社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「小学生を対象とした図書における障害者の扱われ方と障害者理解への影響に関する一考察」岡﨑千紘、石田祥代(2022)

2022-12-29 12:23:26 | その他

『千葉大学教育学部研究紀要』第70巻

小学生のための課題図書を対象に、それらから与えられうる障害者のイメージを検討し、読書による障害者理解の可能性について提示している。

引用

・受容的態度とは、相手を否定も肯定もせずにありのまま受け容れることであるが、これが行為や支援と同視されてしまうということは、「ありのままを受け容れること」もいわば「やってあげる」という意識から生まれることにつながりかねない。

・小学校の学級図書や図書室に障害がテーマの図書を配置する場合、以下の事項に注意する必要があると考えられる。

①現代の障害者観に合っている

②児童の読書能力に適している

③心理描写が極端でなく現実に即している

④古い図書の場合、児童が時代背景を理解している

⑤同じ障害をテーマにした図書が身近に複数配置されている

 

パラリンピックがやドラマなどを通して、「障害がある人」「病気を抱えて生きている人」の存在が、以前よりも目に見える存在として登場しているように感じる。

どんな素材であっても、子どもに渡しっぱなしであっては意味がなく、その素材を通して、どう感じ、どう考え、どう向き合いたいかなどを、じっくりと話すことが必要であろう。

その素材づくり、素材選びの責任は大人にあるのだと、責任を感じさせられる論文であった。

 

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