フライトシミュレーターの世界

経済アナリスト藤原直哉の、趣味のフライトシミュレーターのページです。主にX-Plane、PSXを飛ばしています。

X-Plane10で気象を表現する

2015-12-31 22:04:45 | 日記

今日は先日紹介したFS Global Real Weather(FSGRW)X-Plane10.42、そしてPFPXの気象データの一貫性を見るためにX-Planeの有償のB767-300ERで米国のニューヨークからアイオア州のアイオアシティーまで飛び、さらに雨や雲をSkyMaxxProを使って表現してみました。

結論から言って、かなり精度の高いデータの一貫性です。PFPXが持つ独自のサーバーからダウンロードしたデータで飛行計画を作成し、FSGRWからX-plane10.42にデータを渡しながら飛ぶと、飛行計画とほとんど変わらない風のデータが出てきて、飛行時間も燃料消費量もほぼピッタリです。

PFPXにはB767-300ERのテンプレートがありますが、エンジンがX-Planeはロールスロイス製なのに対してPFPXはGE製です。これは直すことができませんからGE製のエンジンの性能で計算します。しかしZFWやGWはPFPXの機体データを直すことができるので、B767-300ERのソフトに付属しているFCOMにある数字に上書きします。

しかし今日はちょっと天気が悪いのです。航路はニューヨークからカリフォルニアのオークランドまで。本当はオークランドまで飛びたかったのですが、ひとつアドオンシナリーにX-Planeを強制終了させてしまうものがあって(バンクーバーシナリオ)、アイオアシティーの先で強制終了してしまいました。このシナリーはシナリーそのものはきれいなのですが、X-Planeでは常に裏側でタクシーの経路などATCのエンジンが動いていて、このATCのエンジンが、このシナリーのバンクーバー空港(CYVR)とバンクーバー海上空港(CAM9)でエラーを察知して異常終了してしまうのです。もしこのシナリーを入れている方がおられたら注意してください。

それはともかく、米国の航空気象についてはSkyVector上にリアルタイムで表示する機能があります。まずVFRでは離陸できないほど天気が悪いエリアがこれだけ広がっています。

しかも風が強く、山岳波の影響が出るエリアがこれだけあります。強い西風がロッキー山脈とアパラチア山脈に当たって、その東側で山岳波ができます。

低気圧の影響で特に東海岸は強い雨が降っており、さらに氷結の可能性がある区域がこれだけ広がっています。

そして低気圧の影響でタービュランスが出るエリアもこれだけ広がっています。

これが風向と風速です。今日飛ぶ航路では最初に西南西の風、やがて西風から北西の風に変わっていきます。とくにアイオアあたりまでは大変強い西風が吹いています。

気象レーダーの映像です。東海岸、アパラチア山脈の東側に強い雨雲が屏風のように立ち並んでいます。

気象衛星の映像を見ても東海岸は大荒れで、それ以外の今日飛ぶ航路上もほぼ雲に覆われています。

それから雲の表現ですが、FSXもそうですが、デフォルトの雲ではいまひとつ見栄えが悪いのです。X-PlaneにはSkyMaxxProという気象の描画ソフトがあります。非常に細かくリアルに気象状況を画像にすることができます。たとえば今日のようにほぼ全面、厚い層雲で覆われているようなときはこのような表示になります。

あるいは積雲のような層雲にすることもできます。

しかし当然のことながらこれだと地上は何も見えません。そこで雲を積雲にして少し間を開けて並べます。するとこうなります。これだとちょっと下が見えます。さらに積雲は描画にコンピュータの資源を多く使うので、表示できる距離をあまり長くしません。そのため、飛行機の周りだけ雲があって、遠くはよく見えていたりします。

しかしもちろん、この積雲を見渡す限り並べることもできます。ただし、こうすると負荷がかかり過ぎてほとんど画面が動かなくなります。

逆に積雲の間隔を大きくあけ、飛行機のすぐ近くにだけ雲を並べるととこんな感じです。

今日みたいな日に最もリアルにしたいなら最初のように層雲にすればよいですが、下も見たいということであれば、積雲をまばらに並べるとよいでしょう。

実際に飛行計画と飛行中に書き込んだ風、気温、飛行時間のメモを見てみます。PFPXで作った飛行計画です。ZFWは制限いっぱい。飛行予定時間5時間46分、搭載燃料は79.770キロポンドです。

赤字が実際に飛びながら記入した数字です。世界標準時12時43分に離陸しています。風向風速、気温(SAT)、残燃料、到着予定時刻、到着時刻が書いてあります。これを見ると風向は計画とほぼ同じ、風速は実際のほうがやや弱いですが、この程度は計画と実際の差です。気温については計画と実際の差が結構ありました。<>で示しているところ、左側が実際、右側が計画です。気温が高いと速度がでません。逆に気温が計画より低くなればより速度を出せます。それから燃料消費量ですが、これが計画と実際がよく合っていて、これなら十分現実的な飛行計画と燃料搭載量を計算できます。そして累積飛行時間では長距離を飛べば計画と実績で大きな差が出ることがありますが、1区間ごとの飛行時間はほぼ計画どおりであり、1区間ごとの到着予定時刻と到着時刻の差はほとんどありません。こういうのを見ていると、洋上飛行では次の位置通報点で3分以上予定時刻より変動する時は必ず無線で管制に連絡しなければなりませんが、3分ずれるというのは相当大きなずれだということです。これならFSGRWとPFPX、X-Planeを連携させて十分使いこなせます。

それからひとつ裏技ですが、長距離飛行の時にはX-Planeで倍速、4倍速、あるいはそれ以上の早回しにすることがあります。ただ、いくら早回しを設定しても画面に細かな計器や景色が出ているとあまり速くなりません。その時は下の写真のように視点を外の景色にして画面一面に空を出します。何の雲もない上の空。これが一番速いです。3倍速や4倍速も平気で出ます。でもこれだと次のポイントがわからなくなりますから、下の写真のようにCDUだけこうやって表示させておきます。こうするといまどこを飛んでいるかがわかります。

さらに当然のことですが、X-Planeの画面の表現をあまりに細かくし過ぎると長時間飛行ではフリーズしやすくなります。下は最も細かい設定にした場合ですが、上空からの景色や操縦室の計器、パネルはmediumの設定でも十分です。

たとえばこれは積雲系の雲を上空に抜けるところです。層雲のかわりに積雲を表示させているときもこんな感じになります。

操縦席から見た景色です。

高い雲の間を飛ぶとこのようになります。積乱雲は特別な表示がありません。普通の積雲のように表現されます。ただし雷鳴と稲妻は表現されます。

B767-300ERではティルト機能がついたレーダーが使えます。たとえばこんな映像が見られます。これは上昇中で、電波の強度はAUTOで上向き3単位のビーム。正面にたいへん強烈な雨雲があります。

激しい雨はこんな感じです。雪と雨の区別は表現上はないようですが、0度以下であれば防氷装置を入れておかないと氷結してしまいます。

朝の雨のなかの離陸です。ワイパーは走り出すと特に動かさなくても視界はきれいです。

雨が降る早朝のケネディー空港です。雨の滑走路を走ると水しぶきが上がります。

雨の中を止まっていると画面にこのように水滴がつきます。ワイパーを動かすと消えますが、この程度ならワイパーを使わなくてもよく見えます。

これは夜間の空港です。

こんな感じでX-Planeと気象の連携もかなり本格的になってきました。

(おわり)


フライトシミュレーターが読み込む気象

2015-12-30 23:08:36 | 日記

フライトシミュレーターは実際の気象を再現するときにどのようなデータを使っているのでしょうか。

FSXではデフォルトで実際のデータをダウンロードして使うことができます。しかし上空の風のデータなどは大雑把ですから、ActiveSkyのようなソフトがいくつかあって、データをインターネットからダウンロードしてくれます。

X-Plane10もデフォルトで実際のデータをダウンロードして使うことができますが、こちらも上空の風のデータは大雑把です。たとえば有償のB767-300ERのFMCに航路を入力すると、風のデータも自動的に入ってきます。しかし驚くべきことにどこのポイントでも風と気温が同じです!

