeFlightが必須アイテムで、操縦ヨークにアプローチプレート・ホルダーの代わりにiPad付けてチャートやアプローチ図上の自機のGPS位置を確認しております。天候やNOTAM,空港情報など、ほぼ全ての飛行情報と連携している大変便利なソフトですが、X-PlaneともWi-Fi経由で連動して、シュミレータのヨークも取り付けて実機と同様に使用出来ます。米国のバックグラウンドの深さには感心させられます。小生では上手くお伝えできないので、興味のある方々に向けて、本欄で詳しく紹介いただければ幸いです。
あと、GARMINのGPS装置S430も、小型機飛行には不可欠で、IFR飛行中にこれの操作を円滑に行えるのが重要となっています。シュミレータのマウス操作で歯がゆい思いをしていたのですが、XPlane用のGNS430パネルを見つけて入手しました。
Desktop Aviator社のModel 2670です。該社のHPで製品情報が確認できます。液晶表示はありませんが、実機と同様のダイヤルノブとボタンでスムーズな設定ができます。入手はあくまで自己責任となりますが、小生と同じような不便さを感じている方には朗報かと思い、こちらも情報提供申し上げる次第です。
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