飛行機のなかで尾輪式の飛行機は今でもジェネラル・アビエーションの世界ではたくさん飛んでいます。
しかし尾輪式の飛行機には地上走行の際にいわゆるステアリング、すなわちハンドルがありません。ではどうやって左右に曲がるのか、あるいはどうやって離陸時に滑走路をまっすぐ走るのか、それは独特の方法を使います。
プロペラが左右にあれば左右のプロペラの推力を変えることで左右に曲がることができます。ではプロペラが1つだったら??
そもそも普通(操縦席から見てプロペラが右回り)のプロペラ飛行機でエンジンをふかすと飛行機は自動的に左に曲がります。これをP-ファクターといいます。そのためエンジンをふかすときは常に右のラダーを踏み込んだり、右のブレーキをかけていないと飛行機はどんどん左に逸れていってしまいます。
今日は、山の中の空港など、不整地で短距離離着陸ができる飛行機として長年の実績があるアドオンのDHC-2 Beaverを飛ばしてみたいと思います。
見るからに巨大なエンジンがついていて、これだとP-ファクターは相当なものです。
アドオン機体はドアが開くなどします。
エンジンをかけてスロットルをやや前に出してみます。
するとP-ファクターのために飛行機はすぐに左を向きます。 そこでスロットルをすーっと戻すと同時に右足のブレーキを踏みながら右のラダーを踏み込みます。スロットルを戻すとP-ファクターが小さくなるので飛行機が左に傾こうとする力が減り、同時に右のラダーを踏んで右のブレーキを踏むと機体は右に傾いて飛行機は右に向きます。
機首が正面を向いたらまたスロットルを出します。するとまた左に向きますからすぐにスロットルをちょっと戻して右のブレーキを踏みながら右のラダーを踏み込みます。
こうやって飛行機をまっすぐに地上走行させます。下の写真を見ると右の写真からブレーキをかけた時の白い煙が上がり、ラダーが右に向いています。左に向いた機首を正面に戻しているところです。
地上で180度ターンするときは、左にターンするならすごく楽です。スロットルを出せば自然に左に回りますから、回りすぎないようにスロットルをあまり出さなければ大丈夫です。しかし右回りの時は一度強くスロットルを出してある程度速度がついたところでスロットルをすっと戻し、右のブレーキとラダーを踏み込みます。するとこのように機体が右に大きく傾いて機体は右回りします。
なお左右に回ったときの画面の様子がX-Planeのデフォルトと違うと思います。デフォルトでは機体はまっすぐのままで水平線が左右に傾きますが、XPRealistic Proを入れると機体のほうが傾きます。このほうがリアルです。
では滑走路に出ます。スロットルを出し入れしながら、同時に右のブレーキとラダーを踏み込みながら前に進みます。
なお、尾輪はキャスターになっていて左右にくるくる回ります。しかし回ると逆に走行が不安定になったりうまく旋回できないときがあります。その時はキャスターの動きを止めることができます。操縦席にスイッチがあります。
離陸滑走も同じ要領です。スロットルと右のブレーキ、ラダーを連携させて直進します。同時にこの飛行機はエンジンが大きいのでトルクと言って、飛行機がプロペラと反対方向の左に傾こうとします。特に離陸速度近くになると左に傾こうとするのでエルロンを右に動かして機体をまっすぐにします。また尾輪式の場合は前につんのめるとプロペラや機体が地上に当たって大破してしまいます。急ブレーキをかけたり操縦かんを前に押しすぎないようにします。
そして離陸しました。
だいたい舗装路ではこれで大丈夫ですが、ダートの駐機場、滑走路だと車輪が地面にめり込んでしまうようでなかなかうまくまっすぐ走りません。X-Planeに付属のPlaneMakerを使ってパラメータを変えないと飛ばせないかもしれません。
では草原の滑走路です。X-Plane11では空港選択のところで特殊な場所からの離陸を選ぶことができます。
草原からの離陸です。同じ要領で離陸できます。
頑張って滑走路のなかを加速していきます。
しかし最後まで大変なのがダートからの離陸です。こうやって土ぼこりが舞い上がります。やり方は同じです。
大いに苦労しながら離陸していきます。
離陸しました。右のラダーを大きく踏み込んでいます。機体が左に傾いたら右にエルロンを切ります。
ではフライトの写真です。夜明け前の富士山と月です。機体はグライダーです。X-Planeのマップ機能を使うと任意の場所、高度、速度からシミュレーションをスタートすることができます。
夜明けの太陽と富士山です。
ネパールのエベレスト山です。
振り返ると巨大な氷河が見えます。
南極です。
南極から離陸します。
大きな山のふもとに着陸。
スキーを履いていると雪原に離着陸できます。
しかし向きを変えるのは困難を極めます。車輪が雪にめり込むようです。
マップ機能で向きを変えて離陸します。いかにも南極らしい島の形です。
最後は米国の中西部です。
というわけで尾輪式飛行機もこれまた興味深い飛行機です。
(おわり)