ですからPROGページで計算される到着地までの飛行時間と燃料消費量もこの大雑把な風のデータに基づいています。

一方、米国のNOAAが無料で公開している膨大な気象データから上空の風や気温、雲、乱気流などの情報をダウンロードしてX-Planeに挿入してくれる無償のプラグインがあります。NOAA GFSです。ところが残念なことに最近著者が多忙らしくてソフトのサポートを行っておらず、データのダウンロードができない状態が続いています。

そこで有償のソフトを探すと、以前から紹介しているようにFS Global Real Weatherがあります。これを走らせるとNOAAの上空のデータがダウンロードされてきます。ですからこれをX-Planeと同時に動かせば、実際の風に沿って飛ぶことができます。このソフトはFSXでも使えます。なおX-Plane10はバージョン10.40以上でのみ使えます。

さらにフライトプランを作るソフトPFPXは有償ですが独自にデータベースを持っていて、そこから最新のデータをダウンロードして計算に使うことができますし、FS Global Real Weatherのデータで計算をすることもできます。

ですから結局のところFS Global Real Weatherを動かしてPFPXとX-Planeを使えば、実際の風に沿った飛行計画と、その風を使ったフライトを楽しめることになります。ただし、上のFMCの計算ではX-Planeのデータが使われますので、PROGページの情報はリアルにはなりません。

一方、AEROWINXのPSXはまったく独自の気象エンジンを持っています。PSXでは上空の気象を作りだすエンジンを持っていて、特に偏西風にこだわり、たいへんリアルな偏西風を体験できるだけでなく、偏西風の周りで起きやすい乱気流や雲、気温や風の変化なども表現してくれます。PSXは地上の空港の気象情報、METARは読み込みますが、上空の気象は独自に作りだしています。そのため、今のところこれをそのまま読み出して飛行計画を作ることはできません。PFPXとも違う数字になります。PSXの著者はこの気象データを使えるようにする考えがあるそうなので、そのうち彼がプラグインを出してくれるかもしれません。

しかし外部の飛行計画ソフトでは計算が難しくても、PSXのFMCにあるPROGの計算はたいへん緻密で正確です。たとえば以下の例はFMCに上空の風のデータを読み込んだところです。これも偏西風の位置や上空の気象条件を変えるとダイナミックに変化します。

これが地上の気象のページで、一番下の四角の所をクリックするとインターネットから空港のMETARが読み込まれて利用されます。

そしてこれが地球全体の気象を決めるページです。偏西風の位置や強さを変えられますし、METARがないところの気象はかなり細かく設定できます。もちろんランダムに決めることもできます。火山灰に遭遇することもできます。

(おわり)


大西洋を横断する

2015-12-30 21:29:53 | 日記

航空輸送において北大西洋の横断はものすごい輸送量です。特に西行き(欧州->米国)、東行き(米国ー>欧州)は偏西風の影響を受けて西行きが時間が短く、東行きが時間が長くなります。さらに飛行機はお客さんの利用が便利な時間帯に出発、到着時刻を合わせますからどうしても短時間に大量の便が集中し、しかも時差の関係で東行きが出る時間には西行きは出ず、西行きが出る時間には東行き出ないというように、非常に特殊な輸送形態になっています。

以下の写真はフライトレーダーの写真ですが、西行きが次々と欧州から米国に向かい始めたところです。

そのため北大西洋の飛行機の運航にはNATS(North Atlantic Tracks、北大西洋航路群)といって、毎日推奨のルートを当局が発表し、できるだけこのルートに沿って飛行機は飛ぶようになっています。

たとえばトルコのイスタンブールから米国のニューヨークまで航路を考えます。大西洋は西行きになります。下の写真は両地点の大圏コース、すなわち最も距離が短いコースに沿った航路です。地図には緑色の線が6本入っていますが、これがこの時間の西行きのNATSの航路です。今回の航路はNATSを使わない航路になっています。

詳細を見ると下の写真の右上、大圏コースが4353マイルに対して、この航路は4393マイル。ほぼ大圏コースに一致。その下に航路上の平均の風が書いてあります。向かい風成分が47ノットです。飛行機はB747-400ですが、飛行時間は10時間15分、この間に消費される燃料が119.958トンです。オレンジのLRCはロング・レンジ・クルーズの略で、燃料の消費が進んで機体が軽くなるについれて高度を上げていく飛び方です。

ちょっと話が脱線するようですが、LRCとCI(コストインデックス)の関係についてボーイング社のHPには次のような解説があります。下の写真を見てください。まずMRCというのはマキシマム・レンジ・クルーズ、すなわち同じ燃料で最大の距離を飛べる飛び方です。これを見るとLRCは最も速い飛び方に属します。さらにFMCに入力するCIの数字の大体の範囲も書いてあります。CIをもとに決める速度がECON(経済)速度で、CIが小さいほどECON速度は下がり、燃料消費量は少なく、CIが大きいほどECON速度は上がり、燃料消費量は多くなります。これを見てもLRCというのはほとんどすべてのCIに対して最も速い飛び方になります。ですからもし燃料を節約する必要があれば、より低いCIにして速度は下げても燃料消費を減らして航続距離を延ばす必要があります。ちなみにMRCはCIがゼロの時の飛び方です。

さらに次のような説明もあります。FMCで計算されるLRCの速度は風には無関係に決められるが(というより無風の時の理論的最適速度)、CIを使って決めるECON速度は風の影響も考量して最適な速度を決めていると。確かに下の表を見ると風によってECON速度が変化しています。

そしてCIは運航コストに影響してくるから、操縦士はディスパッチャー指定のCIを使うようにとあります。

さて、話をNATSに戻します。では次に大西洋をNATSの航路に乗って飛ぶ場合を計算してみます。その時の風の状況とその時オープンしているNATSの航路のなかで、最も飛行時間の短い航路を選びます。それが下の写真です。緑色に囲ってあるところがNATSで、この例ではTRACK Cを飛んでいます。入り口がGOMUP、出口がAVUTIで、北緯59度・西経20度、北緯60度・西経30度、北緯60度・西経40度、北緯59度・西経50度を通ります。5920Nというような表記はFMCに入力する時の省略形です。大圏コースに比べるとずいぶん北寄りの航路です。

詳しく見てみます。今回もLRCです。距離は大圏コースが4353マイルに対してこの航路は4567マイルと214マイルも長くなっています。しかし風は向かい風成分が19ノットで、先ほどの大圏コースに沿った航路の半分以下です。そして飛行時間は10時間0分、燃料消費量は115.105トンと、時間で15分、燃料消費量で5トンも少なくなっています。当然、こちらの航路が選択されます。

では次にLRCではなく、マッハ0.89という、B747-400の最高速度でこの航路を飛ぶ場合を計算してみます。距離は4567マイルで同じですが、飛行時間は9時間34分と先ほどより26分も短くなっています。しかし消費燃料は125.251トンと先ほどより10.15トンも多くなっています。さらにその下の写真を見るとわかるようにイスタンブールを離陸してNATSに差し掛かっても高度はFL280です。NATSはFL295以上ですからNATS以下の高度になります。実はマッハ0.89で巡航とすると高度はほとんどのところでFL280で、空気がより濃いところを限界の速度で飛んでいくことになります。マッハの数字は気温が上がると上限が抑えられてきますから、いつもマッハ0.89で飛べるとは限りません。また先ほどとは飛ぶ高度が違いますから平均の向かい風成分も変わってきます。向かい風成分が15ノットで、先ほどより4ノット低くなっています。

参考までにこの航路でお世話になるNATSの管制機関がフライトプランに出ています。NATSの東側はアイルランドのEGGX=Shanwick、北側はグリーンランドのBGGL=Sonderstrom、西側はカナダのCZQX=Gandarです。

