今日は先日紹介したFS Global Real Weather(FSGRW)とX-Plane10.42、そしてPFPXの気象データの一貫性を見るためにX-Planeの有償のB767-300ERで米国のニューヨークからアイオア州のアイオアシティーまで飛び、さらに雨や雲をSkyMaxxProを使って表現してみました。
結論から言って、かなり精度の高いデータの一貫性です。PFPXが持つ独自のサーバーからダウンロードしたデータで飛行計画を作成し、FSGRWからX-plane10.42にデータを渡しながら飛ぶと、飛行計画とほとんど変わらない風のデータが出てきて、飛行時間も燃料消費量もほぼピッタリです。
PFPXにはB767-300ERのテンプレートがありますが、エンジンがX-Planeはロールスロイス製なのに対してPFPXはGE製です。これは直すことができませんからGE製のエンジンの性能で計算します。しかしZFWやGWはPFPXの機体データを直すことができるので、B767-300ERのソフトに付属しているFCOMにある数字に上書きします。
しかし今日はちょっと天気が悪いのです。航路はニューヨークからカリフォルニアのオークランドまで。本当はオークランドまで飛びたかったのですが、ひとつアドオンシナリーにX-Planeを強制終了させてしまうものがあって(バンクーバーシナリオ)、アイオアシティーの先で強制終了してしまいました。このシナリーはシナリーそのものはきれいなのですが、X-Planeでは常に裏側でタクシーの経路などATCのエンジンが動いていて、このATCのエンジンが、このシナリーのバンクーバー空港(CYVR)とバンクーバー海上空港(CAM9)でエラーを察知して異常終了してしまうのです。もしこのシナリーを入れている方がおられたら注意してください。
それはともかく、米国の航空気象についてはSkyVector上にリアルタイムで表示する機能があります。まずVFRでは離陸できないほど天気が悪いエリアがこれだけ広がっています。
しかも風が強く、山岳波の影響が出るエリアがこれだけあります。強い西風がロッキー山脈とアパラチア山脈に当たって、その東側で山岳波ができます。
低気圧の影響で特に東海岸は強い雨が降っており、さらに氷結の可能性がある区域がこれだけ広がっています。
そして低気圧の影響でタービュランスが出るエリアもこれだけ広がっています。
これが風向と風速です。今日飛ぶ航路では最初に西南西の風、やがて西風から北西の風に変わっていきます。とくにアイオアあたりまでは大変強い西風が吹いています。
気象レーダーの映像です。東海岸、アパラチア山脈の東側に強い雨雲が屏風のように立ち並んでいます。
気象衛星の映像を見ても東海岸は大荒れで、それ以外の今日飛ぶ航路上もほぼ雲に覆われています。
それから雲の表現ですが、FSXもそうですが、デフォルトの雲ではいまひとつ見栄えが悪いのです。X-PlaneにはSkyMaxxProという気象の描画ソフトがあります。非常に細かくリアルに気象状況を画像にすることができます。たとえば今日のようにほぼ全面、厚い層雲で覆われているようなときはこのような表示になります。
あるいは積雲のような層雲にすることもできます。
しかし当然のことながらこれだと地上は何も見えません。そこで雲を積雲にして少し間を開けて並べます。するとこうなります。これだとちょっと下が見えます。さらに積雲は描画にコンピュータの資源を多く使うので、表示できる距離をあまり長くしません。そのため、飛行機の周りだけ雲があって、遠くはよく見えていたりします。
しかしもちろん、この積雲を見渡す限り並べることもできます。ただし、こうすると負荷がかかり過ぎてほとんど画面が動かなくなります。
逆に積雲の間隔を大きくあけ、飛行機のすぐ近くにだけ雲を並べるととこんな感じです。
今日みたいな日に最もリアルにしたいなら最初のように層雲にすればよいですが、下も見たいということであれば、積雲をまばらに並べるとよいでしょう。
実際に飛行計画と飛行中に書き込んだ風、気温、飛行時間のメモを見てみます。PFPXで作った飛行計画です。ZFWは制限いっぱい。飛行予定時間5時間46分、搭載燃料は79.770キロポンドです。
赤字が実際に飛びながら記入した数字です。世界標準時12時43分に離陸しています。風向風速、気温(SAT)、残燃料、到着予定時刻、到着時刻が書いてあります。これを見ると風向は計画とほぼ同じ、風速は実際のほうがやや弱いですが、この程度は計画と実際の差です。気温については計画と実際の差が結構ありました。<>で示しているところ、左側が実際、右側が計画です。気温が高いと速度がでません。逆に気温が計画より低くなればより速度を出せます。それから燃料消費量ですが、これが計画と実際がよく合っていて、これなら十分現実的な飛行計画と燃料搭載量を計算できます。そして累積飛行時間では長距離を飛べば計画と実績で大きな差が出ることがありますが、1区間ごとの飛行時間はほぼ計画どおりであり、1区間ごとの到着予定時刻と到着時刻の差はほとんどありません。こういうのを見ていると、洋上飛行では次の位置通報点で3分以上予定時刻より変動する時は必ず無線で管制に連絡しなければなりませんが、3分ずれるというのは相当大きなずれだということです。これならFSGRWとPFPX、X-Planeを連携させて十分使いこなせます。
それからひとつ裏技ですが、長距離飛行の時にはX-Planeで倍速、4倍速、あるいはそれ以上の早回しにすることがあります。ただ、いくら早回しを設定しても画面に細かな計器や景色が出ているとあまり速くなりません。その時は下の写真のように視点を外の景色にして画面一面に空を出します。何の雲もない上の空。これが一番速いです。3倍速や4倍速も平気で出ます。でもこれだと次のポイントがわからなくなりますから、下の写真のようにCDUだけこうやって表示させておきます。こうするといまどこを飛んでいるかがわかります。
さらに当然のことですが、X-Planeの画面の表現をあまりに細かくし過ぎると長時間飛行ではフリーズしやすくなります。下は最も細かい設定にした場合ですが、上空からの景色や操縦室の計器、パネルはmediumの設定でも十分です。
たとえばこれは積雲系の雲を上空に抜けるところです。層雲のかわりに積雲を表示させているときもこんな感じになります。
操縦席から見た景色です。
高い雲の間を飛ぶとこのようになります。積乱雲は特別な表示がありません。普通の積雲のように表現されます。ただし雷鳴と稲妻は表現されます。
B767-300ERではティルト機能がついたレーダーが使えます。たとえばこんな映像が見られます。これは上昇中で、電波の強度はAUTOで上向き3単位のビーム。正面にたいへん強烈な雨雲があります。
激しい雨はこんな感じです。雪と雨の区別は表現上はないようですが、0度以下であれば防氷装置を入れておかないと氷結してしまいます。
朝の雨のなかの離陸です。ワイパーは走り出すと特に動かさなくても視界はきれいです。
雨が降る早朝のケネディー空港です。雨の滑走路を走ると水しぶきが上がります。
雨の中を止まっていると画面にこのように水滴がつきます。ワイパーを動かすと消えますが、この程度ならワイパーを使わなくてもよく見えます。
これは夜間の空港です。
こんな感じでX-Planeと気象の連携もかなり本格的になってきました。
(おわり)