20代でがんを発症し、転移・再発を抱えながら社会復帰を遂げた新聞記者の闘病記。
告知を受ける側、無菌室にいる側、投与を受ける側の心理がつづられている。
がんという疾患のみならず、病院というハコのなかで闘病する生活者の記録として読むことで、病院のもつ空虚さを考えさせられた。
引用
・がん告知は、小さな配慮が、患者のショックを最小限のものにし、医者への信頼感を生むと思う。乱暴に告知し、アフターケアもなければ、ショックも不信も増すことだろう。(p.34)
・ベット以外、病院内に患者の居場所はほとんどない。一日中、他人と同じ空間にいて、パジャマ姿。思いきり笑えず、泣けず、満足に話もできない。元気を吸い取られ、ますます「病人」になってしまいそうで怖かった。(p.42)
・僕はもう少しそばにいてほしいと漠然と思っていた。医療行為とは別に、気持ちを楽にしてくれるケアを心の底で求めていたのだ。ただそれをどう伝えればいいのか、自分は具体的に何をしてほしいのか、自分でも分からなかった。(p.138)
嬉しくない知らせを聞いた後は、家族や友人と「どうしようか」「なぜなんだ」と気の済むまで話をしたり、大きな声で泣きたくなる。しかし病院では…特に大部屋は、それが許されない(できない)環境である。
私が子どもを出産した病院は第三次救急の大病院で、胎児の異常に対する「早期発見」「早期治療」を行っていた。「早期発見」されれば、医師からその「告知」を受け、部屋に戻る。戻った先では、声を押し殺して泣き、カーテンは数日締め切られたまま。その間、定時の確認以外に、医療者がたずねてくることはなかったように思う。…このような出来事が日常的に繰り返され、同じ病室の患者同士で情報交換をし励まし合い、それが精一杯であった。
なぜ「その後、どうですか?」とサポートに来れないのだろうか。そこにはソーシャルワーカーもいて、告知の場には同席していたという。
患者と医療者、援助者の壁は、ささいなことで巨大なものとなり、またささやかな配慮でフリーになるのだと、本書を読んで痛感した。
告知を受ける側、無菌室にいる側、投与を受ける側の心理がつづられている。
がんという疾患のみならず、病院というハコのなかで闘病する生活者の記録として読むことで、病院のもつ空虚さを考えさせられた。
引用
・がん告知は、小さな配慮が、患者のショックを最小限のものにし、医者への信頼感を生むと思う。乱暴に告知し、アフターケアもなければ、ショックも不信も増すことだろう。(p.34)
・ベット以外、病院内に患者の居場所はほとんどない。一日中、他人と同じ空間にいて、パジャマ姿。思いきり笑えず、泣けず、満足に話もできない。元気を吸い取られ、ますます「病人」になってしまいそうで怖かった。(p.42)
・僕はもう少しそばにいてほしいと漠然と思っていた。医療行為とは別に、気持ちを楽にしてくれるケアを心の底で求めていたのだ。ただそれをどう伝えればいいのか、自分は具体的に何をしてほしいのか、自分でも分からなかった。(p.138)
嬉しくない知らせを聞いた後は、家族や友人と「どうしようか」「なぜなんだ」と気の済むまで話をしたり、大きな声で泣きたくなる。しかし病院では…特に大部屋は、それが許されない(できない)環境である。
私が子どもを出産した病院は第三次救急の大病院で、胎児の異常に対する「早期発見」「早期治療」を行っていた。「早期発見」されれば、医師からその「告知」を受け、部屋に戻る。戻った先では、声を押し殺して泣き、カーテンは数日締め切られたまま。その間、定時の確認以外に、医療者がたずねてくることはなかったように思う。…このような出来事が日常的に繰り返され、同じ病室の患者同士で情報交換をし励まし合い、それが精一杯であった。
なぜ「その後、どうですか?」とサポートに来れないのだろうか。そこにはソーシャルワーカーもいて、告知の場には同席していたという。
患者と医療者、援助者の壁は、ささいなことで巨大なものとなり、またささやかな配慮でフリーになるのだと、本書を読んで痛感した。
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