NATSを飛ぶにはいろいろルールがあります。いずれ紹介していきたいと思います。

(おわり)


ETOPS-370の世界

2015-12-30 17:37:16 | 日記

 

今や世界の旅客機は2エンジン機が普通になりました。2エンジン機は上空でエンジンが1基止まった時に残りの1基で飛ばなければならないので、とりわけ安全の確保が必要です。

ではエンジン1基でどれだけ飛ぶことが許されているのか。通常は60分です。60分以内にどこかの空港に着陸しなければなりませんから、航路上の着陸できる空港から60分を越えるところには飛んでいくことができません。

しかしこれでは洋上飛行などは事実上不可能で、そのため昔はエンジンが3発、4発の飛行機が必要でした。

そこで2エンジン機でも長距離を飛ぶことができるように、すなわち途中で1発のエンジンが止まっても安全に長時間飛ぶことができるように、メーカーと航空会社は飛行機と運航の信頼性を上げていく努力を積み重ねていきました。そしてそれに伴って新しい飛行のルールが作られていきました。それがETOPSです。たとえば1発で120分飛ぶことが認められている2エンジン機はETOPS-120の認証を得ているというように言います。

その結果今ではエンジン1基で180分飛べる認証をもらった2エンジン機がたくさん飛んでいて、これだと相当広範囲に天気が悪くても太平洋や大西洋の横断はほとんど問題なくできます。さらに180分を越える認証をもらっている2エンジン機も増えてきました。ただしこうした認証は飛行機の形式だけでなく、個々の機体の整備状況や航空会社の運航の状況などを見て決められますから、安全運航の記録を伸ばしていかないと長い時間の認証は取れません。では1基のエンジンで一番長く飛べる認証をもらっている2エンジン機はETOPS何分でしょうか。答えは370分です。すなわち6時間10分もエンジン1基で飛ぶことができることを認証されている2エンジン機があります。それがエアバスのA350 XWBです。ETOPS-370の認証を得たのは2014年10月のことです。

このエアバスの絵を見ると、南米からインドまで、アフリカ大陸を横断して飛ぶことができるように書いてあります。さて、ではこのフライトを試しに計算してみます。

ベネズエラのカラカスにあるシモンボリバル空港(SVMI)からインドのバンガロールにあるケンペコウダ空港(VOBL)までのフライトです。下にPFPXで作ったルートマップがあります。藤色に塗られた部分はClass 2空域、すなわちICAOが決めた標準的な航行援助装置が使えない空域です。また上空の風向風速も出ています。

まず気づくことはカラカスからバンガロールまで、最短コースで飛べば黄色い線で示された大圏ルートになります。ですからClass 2空域は通りませんし、北アフリカは航行援助装置、空港、管制が整備されていますし、欧州にも代替空港を確保できます。

しかし、風が吹いているのです。下の写真を見てください。大西洋からアフリカにかけて強い西風が吹いている空域があります。カラカスからバンガロールまで飛ぶ場合、この風に乗って飛ぶと大圏ルートで飛ぶよりも地上距離は長くなりますが、飛行時間は短くなるのです。それが下の赤い線で示された航路です。

しかしこの赤い線で示された航路をたどるとアフリカ大陸内部にClass 2空域があります。さらに機体に問題が起きたときに万全の備えで着陸できる空港はこのアフリカ大陸内部にはなかなか得られないかもしれません。

ここでETOPS-370が認められるとします。まずカラカスとバンガロールは非常時の着陸空港として使えるとします。すると両方から370分の飛行範囲がどこまでか。下の写真でカラカスとバンガロールを中心にそれぞれ描かれた円が370分の範囲です。

しかしこれだとアフリカ沖の大西洋から紅海あたりまでの間が両方の円の範囲外になってしまいます。そこでスペインのバルセロナのエンプラット空港(LEBL)を非常時に着陸できる空港に指定します。そしてここから370分の円を描きます。

するとどうでしょう。先の2つの円の間がすっぽりカバーされるのです!

整理するとカラカスを離陸して東に向かいますが、アフリカの手前の大西洋までの間に何かあればカラカスに引き返す。そこを過ぎたらスペインのバルセロナに行く。それが紅海あたりまで続いて、紅海から先は何かあればインドのバンガロールに行くということになります。要するに飛行計画を作るときにアフリカには着陸しない前提で計算ができるのです。

実は以前からアフリカ大陸中央部の航行援助装置や航空管制の質が世界レベルに達していないことがよく問題になります。そこでこんなETOPS-370の飛行機が登場したのですね。ETOPS-370が適用される空域は世界にまだあるようです。なかなか技術の進歩も地道にすごいことだと思います。

(おわり)

 


嵐の北海道をB200 King Airで飛ぶ

2015-12-28 17:05:28 | 日記

今日は発達した低気圧がオホーツク海上にあって、北海道は大荒れの天気でした。こういう時に、フライトシミュレーターは楽しいのです(笑)。好きな人は台風を追いかけて飛ぶぐらいですから・・・。

この発達した低気圧に向かって北海道は強い西風が吹いています。そのなか今日は女満別空港から稚内空港を経由して札幌空港まで飛んでみたいと思います。稚内空港はタッチアンドゴーです。

では天気をMETARとTAFで見てみます。まず女満別です。北西の強風が吹き荒れ、天気は地吹雪!しかし視程は良く、雲は高く、離陸に支障はありません。気温マイナス4度。低気圧が東に移動するにつれて風は次第に収まりつつあります。逆にシミュレーターではもたもたしていると天気が良くなってしまいます(笑)。

札幌空港は風は収まっています。小雪。雲底は2000フィート。気温マイナス5度。視程5キロ。稚内の天気は後で見ます。

女満別空港の天気を改めてFS GLOBAL REAL WEATHERで見てみます。雪は中程度の雪となっていますが、あとはMETARと同じです。このソフト、なかなか優れものです。

早朝の女満別空港です。今日飛ぶのはCalenadoのB200 King Airです。X-Planeの空港をにぎやかにするシナリーを入れたのでどこもこんな賑やかな空港になっています。

ではコックピットに入って出発準備を始めます。

ではGARMINのGPS400に今日のフライトプランを入れます。女満別(RJCM)離陸後、TBE(女満別VOR、滑走路わきにあります)、QURIO、SAKIN、WKE(稚内VOR、稚内空港RJCWにあります)、YOROI、RUMOI、SUIKA、BEEBA、SPE、そして札幌空港(RJCO)です。

入力後フライトプランをアクティブにします。

操縦室と客室の扉を閉めます。

出発準備が整いました。

ではエンジンを始動します。航法灯、赤色旋回灯、ポジション灯をオン。燃料ポンプをオン。

左から始動します。イグニッションをオン。

左側のエンジンが始動しました。

続いて右側のイグニッションをオン。

右側のエンジンも始動しました。

イグニッションをオフにし、オートフェザー、インバーター、オートイグニッション、エンジンアンチアイス、オートフェザーをオン。

防氷関係をすべてオン。

与圧関係もオン。

オーディオパネルもセット。

与圧のメーター2つも正常です。

タクシー灯をオン。離陸滑走路に向かいます。今日は北風なのでRWY36からの離陸です。

途中でエンジンのランナップをします。ヨークにつながっているとエンジンを片側づつ操作するのがひどく大変です。

もうすぐ滑走路です。知床の山と朝日です。

稚内までの巡航高度はFL200です。着陸灯をオン。トランスポンダをオン。

滑走路に正対しました。離陸します。

滑走路上を雪が動いています。X-Planeでは雪の表現はこうして滑走路上を動く白い帯です。

軽々と離陸しました。向かい風が強いのであっという間です。

女満別空港が見えます。北に飛んでいきます。

横風を修正しながら滑走路の中心線を飛んでいきます。

オートパイロットとヨーダンパーを入れます。GPS400の指示がNAVに出るようにしてあり、NAVで飛びます。

早速左旋回です。網走湖、能取湖が見えます。

女満別空港です。光の帯は国道39号線、北見国道。

オホーツク海に朝日が昇ってきました。

リヤウシ湖と網走湖。奥に藻琴湖、トウフツ湖が見えます。

グーグルマップを見てみます。

前方にサロマ湖が見えます。

積雲のなかを上昇していきます。オホーツク海が見えます。

10000フィートを越えました。着陸灯をオフ。

外気温はマイナス23度。ずいぶん寒いです。

GPSで予定のコースを飛んでいます。SAKINまで89.8マイル。

当機の気象レーダーは作動しません。

14000フィートを過ぎました。高度計の気圧を29.92インチにします。

右手後方に屈斜路湖が見えます。左は知床半島、正面は阿寒の山々です。

与圧も正常に動いています。客室高度は400フィートほど。内外気圧差は6気圧ぐらいです。

巡航高度FL200に到達しました。プロペラは1700RPMで巡航します。速度はIASで205ノット。対地速度219ノットです。向かい風成分が強くなっています。

客室高度は600フィートほどです。

サロマ湖、能取湖、網走湖が見えます。現在は海上を飛んでいます。

当機にはGPS400が2基ついています。片方のGPSに入力するともう片方にはこうしてCrossfillというコマンドでフライトプランをコピーすることができます。下側のGPSに上側のGPSに入れたフライトプランをコピーします。

上下ぞれぞれに異なる画面を出しておくと便利です。

右席です。パネルが左席と違います。機械式のメーター類です。

NAVの受信ですが、上型のGPSがNAV1、下側のGPSがNAV2の受信機を兼ね備えています。NAV1に稚内VOR(115.3、WKE)、NAV2に女満別VOR(110.85、TBE)を入れます。

VOR指示器を見ます。ピッタリ両方の針が重なっています。両方のVORを結ぶ直線上に当機がいることがわかります。細い針がNAV1、太い針がNAV2です。

燃料も異常ありません。十分あります。左右でメーターの針の長さが違うのか、軸の位置が違うのか。

では客室からコーヒーを持ってきてもらいましょう。コーヒーランプをオン!

操縦室の扉が開きます。

稚内に近づいてきました。左手に日本海が見えてきました。

では稚内空港にタッチアンドゴーします。降下を始めます。

積雲のなかを降下していきます。氷結が起きると速度などに変化が出てきますからよく気をつけてみています。

直近の稚内の天気です。西の風、雪。雲底は2000フィート。視程4.9キロ。しかしFEWやSCATTEREDの雲が低くあります。果たして滑走路は見えるでしょうか、

今日の稚内の進入はGPS RWY26アプローチです。GPSにアプローチをセットしますがまだ起動しません。

降下するにつれて次第に雲が濃くなっていきます。

FL!40を過ぎました。QNHを合わせます29.77インチ。

外気温は依然としてマイナス28度です。

ではアプローチを起動します。DASSYにまず向かいます。あと23マイル。

地図にもアプローチコースが示されています。空港の東側に回り込んでの進入です。

グーグルマップで見ても緑の大地しか見えません。

激しい雪が降ってきました。氷結による飛行の変化に気をつけます。なお氷結をビジュアルに表現することはX-Planeでは行われません。

5000フィートを割りました。次第に降下していきます。

アプローチに入ります。フラップを1段下げます。

フラップの表示器はスロットルの前にあります。

雲が低くて何も見えません。滑走路のほうに向かいますがこれは滑走路は視認できません。

海岸沿いに出ました。強い雪が吹き付けます。

予定のコースより右にずれています。コースに戻ります。

本当ならもうゴーアラウンドですが、今日は特別にこの悪い視界のなかで滑走路を探してタッチアンドゴーをしてみます。

進入灯が見えました。左に寄ります。

滑走路です。タッチアンドゴーします。

ここまで降りてくると滑走路がよく見えます。

横風で中心線からちょっとずれましたが接地。再びエンジンをふかして離陸します。

離陸上昇していきます。

雲と雪のなかを上昇していきます。

稚内の市街地に近づいていきます。

下側のGPSに入れておいた当初のフライトプランを上側のGPSにCrossfillでコピーし、次のポイントYOROIへ向かいます。

オートパイロットで飛んでいきます。

南に針路をとります。稚内VORからYOROIを結ぶ直線に会合するように飛んでいきます。

ルートに会合しました。引き続き上昇しています。

GPSを見るとルートの真上にいます。YOROIまで10.9マイルです。

雲の上に出ました。声問大沼が見えます。右が宗谷岬、左がノシャップ岬です。

右手に利尻島が見えるはずです。

利尻島と利尻富士が見えます。雲と雪でちょっと霞んでいます。

札幌まではFL160で巡航します。あれ、ND画面上にレーダーのエコーが出てきました。何があるのでしょうか。

左前方を見てみます。特に濃い雲があるようには見えませんが巨大な積乱雲でもあるのでしょうか。いずれにしろ揺れてきたらすぐ右に避けようと思います。

外気温マイナス38度。特に短時間の変化はありません。

では札幌空港のアプローチを設定します。VOR14アプローチです。札幌VOR(SPE)上空から一度海側に出て、陸に引き返してきてVOR上空に至り、そこから札幌空港へ着陸します。

左手に朱鞠内湖が見えます。

VOR表示器には札幌VORと稚内VORが表示されています。途中でコースが曲がるので、両点を結ぶ直線上にはいません。

深川のあたりを飛んでいます。

左側に背の高い雲があります。これが積乱雲でしょうか。特に揺れません。

では札幌に向けて降下を始めます。4000フィートまで降下します。

これが札幌空港VOR RWY14アプローチです。SPE上空で4000フィート以上。VORから350度の方位で海上に出てそこが1500フィート以上。10マイル以内を150度の方位で折り返してきて再度SPE上空が1200フィート。そこから144度の方位に滑走路があります。ミニマムは600フィート。

BEEBAポイント。札幌VOR(SPE)に向かいます。

SPEまで20.6マイル。

ではアプローチを起動します。先ほどのコースがGPSのナビゲーションで飛べるようになっています。

NAV2にも札幌VOR(113.90、SPE)をセットします。こちらはGPSではなくてVLOCの設定です。これをまちがうとGPSをセットしているのにGPSで飛ばなかったり、ILSをセットしているのにILSで飛ばなかったりします。

今日の着陸は右席でやりたいと思います。機械式のメーターはいいです。右席の定針儀にVORのコースをセットします。350度です。

10000フィートを過ぎました。着陸灯をオン。

石狩湾が見えてきました。雲が上がってきています。既に4000フィートまで降りています。

石狩市上空にさしかかります。

眼下に街が広がります。

まもなくアプローチに入ります。右旋回です。

オートパイロットで降下していきます。

海側に向けて降下が続きます。再び雲のなかです。

右席のVORの指示もピッタリです。

GPSを見ても順調に飛んでいます。

雲の下に出てきました。日本海が広く見えてきます。高度2000フィート。

では左旋回です。高度1500フィート。

石狩川の河口です。

札幌VORに向き直ってきました。1200フィートまで降りています。遠くに空港らしきものが見えます。

右席も方位150度を設定。ぴったりコース上に乗っています。

GPSはLNAV+Vアプローチになっています。高度は気圧高度計を使い、LNAVで針路を誘導します。非精密進入です。

もうすぐ陸上に入ります。

札幌VORまで4.4マイル。空港と滑走路が見えています。

さらにはっきり滑走路が見えてきました。

では右席に移って操縦します。滑走路に向けて降下しています。雲が晴れて下界がよく見えます。

 しかし西からの横風は強く、偏流角をとって降下していきます。

到着機を地上から見たところです。

 もうすぐ着陸です。まだ小雪が降っています。

無事着陸しました。

誘導路を駐機場へ向かいます。

到着です。エンジンをカットして各スイッチをオフにします。

そして降機です。こうして今日は嵐の北海道を双発プロペラ機で飛んでみました。気象の表現もどんどん進化しています。快晴以外の天気で飛ぶのも楽しいものです。

(おわり)


X-Plane10のB767-300ERで成田からサイパンまで(3/3)

2015-12-27 14:32:00 | 日記

大島を出たところです。洋上飛行前のチェックをしています。

VORには左右とも大島VOR(XAC)を受信します。FMCは方位179度、距離20マイル。VOR指示器を見ると左右とも方位180度、距離21.1マイル。ほぼ一致です。DMEとFMCでは距離の測り方が違います。DMEでは地上から飛行機までの仰角のある距離。FMCは2次元平面上の距離です。

高度計をチェックします。左席が27990フィート。

右席も27990フィート。左右の高度計が一致しています。

コンパスをチェックします。こちらもS、南、180度の方位を指しています。

NDの表示も180度。方位もOKです。洋上飛行に向けたチェックはOKです。

ちなみに当機ではND画面に進路、トラック(TRK)が表示されます。そして機首方位は白い四角で表されます。これを見ると機首方位はトラックよりも13度ぐらい西を向いています。これは強い西風を受けて機首を西に振りながら飛んでいることを示しています。

大島VOR(XAC)から45マイル。

三宅島を通過します。

御蔵島も通過します。

先ほど紹介し忘れましたが、R IRS ON DCのQRHでの指示です。特に対処すべきことはありません。

八丈島が見えています。八丈島を出るとまもなくレーダー管制から洋上管制に切り替わります。

夕暮れの太平洋を飛んでいます。

飛行計画に従ってここでFL330までステップクライムします。新しい巡航速度は0.810になります。

MCPも33000にします。

FL330に向けて上昇しています。離陸後34分。

FL330に着きました。改めてPROGを見てみます。サイパンでの残り燃料予定が20.2キロポンド。5%のコンティンジェンシーの範囲内の収まっています。やれやれです。

FL330で巡航します。離陸後37分。偏西風は116ノット。依然強烈な空域を通過中です。

既に洋上管制です。スクウォークは2000にします。

水平線が赤みを帯びてきました。

一路太平洋を南下します。

今までの到着予定は10時26分でした。しかし10時31分に着けばよいので、コストインデックスを25に下げました。残燃料予定は0.7キロポンド増えています。

PERFページでコストインデックスを変えることができます。下げると消費燃料が少なくなります。

燃料は残り40.5キロポンド。順調です。燃料の温度はマイナス37度。燃料によって燃料が凍りだす温度が決まっています。

まもなくCADYです。義務位置通報点。洋上管制です。風は278度から102ノット。強い偏西風ですがやや弱まってきました。レーダーには何も影が映りません。良い天気です。

まもなくUKATA。既にVORはまったく受信しません。

西日がまだ高く見えます。

 

消費燃料は飛行計画と照らしてちょっと多めです。

既に機内では軽食の提供が終わり、映画が始まります。

 ちなみに飛行機にはいろいろな「温度」計があります。まずECASにTATが-40度とあります。これは飛行機の外側の温度です。外気の温度に空気との摩擦熱が加わった温度です。摩擦熱などを取り除いで空気そのものの温度を測ったものがSATで、右のほうの縦長のパネルの下側にあります。-65度。寒いですね。ECASに+53Cとあるのは離陸時の想定気温です。

 

それから速度です。右席側に丸い速度計があります。271とあるのはIAS、ピトー管で測った速度そのものが271ノットです。これをマッハに直すとマッハ0.77。マッハの数字は高度や気温で変化します。それからその左側のパネルにTASとあります。これは機械の誤差や、空気の濃淡を調整して大気に対してどれぐらいの速度で進んでいるかを示したものです。これは432ノット。上空は空気が薄いのでピトー管で測る速度は真の対気速度より低くなります。ですから逆にTASはIASより大きくなっています。このほかに対地速度、GSがよく使われます。これは地面に対する速度で、向かい風であれば同じ対気速度でも遅くなり、追い風であれば同じ対気速度でも早くなります。これは写真にはありませんがPFDに表示されています。

IRSはいま、風の情報を表示しています。270度から95ノット。偏西風が弱まってきました。一番風速が強い場所を過ぎたようです。ダイヤルを一番左に回すと対地速度GSも表示できます。

偏西風がやや弱くなってきました。残燃料予定が21.2キロポンド。ほぼ飛行計画通りの数字になりました。到着予定が10時31分です。

すでに外は真っ暗です。夜間飛行です。

もうすぐ小笠原を通過します。夜なので何も見えません。

ETOPS区間に入る準備をします。VASKOの手前7マイルのところです。FIX機能を使ってND上に表示させます。

ETOPS区間を飛んでいます。風は271度から56ノット。

クリティカルポイントCRPはVASKOから135マイルのポイントです。ETOPS区間の出口はOMLETの手前110マイルのところです。OMLETから管制が米国のオークランド(KZAK)に変わります。

 

 

偏西風は291度から28ノット。相当弱まってきました。ETOPS区間の出口を通過します。

トランスポンダは2000のまま飛んでいます。

OMLETを通過。オークランド洋上管制に引き継がれます。

ではサイパンのILS周波数と方位をILS受信機に入力しておきます。

109.90MHz、066度。ILS受信機はペデスタルにあります。

ADF1にサイパンNDBの周波数を合わせておきます。

VOR受信機の1番をADFにしておきます。まだ何も受信しません。

オートブレーキを3に。

北マリアナ諸島上空を南下していきます。

ではもうすぐ降下開始です。。MCPの高度はいきなり最終進入の2100フィートにしておきます。

もうすぐ降下開始です。サイパンNDBから30マイルのところに緑色の輪を表示させています。風は322度から9ノット。追い風です。

サイパン空港まであと140マイル。到着予定は1014分と大幅に繰り上がっています。追い風の変化の影響でしょうか。残燃料予定は19.9キロポンド、十分です。

今日の進入速度はフラップ30度、142ノット。

上空の風の情報です。X-Planeから自動的に読み込まれます。

外は引き続き真っ暗です。降下が始まりました。スピードブレーキを展開します。ウィング灯をつけてスピードブレーキの様子を見てみます。

ウィング灯に照らされてスピードブレーキが展開しているのが見えます。

降下開始前のアナウンスです。これはシートベルトサイン点灯前のアナウンスというような内容です。

シートベルトサインをオン。

シートベルトサインをオンのアナウンスをします。

FL180を通過しました。QNHを合わせます。サイパンのQNHは1011ヘクトパスカル。離陸後3時間5分。

高度計のQNHを3つとも合わせます。

もうすぐサイパン島です。

10000フィートを過ぎました。着陸灯をオン。

速度を205ノットまで減速させます。

サイパン島上空に来ました。一度空港上空に出て西に飛びます。左側に見える島はテニアン島です。

サイパンNDB上空です。プロシーデュアターンで右に旋回します。

引き続き降下を続けます。高度も予定どおりです。

ここから先はMCPをマニュアルで設定して降下します。速度165ノット。毎分1200フィートで降下していきます。

もうすぐ左にターンして最終進入コースに乗ります。

まもなく着陸のアナウンスです。

レーダーには地上の山が映っています。最終進入コースに乗るところです。離陸後3時間15分。高度はあと500フィートほどで2100フィート。

スピードブレーキをARM。ハンドルを左クリックします。

2100フィートまで降りてきました。アプローチボタンをオン。

ILSの誘導で最終進入コースに乗ります。高度2100フィート。

前方にサイパン空港が見えてきました。

ADFはサイパンNDBを受信しています。識別信号が聞こえ、機の真正面にあります。

まもなく降下が始まります。風は向かい風、058度から16ノットです。

ギアダウン、3グリーン。

最終進入速度147ノットに合わせます。フラップ30度。

順調に最終進入コースに乗っています。最終進入ポイント、KORDYをまもなく通過。ここから降下が始まります。NDの表示はTERRに切り替えました。

オートパイロットを3基起動して自動着陸で降ります。

LAND3の緑色の表示灯が点灯。当機ではフレアと着陸後の操向も自動でやってくれます。正面に滑走路が見えています。離陸後3時間20分。

もうすぐ着陸です。

滑走路が近づきます。

地上から到着機を見たところです。

グーグルマップ上ではもうすぐまたサイパン島上空に入ってきます。

地上のタワーから到着機を見たところです。

そして着陸。ピッタリ中心線上を走っています。駐機場に向かいます。

着陸後のアナウンスです。

トランスポンダーをスタンバイに。両翼の着陸灯、ストロボ灯をオフに。

無事駐機場に到着しました。外部電源、空調用圧搾空気をつなぎ、エンジンを止めます。

オートスロットル、フライトディレクターをオフ。油圧、燃料ポンプをオフ。赤色旋回灯をオフ。IRSをオフ。離陸後3時間34分。

シートベルトサインをオフ。

地上支援車が近づいてきます。

ドアをマニュアルにというアナウンス。

ドアを開けてさようならのアナウンス。

降機が始まりました。

降機が進んでいます。

降機が終わりました。

操縦室の扉を開けます。

明日の帰りのフライトまで今日はサイパン空港で駐機です。非常灯をオフに。

最後にバッテリーをオフに。

扉をすべて閉めます。

車輪止め以外をすべて外します。

セキュア―チェックリストを実施します。

サイパン空港を暗視カメラで見たところです。

空港の周りは緑がたくさんあります。

というわけで無事サイパン空港に着きました。飛行時間は3時間30分。

なかなかリアリティーがあるフライトが楽しめます。X-Planeの進化は続いています。

(おわり)


X-Plane10のB767-300ERで成田からサイパンまで(2/3)

2015-12-27 11:38:05 | 日記

成田で出発準備が続きます。

ウインドウズヒートはすべてオン。

ノースモーキングはオン。給油前なのでシートベルトサインはオフ。与圧の設定はAUTO1に。写真はMANで空気取り入れ口の開閉をチェックしているところです。着陸地の標高を入力。250フィート。その下の3つの与圧関係のメーターも正常。Equipment CoolingはAUTO。

右席の後ろにあるフライトレコーダーのスイッチをNORMに。その右のサービスインターホンはOFF。

その後ろはメンテナンスパネルです。

正面の設定です。左席前の航法データの選択はスイッチがすべてタテに。ちらと見えますがPFDが正常に点灯しています。IRSの調整が終わっています。また写真左側に見える白いつまみは照明ですから明るさを調整します。

MCPの設定です。左、右とフライトディレクターをオン。離陸滑走路の方位336を入力。最初の高度として10000フィートを入力。

オートブレーキはRTO。

QNHを合わせます。高度計は左席、右席、スタンバイの3つありますから3つ合わせます。この中でRVSMで使える高度計は左席と右席のものだけで、スタンバイはRVSMには使えません。高高度に行くと誤差が結構大きくなります。

右席の高度計のQNHを合わせています。

表示灯の故障をチェックします。すべて点灯させてみます。スイッチはオーバーヘッドパネルの右席側の下の右端にあります。

ECASのメッセージをチェックします。CANCEL、RECALLです。するといつものメッセージ以外にEEC OFFが出ていますね。先ほどオーバーヘッドのスイッチをONにし忘れています。

エンジンオイルの量を確かめます。18、OKです。足りない場合はメニューからMaintenanceボタンを押します。すると補給してくれます。

続いて油圧の油量、酸素の量を確かめます。OKです。ブレーキの温度もOKです。現在は指標がゼロです。

ギアレバダウン、3グリーン、ブレーキ圧力計はずっとこの真上の位置に張り付いたままです。果たして動いているのか・・・。フラップレバーはアップ。フラップ表示灯はアップ。オルタネートフラップはNORM、その他スイッチはノーマルポジション。今までのチェックのなかでノーマルなポジションにあるもののチェックは説明を省略してあります。外気温は6度。先ほどの気象ソフトが示したとおりの気温です。

右席の前も左席と同じようにチェックします。

続いて酸素マスクを左席、右席ともにチェックします。双方向のコミュニケーションのチェックはちょっとできませんが。マスクの格納箱をクリックするとマスクが装着され、一番下の黒い三角の部分をクリックするとマスクが外れます。

ではルートのチェックです。NDをPLNモードし、FMCをLEGSにして調べていきます。成田の離陸は複雑な経路です。

サイパンの到着です。ゴーアラウンドは滑走路方位に飛んで1600フィート以上で右旋回でサイパンNDB上空に至り、旋回。高度2800フィート以上。

NDの各種情報の表示を確かめます。

続いて気象レーダーのチェックです。当機では気象レーダーがティルトの機能を含めて動きます。ペデスタルにある気象レーダーのスイッチをTESTにして、EFISのWRXボタンを押します。するとカラフルなテスト画面が現れます。

続いてEFISをTERRにして、地上の標高の表示を確かめます。これは最初のテスト画面です。

今日のトランスポンダの識別番号は3554。セットしてスタンバイにしておきます。

ペデスタルの設定です。オーディオパネルを設定します。音声はOXIからBOOMに。マーカーとILSの識別信号を受信できるようにしておきます。ATISを受信しようとしましたが、なぜか受信できません。

 パーキングブレーキはセット。

ラダートリム、エルロントリムの上側、下側はすべてゼロ。続いて火災報知器、消火器のチェックを行います。ペデスタルの左下です。

警報が鳴り、警告が出ることを確かめます。

ではプレフライトチェックリストを実施します。

搭乗と搭載が始まります。乗客、貨物、燃料が一緒に積み込まれます。

出発準備が進みます。

燃料が積み込まれていきます。次第に燃料タンクの数字が上がっていきます。センタータンクは今日は空です。

Plane is loadedと出ました。搭乗、搭載がすべて完了です。

FMCの設定を続けます。PERFページです。グロスウエイトが342.1キロポンド、燃料は計測された値が54.7キロポンド。搭載量と一致。ZFWもほぼ一致。リザーブ燃料は今日はフライトプランのReserveと同じ4.6キロポンド。巡航高度はFL280。コストインデックスは54を使います。さらにRVSM運航ですからステップクライムのサイズは1000にしておきます。

TOPCATで計算した今日の離陸速度の計算です。今日は34Rからの離陸です。一番低い推力で想定気温53度を使います。フラップ15度。この表があると離陸滑走路が急に変わってもすぐに離陸フラップ、想定気温、速度がわかります。

離陸フラップ15度、想定気温53度。先ほどのメニューからCGは23%。これを入れるとトリムが4.0。離陸速度はV1が141、VRが145、V2が153です。上のTOPCATの数字と多少違いますが、FMCのレファレンス速度を使います。

MCPに離陸速度153ノットを入れます。これで離陸前のFMCの入力は完了。LNAV、VNAVのスイッチを入れます。両方点灯。入力はOKです。もし点灯しない時はどこか入力か計算に問題があります。

PROGページです。サイパンまでの飛行時間は3時間35分予定。先ほどのフライトプランより40分も遅くなっています。距離1373マイル、残燃料予定は13.9キロポンドで使用燃料の予定が約41キロポンド。これはフライトプランで計算した33キロポンドよりはるかに多い量です。この残燃料の量は離陸後も常にアップデートされています。この燃料で離陸するわけですから離陸後のこの数値の動きはよく見ていて、燃料の消費が多すぎるならコストインデックスを下げる必要があります。フライトプランとなぜここまでFMCの計算が違うのでしょうか。ちなみに定期便の所要時間は3時間35分です。

改めてLEGSページでコースと速度、高度を確かめます。

累積時間計をゼロに戻しておきます。

では最初の機内アナウンスです。ご搭乗ありがとうございますのアナウンスです。これはメニューからも選べますが、ペデスタルのオーディオパネルにあるPAA、すなわち客室アナウンスのボタンを押してもこの画面が出てきます。

では油圧を入れます。油圧は正常です。さらにAPUもオン。APUも正常。舵も油圧が入って正しい位置に上がっています。

電源をAPUに切り替えます。

油圧関係のスイッチを全部オン/AUTOにします。

燃料ポンプもオン。センタータンクは空ですからオンにしません。燃料の量は54.6キロポンド、OKです。

シートベルトサインをオン。

空調はAPUに切り替えます。

操縦室の扉を閉めて施錠。

 ではすべてのドアを閉めます。

 

地上の支援車をすべて外し、車輪止めも外し、牽引車を取り付けます。

DOORS  TO AUTOの業務連絡をします。

もうすぐプッシュバックです。赤色旋回灯をオン。

プッシュバックが始まりました。牽引車を動かすにはエンジンは止めたまま、スロットルを前に出すと動き出します。操向はティラーやラダーで行います。

プッシュバックが続きます。今日はRWY34Rからの離陸ですから滑走路はすぐです。

 ではプッシュバックを終わり、パーキングブレーキをかけ、牽引車を離します。

プレーキ圧力計の針はずっと上に張り付いたままです。機能していませんね。

牽引車を離します。

次第に暗くなっていきます。これからエンジンを始動します。

PACKをオフにします。

1番エンジンから始動します。スターターをGNDに。

順調にN2が上がってきています。油圧や振動、温度も正常です。ただ、まだ左右のEECがオフのままです。

1番エンジンが始動したら2番エンジンを始動します。

2番エンジンも順調に始動していきます。

APUをオフにし、アイソレーションバルブもオフ。

客室の気温が21.5度でちょっと低いので、気温の設定を上げます。

APUをオフ。

ここでEECスイッチがオフであることに気付いてON。

FMCで現在位置の測定誤差を調べます。大きな狂いはありません。

ただ、右側のIRSが直流電流で動いていると出ています。QRHを見ると特に操作すべき項目はありません。

ではタクシー灯代わりのノーズギアの着陸灯を点灯。これからタクシーを始めます。

PFDの画面も正常です。オートスロットルをARMしてもPFDに表示が出ません。

離陸フラップ15度。トリム4.0。舵のチェック。

客室でセイフティーデモンストレーションを行います。

誘導路へ進んでいきます。

今日は滑走路の北側まで誘導路で行き、北側から滑走路に入ります。成田空港のはずれです。

もうすぐ滑走路です。

では滑走路に入ります。着陸灯、ストロボ灯をオン。

トランスポンダーをTA/RAに。

ブレーキも特にタクシーで過熱していません。

まもなく離陸の業務放送をします。

PFD、NDをチェックします。

滑走路に正対しました。

では離陸します。PACKを片側オフ。スロットルを進めて推力が吹き上がるのを確かめてTO/GAをオン!

ゆったりと離陸しました。

オートパイロットを入れます。順調に加速、上昇していきます。

240ノット。フラップはすべてアップ。これから右旋回に入ります。

PROGページを見ます。サイパンでの残燃料予定がさらに減っています。どうなることやら・・・。

オフにしておいたPACKをオンに。

夕方の成田空港です。雲がところどころ広がっています。まさにFEW3000。

千葉県の景色です。利根川、印旛沼、手賀沼、後方に東京湾が見えます。

薄雲のなかを飛んでいます。利根川、霞ケ浦、太平洋です。

 10000フィートを越えました。300ノットに加速します。

 離陸後7分。12000フィート通過。木更津へ変針します。

外は薄雲が広がります。夕方の空です。14000フィートを超えたので高度計の気圧を1013ヘクトパスカルに合わせます。高度をFL280まで上げます。最初の巡航高度です。

300ノットで高度FL160を上昇率毎分3千フィートで上昇していきます。すごいパワーです。

右席の高度計も気圧を1013ヘクトパスカルに合わせます。左右の高度計の気圧を合わせておかないと高度計の数値が合わないという警告がECASに出ます。

順調に飛行しています。大島(XAC)までにFL280に到達する予定です。

西日が直接入ってきます。風は277度から67ノット。偏西風が吹いています。

引き続き上昇を続けているというアナウンスです。

もうすぐ木更津です。房総半島上空。東京湾の右側に羽田空港が少し見えて、その先に川崎、横浜、三浦半島。その先は相模湾。手前には木更津。富津岬が見えます。

房総半島から太平洋が見えます。

予定どおり巡航に入りました。巡航推力が設定されています。IRSの警告は消えています。

木更津を出ました。大島に向かいます。マッハ0.78で巡航しています。

シートベルトサインをオフ。

水平飛行に入りましたというアナウンスです。

アナウンス中はこのように客室にアナウンスをしているというランプが点灯します。

IRSでも風向風速を知ることができます。275度から112ノット。強い偏西風です。ちょうど偏西風がもっと強い空域を通過します。

PROGページを見てみます。巡航に入り、サイパンでの残燃料が16.4キロポンドとなっています。先ほどより増えています。しかし飛行計画ではサイパンで19.46キロポンド残っているはずです。3キロポンド足りません。コンティンジェンシーも1.6キロポンドですからそれを入れてもまだ1.5キロポンドほど足りません。この先、風の様子を見て、追い風が強ければよいですが、そうでなければコストインデックスを下げなければなりません。

洋上飛行に出る前には高度とナビゲーションのチェックが必要です。まずFMCのPOSページを見ます。FMCのデータとIRSに大きな差はありません。

さらにその次のページを見ます。GPSとIRSのデータの間にも大きな差はありません。

正面に大島が見えます。その右が伊豆半島。大島の先には利島、鵜渡根島、新島、式根島が並びます。

ちなみに今日の悪天予想図です。航路上に特に悪天はありませんが、ちょうどいま、偏西風の中心部近くを通過中です。

衛星写真を見ても特に問題はありません。

大島上空です。後方に伊豆半島、箱根、芦ノ湖、愛鷹山が見えます。

大島から一路南下します。

陽が西に傾きます。

ではナビゲーションのチェックを行います。地上のVORが受信できるうちにしなければなりません。FMCはXACに合わせます。

(つづく)


X-Plane10のB767-300ERで成田からサイパンまで(1/3) ETOPS、CRP

2015-12-26 22:51:48 | 日記
今日はX-Plane10の有償B767-300ERで成田からサイパンまで飛んでみます。
 
 
これがフライトプランです。PFPXで作りました。1338マイル、平均で10ノットの追い風です。ロングレンジクルーズで巡航高度は当初がFL280。ZFWは288.0キロポンド。飛行時間は2時間55分、燃料は代替空港(グアム国際空港)と予備を入れて4時間14分の54.7キロポンド。離陸重量は342キロポンドです。
 
ちなみにX-Plane10はデフォルトでポンド表示であり、当機もソフトがポンド表示です。1ポンド=0.4536キログラムです。
 
では767のメニューを出します。今日はゲートから乗客が搭乗します。空調用の圧搾空気、電源、燃料車、車輪止めなどが用意されています。乗客と貨物、燃料の搭乗・搭載計画も入力しておきます。まだ搭乗、搭載はしません。
 
 
 
今回のフライトには洋上飛行の部分があります。八丈島の南西、SABRIポイントのあたりからレーダー管制が終わって洋上管制に切り替わっていきます。スクウォークは2000にします。通信はVHFから短波になり、CPDLCも使われることがります。
 
 
その次のCADDYポイントは義務位置通報点です。洋上管制です。
 
 
さらに今日は洋上飛行にETOPSの区間があります。当機は120分のETOPSが認められているとして飛行計画を作ってあります。ETOPS区間は日本側の福岡飛行情報区と米国側のオークランド飛行情報区の境界点、OMLETの手前にあります。飛行時間にして38分ですが、飛行計画の段階でしかるべき計算が必要です。飛行機は離陸前に必要な計算と書類がそろっていないと法的に離陸できません。一方離陸後は何があっても何としてでも安全にどこかに着陸しなければなりません。ですから離陸前の計算と離陸後の計算は方法が結構違います。紙の上の安全と現場の安全の両方が必要なのです。
 
今回の飛行ではETOPS区間でクリティカルポイント(CRP)の計算を行いました。もしエンジンが1基止まった場合に、成田に戻るのとサイパンに行くのと飛行時間が同じになるポイントを風を考慮して計算しています。ETOPSの計算には等飛行時間点(ETP)を使う場合と、残燃料の限界を計算する限界点(CRP)の2つの方法があります。ETPは前と後ろの2つのETOPS代替空港を指定して、前に行っても後ろに行っても同じ時間になる場所のことです。ですから代替着陸が必要になった時、ETPの手前であれば後ろの空港に行き、ETPの先であれば前の空港に行きます。大変わかりやすい方法です。それに対してCRPは前と後ろを指定するのではなくて、ETOPS代替空港をひとつ指定して、そこに戻るための燃料が残っているギリギリの場所のことです。それがCRPです。
 
今回はETOPS代替空港を成田にしてCRPを計算しています。何かあれば離島のサイパン島ではなくてできるだけ成田に戻りたいわけです。そして成田は世界標準時で4時27分から5時27分の間に代替着陸できる設備等や気象条件でなければまりません。
 
ETOPSのシナリオは普通3つ計算します。シナリオ1はエンジンが1基止まった場合、シナリオ2はエンジンが1基止まりさらに与圧が抜けた場合、そしてシナリオ3はエンジンは2基動いていますが与圧が抜けた場合です。以下の計画によればエンジンが1基止まったらFL210まで降下し、330ノット(TAS)で成田まで飛びます。さらに加えて与圧が壊れて1万フィートまで降下しなければならない場合は1万フィートまで緊急降下し、330ノットで成田まで飛びます。、エンジンは2基動いていますが与圧が壊れた場合も1万フィートまで緊急降下し、成田まで310ノットで飛びます。クリティカルポイントはこの3つのシナリオすべて離陸後1時間49分のところで、OMLETから110マイル手前の地点。その地点での残燃料予定が30.350キロポンド。そこから成田に安全に戻るために必要な燃料がシナリオ1では29.476ポンド、シナリオ2では30.350キロポンド、シナリオ3では28.934キロポンド。まさに成田に戻れるギリギリの燃料です。成田まで戻るための時間はシナリオ1が1時間49分、シナリオ2が2時間05分、シナリオ3が2時間12分です。
 
しかし改めてCRPの場所を考えてみると、OMLETの110マイル手前でETOPSの出口になっている場所です。それはまさにサイパン空港からエンジン1基で60分の場所になっています。ということは当機はCRPを過ぎたらサイパンに行くということになります。
 
ETOPS運航に必要な燃料の量には規定があります。この場合はアイシングは考慮する必要がなく、1回復航する燃料を含んでいます。先に紹介したフライトプランの燃料のところを見るとETOPS運航に伴って必要な燃料が10.074キロポンド加算されています。
 
 
 
 
成田の離陸は今日はRWY34Rです。滑走路方位は336度。
 
 
サイパンの進入はILS/DME RWY7を予定しています。最終進入は2100フィートから。ILSの周波数は109.9、識別符号はI-GSN、方位は066。滑走路の手前にNDBがあります。周波数312、識別符号SN。
 
 
では機体を読み込みます。成田空港第2ターミナルに据え付けます。
 
 
今日はコールドアンドダークから始めます。
 
 
操縦室の扉が開いています。客室もきれいに作り込んであります。
 
 
今のところ故障はひとつもありません。
 
 
 
ドアを開けます。ポートサイド前方のL1とスターボードサイドの後方の扉と貨物室の扉を開けます。ポートサイドのBLKの扉もあけないといけませんね、本当は。
 
 
LOAD/UNLOADボタンを押してまず降機させます。
 
 
767-300ERの設定です。high challengeを選ぶといろいろトラブルが出てくるそうです。またthrottle blockはこのソフトから始まった機能で、モーターでスロットルレバーを駆動しない場合、オートスロットルが切れたときのスロットルの位置と手元のスロットルの位置がずれていきなり推力が動くことがあります。これをオンにしておくと、オートスロットルが切れた後、ソフト上のスロットルの位置まで手元のスロットルを動かさないと推力が動かないという機能です。慣れると使いやすいです。
 
 
成田空港の第二ターミナルにはたくさんの飛行機が泊まっています。
 
 
機体後方の様子です。
 
 
先に紹介した気象ソフトFS GLOBAL REAL WEATHERで成田の天気を見てみます。330度の風9ノット、雲高5千フィート、視程15キロ、気温6度、露点2度、QNHは1028ヘクトパスカル。離陸に問題はありません。
 
では出発の準備を始めます。
 
 
バッテリーをオン、スタンバイパワースイッチをAUTO、外部電源をオン。バスタイスイッチをAUTO。
 
 
航法灯(Position Light)をオン。操縦室の扉を開錠します。
 
 
外部電源を取り入れ、ユーティリティーバスをオン。
 
 
客室にも照明が入りました。
 
 
PFD、NDが点灯しました。電源を入れてから少し時間がかかります。
 
 
IRSの調整を始めます。OFFになっているスイッチをNAVに。
 
 
現在位置の入力を行います。GPSの座標をそのまま入れました。
 
 
さっそくキャビン前方のインターコムが鳴っています。パーサーからの連絡です。
 
 
客室がえらく寒いですとの訴えです。空調を入れます。外部の圧搾空気がつながっています。
 
 
では今日のコースを入力します。成田の34Rを離陸し、木更津3デパーチャーで木更津VOR(KZE)へ、大島VOR(XAC)へ直行。そしてB586航空路で一路南下。そしてOMLETへ。ここが日本と米国の航空情報区の境界になります。OMLETからサイパン島のサイパンNDB(SN)へ直行し、ILS/DME RWY7アプローチでRWY7に着陸予定です。
 
 
DEPはRWY34Rからの離陸で、SIDは木更津3デパーチャーです。
 
 
到着はSTARSがなしで、ILS07を選択します。
 
 
引き続きパネルのセットアップを続けます。ヨーダンパーはオン。その下のELEC ENG CONTをオン。ここでは見逃していて、あとでこれがオンになっていないことに気づいてONにしています。油圧は電気の油圧とデマンドポンプがオフ。
 
 
ドアの状態や舵の状態が表示されています。ELTはARMED。
 
 
非常灯をARMEDにしてふたを閉めます。
 
 
ふたが閉まった状態です。
 
 
エンジンのスターターは今日は2番を使います。スタータースイッチはAUTO。燃料ポンプはすべてオフ。まだ燃料は搭載していません。
 
 
アンチアイススイッチはすべてオフ。ライトは航法灯だけついています。
 
 
(つづく)
 

ブログを引っ越してきました。

2015-12-26 21:52:38 | 日記


経済アナリスト藤原直哉が、現代の趣味用フライトシミュレーターの楽しさを伝えています。

フライトシミュレーターのブログ、こちらに引っ越してきました。

バックナンバーは、「フライトシミュレーターの世界」「フライトシミュレーターが大好きです」

をご覧ください。

FSXは最近はほとんど触っていませんが、昔の記事はバックナンバーの初めのほうにあります。

記事では、X-PlanePSXProsim737Flight Deck A32xなどのソフトを使ってフライトシミュレーターを紹介しています。


そしてAEROWINX社のPSX B747-400、公式解説書を書きました。AMAZONでKindle版でお求めいただけます。



どうぞお読みください。

(おわり)